第51話 フユリン以外、気が狂う
※まえがき
今回は三人称です。
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カイレカイレの街にて、フユリンたちは宿を取ることにした。
さすがに激しい戦いのあとでは、すぐに出発する体力が残っていないのだ。
フユリンは一人部屋を借りて、ベッドに横たわると瞬く間に爆睡してしまった。
残った三人娘は別の部屋に集まっていている。
フェイトがため息をついた。
「はぁ……」
「どぉしたんですかぁフェイトさん!! 深刻そうな顔をして!!」
ちなみにラミュは戦いの最中、ずっと隠れていたので元気が有り余っている。
三日三晩走り続けられるくらい元気である。
「あぁラミュちゃん。そんな大したことじゃないの」
「いえいえ、私たちは心で繋がっている真の仲間、ビューティフルフレンドじゃないですか!! どんな悩みもこのラミュ・メチャカワイイが解決してやりますよぉ!!」
「本当? 実はね、わたし前世の頃はそんなに胸が大きくなかったの」
「はいはい」
「でもいまは……フェイトの胸は結構大きいでしょう? それが未だに慣れなくて、肩は凝るし時々頭痛がするし、動きにくいしで……」
「なるほど!! そりゃ贅沢な悩みですねぇ!! アイセントさん!! どうにかなりませんか??」
いきなり他力本願である。
どんな悩みも解決するんじゃなかったのか。
アイセントは相変わらずの無機質な表情で、淡々と告げた。
「先代のご主人様。ラブレスィブ様のお母様も、似たような悩みを抱えていた。同様の処置をすれば解決待ったなし」
「おぉ!! さすがですアイセントさん!!」
「アイセントちゃん、何をすればいいの?」
「母乳を搾ります」
「「は?」」
「母乳を搾ります」
ラミュの目が輝いた。
「これは目から鱗ですねぇ!!」
「ちょちょ、ちょっと待ってアイセントちゃん。どういうこと?? 母乳?」
これまた淡々と、アイセントが答える。
「フェイト様に母乳分泌促進魔法をかけます。妊娠していなくても母乳が出るようになり、それを搾りに搾ることで一時的に胸を小さくします」
「…………母乳を出すと胸が小さくなるの?」
「なります」
「…………」
ダン、とラミュが床を叩いた。
「フェイトさん!! 背に腹はかえられませんよぉ!!」
お前はもう黙っていろ。
「そ、そうだね。それで悩みが解決するなら、試してみる価値は……あるかも!!」
ないだろ。
「では、さっそく魔法をかけます。『ミルクザーザー』」
フェイトの胸がじんわりと濡れていく。
慌てて服を脱いで乳頭を露わにすると、案の定。
「うわっ!! ほ、本当に出てきたよアイセントちゃん!!」
「あとは搾るだけです」
「わわ、わわわ!! で、でもどうやって?」
ラミュがドンと自分の胸を叩いた。
「私に任せてください!! なにを隠そうとこのラミュ・メチャカワイイ、一〇歳までママ様のおっぱいに甘えていたプロおっぱいチューチュー師ですからねぇ!!」
ずっと隠しておいた方がいい秘密である。
「そこらの人間とはおっぱいチューチュー歴が違うんですよフェイトさん!!」
「けど、は、恥ずかしいような……」
「トメイトジュース事件のとき、散々フユリンさんにチューチューされてたじゃないですかぁ!! あのとき実は私もしたかったんですぅ!!」
「うーん、そういうことなら、いまさら恥ずかしがっている場合じゃない、よね」
場合だぞ。
そういうことならとはなんだ。どういうことだ。
「う、うん!! 覚悟決めたよラミュちゃん!!」
「よーし、ではさっそく」
ラミュの小さな唇が、フェイトの胸に接近する。
「ぺろぺろ」
「ひゃ!! な、舐めるなんて聞いてないよ!!」
「ぺろぺろ、チューチュー」
「うぅ……」
「ちゅぱちゅぱ。どぅびどぅび、ちゃぱちゃぱ」
「んっ……」
「そうだ、アイセントさんも加わってください。それぞれ片方ずつ、二人でやった方が早いです」
「承知」
隣の部屋ではフユリンが爆睡している。
していてよかった。
ラミュとアイセントによる搾乳がフェイトを責め立てる。
もちろんこれはあくまで、フェイトの肩凝りを解消するための処置である。
本当にそうか?
それからしばらくして
「はぁ……はぁ……」
「母乳の完全搾乳を感知。以前よりバストサイズが一段階落ちました」
「た、確かに、軽くなった気がする……。ありがとう、ごめんね、アイセントちゃん、ラミュちゃん」
フェイトは惚けた顔のまま、二人を見つめた。
「なんのなんの。気にしないでくださいフェイトさん」
「…………」
「フェイトさん?」
おもむろに、フェイトがラミュを押し倒した!!
「ちょちょ!!」
「なんか、スイッチ入っちゃったかも」
「へ!?」
「お返し、したくなっちゃった」
「わ、私は大丈夫ですよーーっ!!」
翌日、ラミュとフェイトはやつれたまま宿を出た。
めでたしめでたし。
ちゃんちゃん。




