第48話 復讐の終わり
※まえがき
途中から三人称です。
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メディスンの護衛兵は優秀であるらしい。
一〇倍以上あった戦力差を覆し、ほぼ全滅状態にまで追いやっていた。
アイセントが戦っていたコレールとかいう女は、いなくなっていた。
逃げたのだろうか。
戦いが終わり、私はティアの小屋で休息を取ることにした。
かなり、疲れた。
マリアンヌが死んだ達成感もあるだろう。
体に力が入らない。
「大変でしたねぇ!! フユリンさん!!」
「あぁラミュ。生きていたのか。なにをしていた?」
「膝を抱えて隠れてました!!」
「懸命な判断だ」
余程の悪人相手でも無い限り、こいつに殺人は不可能だ。
アイセントが無機質な口調で問いかけてくる。
「マリアンヌは死亡。フユリンの目的は達成。今後の予定は?」
「確かにマリアンヌは死んだが、まだリシオン姉さんや両親を見つけていない。これまで通り各地の悪役令嬢を潰しながら、三人を捜す。ついでに魔女退治も手伝ってやる」
「感謝」
マリアンヌが最期に残した姉さんの居場所。
クイラ国は、また別の大陸にある国だ。
「でもこれで悪役令嬢協会はお終いですねぇ!!」
「アホたれ。別の女が会長になるだけだ」
「そっかぁ!! ところでフェイトさんは? どこに行ったんですかぁ?」
「ティアに会いに行くらしい」
事前にメディスンがマリアンヌが来ることを伝え、別の家に避難させているらしい。
同行はしない。
もともとここへは、マリアンヌに会うヒントが欲しくて来ただけだ。
あいつが死んだ以上、もう用はない。
仮に役立つ知識を持っているなら、フェイトが聞き出してくれるだろう。
あいつは頑固で猪突猛進なところがあるが、バカではないから。
「それにしても……」
なんだ、この虚無感。
マリアンヌが死んだのに、いまいち喜べない自分がいる。
そうか、死んだからだ。
私はあいつを、ゴブリンにしたかった。
永遠の生き地獄に叩き落としてやりたかったんだ。
それができなかった悔しさが、胸の奥を這いずり回っている。
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※ここから三人称です。
マリアンヌの死から数日後。
クイラ国、マグモア。
豪奢な城の廊下を、一人の悪役令嬢が闊歩していた。
長い銀色の髪。
冷ややかな瞳。
スレンダーな体躯を包む、銀色のドレス。
彼女の名はーー。
「リシオン様!!」
騎士が駆け足で近づいてきた。
「マ、マリアンヌ様が!!」
「知っています。生前のマリアンヌ様の意思に従い、これから協会本部に向かいます」
「で、では……」
「私が次の悪役令嬢協会会長です」
「おぉ!! ついにリシオン様の時代なのですね!!」
騎士の発言にリシオンは眉を顰めた。
自分の時代? 違う、マリアンヌの時代を引き継ぐだけにすぎない。
「至急、すべての災悪姫騎士団に伝えなさい。マリアンヌ様を死に追いやった極悪人どもを速やかに抹殺せよと」
「はっ!!」
騎士が去っていく。
リシオンはさらに廊下を歩み、地下へ降りた。
地下牢の前で立ち止まる。
牢には、オレンジ色の髪をした、魔法人形が閉じ込められていた。
切断された左腕は、アイセントが切ったものではない。
「コレール」
名を呼ばれ、魔法人形が反応する。
汚れ、ヒビや穴だらけとなった顔を上げる。
「リシオン様、申し訳ございません」
「謝るべきはマリアンヌ様でしょう? シュヴァリエともあろう女が、なんと情けない。面汚しですね」
「本当に……ごめんなさい……」
ポロポロと涙を流す。
マリアンヌを死なせてしまった悲しみと、プライドが傷つけられた悔しさ。
そして、これから先待っているであろう処罰への恐怖の涙だった。
「とはいえ、あなたの代わりが務まる人材は他にいません。騎士団の数を減らすわけにもいかないですし」
「が、頑張ります!! 必ず報復してみせます!!」
「その覚悟、試してあげます」
牢の扉が開けられる。
コレールは外に出ると、リシオンと共にさらに地下へと降りた。
「この先に、なにが……」
「あなたがいたのは、いわゆるお仕置き部屋。ここから先は、秘密の処刑場です」
簡単な光魔法で通路を照らす。
奥にある牢に、誰かがいた。
それも複数だ。
近寄ってみると、それは……。
「子供!?」
一〇歳にも満たない子供が三名、鎖で手足を縛られていたのだ。
「依然、魔法学校でクーデターを起こした、コーロなる生徒の親戚たちです。殺しなさい」
「え」
「殺しなさい」
「…………」
コレールたち災悪姫騎士団のメンバーは、騎士であると共に悪役令嬢でもある。
故にコレールも、相応に悪事を働いていた。
殺人だって経験済みである。
しかし、相手は選ぶ。
年端もいかぬ子供を殺すなんて、まして直接自分の手で絶命させる悪役令嬢なんて、極一部の精神異常者くらいである。
「そう、やりたくないのですね」
「あ……あの……」
「しょせんは欠陥品の魔法人形ですか」
「くっ!!」
コレールの視線が壁に向けられる。
脅迫用の剣がかけられていた。
錆びて、刃も欠けている。
刃物というより、鈍器だ。
子供が泣き叫ぶ。
そしてーー。
「マリアンヌ様は時々気まぐれで見逃すことがありますが、私が会長を継ぐ以上、そうはなりません。二度目はないですよ?」
「……はい」
「マリアンヌ様の仇を、必ず殺しなさい」
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※あとがき
マリアンヌ編終了です!!
時系列が崩れますが、次回はマリアンヌが死んだ日の続きです。
フェイトがティアに会う話になります。
応援よろしくお願いしますっ!!




