表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/74

第66話 マエデュ② めでたしめでたし

 街の住人にガチャ制度を敷いていた悪役令嬢マエデュ。

 しかしその制度は不正なものだった。


 衝撃の事実にフェイトは怒り心頭。

 宥めようとした私まで怒られる始末。


 一体全体、なんだというのだ。





 てなわけで、毎度のように屋敷に潜入。

 護衛の騎士を脅し、マエデュの居場所を聞き出した。


 二階の自室でティータイム中らしい。


 しかし、どうにも今回はやる気が出ないな。

 おそらく、彼女の悪行をいまいち理解しきれていないからだろう。


 嘘をついていたのはわかる。

 詐欺に似た行為なのも。


 だが、とくに違いのない絵のカードを……。


 やめておこう。口にしなくても、またフェイトに怒られそうだ。


 そんなこんなで自室に殴り込み。

 マエデュは、テーブルにカードを並べていた。

 対となるようにメイドが座っていて、同じくカードを置いている。


 あのカードは……ムチムチなんちゃらか?


「なっ!? 誰よあなたたち!!」


「お前が悪役令嬢マエデュか。ここでお前の人生をつぶーー」


 言い終わる直前、フェイトが前に出た。


「どうして詐欺ガチャなんてするんですか!!」


「詐欺? なんのことかしら?」


「ガチャを運営する神父さんからすべてを聞きました」


 ズンズンと間合いを詰め寄り、マエデュの肩をがっしり掴む。

 さらにぐすぐすと涙まで流してるし。


「こんな……こんなのあんまりですよ……ガチャは夢、ガチャ希望。それがまやかしだったなんて、酷すぎます」


「ふんっ、騙されるほうが悪いのよ」


 自白したな。

 よし、じゃあさっさとゴブリンにーー。


「ガチャで爆死しして自殺した人だっているんですよっ!!」


「うぐっ……」


 うぐっ、じゃない。

 なに精神的ダメージを受けているんだ。


「おいフェイト、もういいだろう。そもそも運が絡んでくるギャンブルみたいなものなんだろう? ただの絵が貰えるかどうかに、ここまで騒がなくても……」


「「ただの絵じゃない!!」」


 おや? なぜマエデュまでムキになってるんだ?

 マエデュ自身もハッとして、苦々しく歯を食いしばった。


「私だって、私だって、好きで騙していたんじゃないわよ!! 私も、ガチャが好きだった。愛していたわ。でも……」


 あ、これ自分語りが始まる空気だろ。


「教えてあげるわ。そう、あれは三年前のこと」


 本当にはじまったよ。



 三年前、悪役令嬢協会ではマリアンヌが考えたカードゲーム『ドキドキ悪役令嬢R18版』が流行っていた。

 マエデュもヘビーユーザーの一人であった。

 しかし、ほしいカードがまったく手に入らない。


 強いカードが少ないから勝てないし、自慢もできない。

 それでも、マエデュは満足だった。カードと、それを手に入れるためのガチャを純粋に楽しんでいたから。

 だがーー。


「マリアンヌ様は、不正をしていた。お気に入りの悪役令嬢にのみ、レアカードが出るように調整していたのよッッ!!」


 尊敬するマリアンヌからの裏切り。

 踏み潰されたガチャへのプライド。

 この一件が、マエデュを変えた。


 ガチャなんてしょせんは金儲けのための遊び。

 騙される方が悪いのだ。


「搾取される側から搾取する側になるって決めたのよ。だって私は……悪役令嬢だから!!」


 まったくマリアンヌのやつめ。死んでなお私に迷惑をかけやがる。

 泣き崩れるマエデュの肩を、フェイトが優しく叩いた。


「騙される方が悪い。それは……違いますよマエデュさん」


「へ?」


「自分が騙されてしまったのなら、みんなは騙されないようにしましょうよ。マエデュさんなら、できますよ」


「ガチャは……みんなの夢だから」


「…………」


 立ってるのがしんどくなってきたな。

 適当な椅子に座り、ため息をもらす。


「私、やり直せるかしら」


「はい。良いガチャに変えていきましょう!!」


「……ありがとう」


 フェイトが私を見つめる。

 この流れでゴブリンにはしないですよね? とか念じた瞳だ。

 私は悪役令嬢であれば理由関係なくゴブリンにする。


 だが、私はいま、悪役令嬢になった姉さんを元に戻すための旅をしている。

 指針をブレさせないというのなら、姉さんをゴブリンにしないのはおかしい。


 はぁ……わかったよ。


「よかったなフェイト。悪役令嬢を改心させたじゃないか」


「はい!!」


「それにしても」


 テーブルに並べられたカードを見やる。

 様々なイラストが描かれたカードたち。


 最後までわからんな。

 これの魅力が。


 試しに回してみようか、ガチャとやら。

 案外、楽しいのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ