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第63話 メディスンの企み

※まえがき

三人称です!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 突如乱入したラミュが、全員の視線を集める。

 その一瞬、一秒にも満たない刹那が、アイセントを動かした。


 自慢の速さでフユリンに接近し、抱える。

 同様にフェイトも脇に抱えると、


「撤退を提案」


「なっ、待てアイセント!! 姉さんが!!」


「撤退を、提案」


 返答を待つまでもなく、橋から川へ降下した。

 激しい流れに飲み込まれ、三人が消えていく。

 一方、残されたラミュは、


「な、なんで私を置いていくんですかーっ!! チキショー!!」


 命を顧みることなく、同じく川に飛び込んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ケホッ!! ケホッ!!」


 流れが緩やかになった下流付近。

 フユリンたちはどうにか岸に上がって、身を休めていた。


 もちろん、ラミュも無事である。


「ふぅ〜、一時はどうなるかと思いましたけどぉ、なんとか逃げ延びましたねぇ」


 息を整えたフユリンが、アイセントの胸ぐらを掴む。


「勝手なことをするな!! あそこには姉さんがいたんだぞ!!」


「パーティーの危機と判断。加えて、リシオンはあなたに関する記憶を忘却している様子」


「だが!!」


「完全に敵のペース。一時退散し、頭を冷やす必要があった」


 ラミュも語りかける。


「そうですよぉ。ぜんぶメディスンさんの罠だったんですからぁ」


「くっ……」


 拳を握り、歯を食いしばるフユリンをよそに、アイセントはフェイトの様子を伺った。

 長い髪から水滴を垂らし、唇は青ざめ、視線を落としていた。

 水難事故で亡くなった幽鬼のようだと、アイセントは連想する。


「フェイト様、ご無事ですか」


「……」


「フェイト様?」


「え? な、なに?」


 明らかに気が沈んでいる。

 ティタノーサなる女との会話が原因であろう。


 その後、四人は魔法で火を起こし、服と体を温めた。

 これからどうしよう。

 焚き火を見つめながら、みんながそんなふうに考えていると、


「捜したよ。フユリン」


 数名の護衛と共に馬に乗ったメディスンが現れた。

 フユリンの目が見開く。

 ラミュたちも、警戒気味に身構えた。


「メディスン、キサマ……」


「悪いね、騙すような真似をして」


「騙す『ような』だと? ここでキサマを殺す!!」


「まぁ落ち着きたまえ。別に、君らを殺すつもりはなかったんだ。それに、僕の口から聞きたいんじゃないのかな? 君のお姉さん、リシオンのこと」


「…………」


 図星である。

 メディスンは何か知っている。

 リシオンに何が起きたのか知っている。


 それを聞き出すまでは、確かに彼を殺せない。


「僕は今でも、君らの味方のつもりだよ。ただ、今回だけは事情が違った」


「どういう意味だ」


「僕の行動原理は『リシオンを元に戻す』こと、だ。これに尽きる。悪役令嬢協会に楯突いたのも、マリアンヌの殺害を結構したのも、君を騙したのもね」


 メディスンが語りだす。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 もともと彼とリシオン、そしてマリアンヌは同じ貴族学校の同級生だった。

 マリアンヌとは婚約の契が結ばれていたが、メディスンの心はリシオンに惹かれていた。

 友人同士であったマリアンヌとリシオン。そしてメディスン。

 甘く切ない三角関係が続いていたのだが、ある日突然、終焉を迎える。


「もともとイジワルであったマリアンヌが、君もよく知るような悪女になったんだ。それまでは、ただの高飛車な少女だったのに」


「……」


「そして、リシオンからすべてを奪った。家族をね」


 フユリンの脳裏に蘇る。

 屋敷を燃やされ、親と姉を連れされたあの夜のことを。


「同時に学校からも去った。気づけば彼女は悪役令嬢協会会長にまで昇進していた」


「姉さんは……」


「僕が再会したときには、リシオンは既にマリアンヌの忠実な下僕になっていたよ」


「催眠魔法か?」


「どうだろうね。解除の魔法を試したが、ダメだった。マリアンヌが死んでもダメで、だから君に会わせることにしたんだよ。愛する妹である君に会えば、何か起きると期待したんだが……ね」


 故にメディスンは、フユリンたちを裏切って橋におびき寄せた。

 結果的には、無駄に終わったのだが。


「今回は本当にすまなかったね。僕は別の方法を試す」


「いったい、姉さんに何があったんだ……。どうしてマリアンヌは、わざわざ姉さんを、後継者なんかに……」


 わからない。

 マリアンヌとリシオンの間には、本人たちしか知らない真実があるのか。


「メディスン。本当に、マリアンヌと姉さんは友人だったんだな」


「あぁ。嫉妬心だけであそこまでやるような子ではなかったよ、マリアンヌは」


「あいつも、カトレアやフェイトと、同じなのか……」


 メディスンが眉を寄せる。

 彼は二人の秘密を知らない。


 すると、


「たぶん、違うと思います」


 フェイトが口を開いた。


「マリアンヌの死に際の発言からの、予想ですけど。おそらく、魔女が関係しているんです」


「どういうことだ」


「リシオンさんは、ティアさんと同じ『中心の女』なんです」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※あとがき

応援よろしくおねがいしますっ!!

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