表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/74

第69話 ティタノーサ① 逃れられぬ宿命

「フユリンさん、少し寄り道しませんか?」


 旅の道中、地図を広げたフェイトが提案してきた。

 まったく、つくづく寄り道が好きな連中だ。


「どこへだ。周りを見渡しても、草原と遠方の山しかないぞ」


「ここから南に進むと、パスティルという街があります」


「それで?」


「私の……フェイトの故郷なんです」


「だからなんだ。まさか親と感動の再会でもしたいのか」


「はい。『いまの私』の親ではありませんがやはり、顔を出す必要があると思うんです。だって一応、フェイトは行方不明扱いになっているのですから」


「ここで待ってる。一人で行って来い」


「…………わかりました」


 フェイトが荷車から降りた。

 脇目も振らず、振り返ることもせず、歩きだす。

 

 もちろん、アイセントが同行する。

 こいつは令嬢に従うよう制作者に指示されているから、基本フェイトの忠実な従者なのだ。

 まったく、本当の主人はラブレスィブだろうに。


 ラミュまで馬から降りた。


「私も連れてってくださいよぉ〜!!」


 どいつもこいつも。


「あぁ待て待て。わかった、わかったから」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 パスティルなんて街はなかった。

 いや、もう街として機能していなかったが正しい。


「な、なんですかこれぇぇ!!!!」


 ラミュが叫ぶのも無理はない。

 私も声を上げてしまいそうだった。


 人が死んでいる。

 街中のいたるところで、血を流して死んでいる。

 男も女も、老人も、子供も。


 アイセントが近場の死体に触れた。


「腐敗の兆しあり。死後3日が経過」


「3日前に殺されたのか」


「争った形跡はなし。急所を槍で一突き。……他の遺体も同様」


 いったい何があったのだ。


 チラリと、フェイトを一瞥する。

 真っ青になって俯いていた。

 無理もない。だってここは、いわばフェイトの第二の故郷なのだから。


 もしかしたら、この街で過ごした記憶を思い出しているのかもしれない。


「屋敷に向かうぞ。フェイトの親がいるはずだ」




 門番も、警備兵も、執事もメイドも死んでいる。

 これじゃあきっと、屋敷の主人もだろうな。


 屋敷中を歩き回る。

 だんだん歩速が増していく。


「フェイト、心当たりはないのか。この街がこんな目に遭うような」


「わかりません。特に恨みを買うような要因はないはずです。領主も、平凡な方々でしたし」


 やり方からして、犯人は大勢いるだろう。

 何故なら単独犯、及び少数であったなら、街の人間の大半は逃げているはずだし、もっと争った形跡があるからだ。

 だが、おそらくこの街の人間のほとんどが、瞬く間に殺されている。


 不思議なのは、大勢の人間が街を襲ったにしては、殺傷方法が槍による刺殺しかないこと。


 剣で殺された者や、魔法で殺された者すらいなかった。


 槍を武器にしたたくさんの敵が、迅速に人々を殺しまくった。

 金を奪うわけでも、女を犯すわけでもなく。


「もしかして……」


 屋敷の広間の扉を開ける。

 二つの遺体が重なっていた。

 おそらく、フェイトの両親。


 その上に、女が座っている。


「やはり、ティタノーサか」


 分身魔法と槍の使い手にして、災悪姫騎士団シュヴァリエ・ドゥ・マラディエのメンバー。

 そして、マイリンなるフェイトの友人と、瓜二つの女。


「やあ、フェイトちゃん」


「…………」


「生きてると思ったよ。この辺を通って、ここに寄り道するのもね」


「ティタノーサ、さん」


「ははは、マイリンだよフェイトちゃん」


「なんで、こんなことを……」


「フェイトちゃんがいかに無力か教えたくて」


「ティタノーサ!!」


「だからぁ、マイリンだって」


「違う、マイリンさんは死んだのです!! あなたはティタノーサだ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ