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第58話 スターティ① マリアンヌを倒すために

※まえがき

途中から三人称です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 メイド学校から大急ぎで移動して、適当に見つけた洞窟で一夜を過ごした。

 日が昇る頃にはアイセントの自己修復は終わり、フェイトも落ち着きを取り戻したようだった。


「平気か、フェイト」


「は、はい……。き、きっと双子か姉妹なんだと思います。きっと、きっとそうです……」


 まだ思い詰めていそうだな。

 死んだはずのフェイトの友人が、災悪姫騎士団シュヴァリエ・ドゥ・マラディエとして眼の前に現れた。

 あのティタノーサとかいう女だ。フェイト曰く『マイリン』という名の女と瓜二つらしいが。


 本人なのか偽物か。どういうカラクリか知らないが、敵である以上、次に現れたら今度こそ仕留める。






 それから旅を再開し、私たちは『バンパンサイ』という街にたどり着いた。


「フユリンさぁん、ここにも悪役令嬢がいるんですかぁ?」


「あぁ。それと、この街の学校の理事長は、ガドデガなんだ。軽く殴ってくる」


「ガドデガ? 誰ですかぁそれ」


 おいおい、曲がりなりにも元悪役令嬢だろうが。

 ガドデガは民俗学者だ。

 彼の書いた論文が、今の狂った世の中を作ったと評してもいい。


 そう、『悪役令嬢は最終的に幸福になるもの』なんて論文を書いたのが、ガドデガなのだ。


「私とアイセントで潰しに行く。お前とフェイトは適当な宿で休んでいろ」


「えぇ!? 一緒に行かないんですかぁ!?」


 私の判断に、フェイトも驚いていた。


「フェイトはまだ本調子じゃない。ラミュ、側にいてやれ。一応、何が起こるかわからないからな」


「わ、私がフェイトさんを守るってことですかぁ!?」


「お前なら大丈夫だ。何だかんだ、この旅で幾度も修羅場を潜り抜けてきたからな。昔と違ってもう役立たずではない」


 実際、メイド学校では上手いことアイセントをフォローしていたし。

 私に信用されたのが嬉しかったのが、ラミュは「でへへ〜♡」と大げさに照れて、了承した。


 反対に、フェイトが落ち込む。


「ごめんなさいフユリンさん。足手まといになってしまって」


「気にするな。とにかく今は、ちゃんとしたベッドで心と体を休めろ。お前の防御魔法は私たちの生命線なんだからな」


「はい……」


「さて、行くかアイセント」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この街の学校は、庶民も入学できる珍しい学校であった。

 というより、庶民も強制的に入れさせられている、が正しい。


 なぜそんなことをするのか、敷地内に侵入してみてよくわかった。


 男も女も坊主頭で、制服も軍服に近い装い。


「攻撃〜開始!!」


 の合図で、簡素な槍を空中についている。

 これじゃあ、生徒というより軍人。

 入学ではなく、徴兵に近い。


「フユリン、おそらく学校内の生徒が戦闘訓練を受けている。昼間に事を起こすのは危険なのでは?」


「私一人なら面倒だったが、今はお前がいる。関係ない」


 さて、肝心要の悪役令嬢はどこにいるのやら。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※ここから三人称です。



 スターティは生まれながらの悪役令嬢だった。

 理事長ガドデガの孫で、悪役令嬢が絶対的な正義だと信じてやまなかった。


 協会設立のキッカケとなった論文を書いた学者の孫、ならば会長の座は自分にこそ相応しい。

 なのに……。


「おーっほっほ!! 次の会長はわたくしですわ〜!!」


 以前から協会内で名を轟かせていた田舎貴族のマリアンヌが、会長に就任した。


 屈辱だった。

 度し難かった。


「こうなったら、マリアンヌより悪く強い女になってやるわ!!」


 祖父も応援してくれた。

 いずれマリアンヌをトップの座から引き摺り下ろす。そのためにまず、軍を作ることにした。


 地元の教育制度を改革し、子供たちは全員強制的に入学させた。

 もちろん、費用は個人持ちである。


「生徒たち使って最強の軍隊を作るのよ!!」


 直属の騎士たちに命令し、生徒たちを教育した。

 とはいえ、その騎士たちも所詮は二流の護衛兵。専門的な軍人育成術など、知る由もない。


 生徒たちは、素人まがいのスパルタ訓練をほぼ毎日受けることとなった。

 極めつけは。


「女も頭を丸めなさい!! 髪なんて邪魔なだけよ!!」


 当然、女子生徒たちは抵抗した。


「やめてくださいスターティ様!! 髪は乙女の命なんです!!」


「スターティ様、これじゃもうお嫁に行けません!!」


「いや、いやあああ!!」


 逆らう女は手足を縛り付けて髪を剃った。

 逃げることは許されない。逃亡は罪である。親や親戚、友人がまとめて殺される。


 やがて反抗する者はいなくなった。

 人生を諦めたのである。


「うふふ、いいわ、良い調子よ。ねえ、お爺さま」


「庶民の者もどものことは気にしなくて良い。お前が幸福になれば、自ずとみんなも幸福になれる。悪役令嬢とはそういうものなのだ」


「伝説の悪役令嬢、カトレア様のように」



 それから数年が経った。

 卒業生たちは、街に縛られたまま生活している。

 仕事をしながら、いつでも出撃できるようにと、スターティに命令されているから。


 スターティも最高学年になった。

 卒業後はそのまま祖父から学校理事長を継ぐことになっている。


「さあ!! 今日は月に一度の格闘大会の日よ」


 体育館に老若男女様々な人間が集められる。

 生徒だけでなく、街にいる人間から選ばれた者たちが、スターティの指示で戦いあうのだ。


 選考基準は、繋がりがあること。

 適当に数名選出し、残りはその身内から選ぶ。


 家族だろうが恋人だろうが友人だろうが関係ない。

 スターティが戦えと命令したら、やるしかないのだ。


 観覧席で、スターティは優雅にコーヒーを飲んだ。

 戦闘開始のゴングが鳴る。


 当然、誰も積極的に力を振るおうとはしなかった。

 相手は自分の大切な人なのだ。どうにかして適当に試合をごまかせないか、それを考えるだけで精一杯である。


 おもむろに、スターティが場内に向けて杖を振る。

 火球が放たれ、初老の男性に直撃した。


「ほら、存分に殺し合いなさい!! 強い戦士に甘えはいらないのよ」


 やるしかない。やらなきゃ、あの女に殺される。

 選手たちの拳が互いを傷つけ合う。


 途端、誰かが体育館に入ってきた。

 白髪のメイドと、銀髪の……。


「フユリン、目標を捕捉」


「私もだ。一人だけ髪が長いし、偉そうだ」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※あとがき

久しぶりのゲスト悪役令嬢征伐回です。

応援よろしくお願いしますっ!!

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