第57話 仮面の下
※まえがき
三人称です。
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コレールを撃退した。ラミュとアイセント。
一方、フユリンとフェイトは一〇人に分身したティタノーサと戦闘を繰り広げていた。
槍を持って襲いかかる分身たちをフェイトの防御魔法で防ぎ、隙をみてフユリンが攻撃をする。
何人かは倒すことができたのだが、
「お、減ってきたし補充しよ〜」
再度分身が増やされ、まったく事態が進展せずにいた。
「これじゃキリがないですね」
「あぁ、それにあいつ、たぶん手加減している」
「手加減? 私たちを殺したいんじゃないんですか?」
「あいつがその気になれば、もっと分身を増やせるはずだ」
二人の会話を聞いていたのか、ティタノーサの一人が笑う。
「いやいや、全力だって。私も任務失敗で新会長に怒られたくないし〜。そこの出来損ないの魔法人形みたい……あれ?」
ティタノーサにつられて、フユリンとフェイトも視線を向ける。
気絶しているコレールと、傷ついたアイセント。
決着が、ついていた。
「あらら。情けないな〜コレールちゃんは」
瞬間、フユリンが動いた。
敵の注意が逸れている。チャンスは今しかない。
「ホーリーボール・ラピッドファイヤ!!」
光の弾を一斉発射する。
急所に当たれば悶絶させられるほどの威力がある。
フユリンの目論見通り、すべての弾がティタノーサたちに直撃した。
分身たちは霧散するように消えていき、一人だけが残される。
あれが本体なのだろう。
「いてて……お腹はやめてよ〜。ご飯食べたばっかりなんだからさ」
ポロリと、ティタノーサの仮面が落ちた。
別に隠すほどではない、小綺麗な顔だった。
「え」
フェイトが声を漏らす。
「な、なんで……」
「どうした、フェイト。知り合いか?」
目を見開き、震えるフェイトに、ティタノーサが微笑む。
「久しぶり、フェイトちゃん」
「マイリン……さん……?」
フェイトの脳裏に蘇る、魔法学校での記憶。
記憶を取り戻したばかりのフェイトを救った恩人。
魔法学校にて、命をかけてフェイトを助けた友達。
みんな仲良く幸せに。というフェイトが掲げる目標を作った、悲劇の死を遂げた女の子。
あのとき、フェイトの代わりに殺された女が、そこにいた。
「うそ……生きて……」
「んふふ。んふふふ、元気そうでよかったよフェイトちゃん」
「だ、だってあのとき、コーロの魔法で貫かれたはず……」
「怖いねぇ、不思議だねぇ。ククク……さて」
一瞬にして、コレールの側に移動する。
ティタノーサは脇にコレールを抱えると、
「分が悪くなったから帰るね。ばいばーい」
眩い光で全員の視界を封じて、消えてしまった。
戦いが終わり、フユリンがフェイトを注視する。
膝から崩れ落ちて、視点が定まっていない瞳で、ぶつぶつと何かを呟いていた。
「おいフェイト、あいつは誰だ」
「マイリン……さん……です……」
ラミュがフユリンへ駆け寄る。
「私、覚えてますよぉ。フェイトさんと会ったとき、側で亡くなっていた人ですよ」
「あのときの……」
フユリンも記憶を掘り起こす。
確か、胸を魔法の槍で貫かれて死んだのだったか。
確実に心臓に穴を開けていたはずだし、出血量からして間違いなく死んでいた。
魔法で蘇生されたのか。そんなの、魔女でも複数人が力を合わせないと不可能だ。
とすれば、死んでいたのはティタノーサの分身。
いや、分身は血を流さない。
さっきだって、倒された分身はそのまま煙となって消えていた。
ならば双子?
「とにかく、いまはここから移動しよう。こちらの居場所が常にバレているのか、いないのか。わからないがな」
アイセントが立ち上がる。
「了解。荷車で修復を再開する」
フェイトもラミュの肩を借りて、歩きだした。
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※あとがき
マイリンは、フェイト編に登場した女の子です。




