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第47話 真の悪役令嬢は

 マリアンヌが天から隕石を呼び寄せた。

 グラビティは視界にあるものしか対象に取れないんじゃないのか。


「手を伸ばした先にあるものも対象にできるのですわ〜!!」


「くそが!!」


 どのくらいの大きさだ。遠すぎて上手く測れない。


「小さな岩ですけれど、この街を木っ端微塵にするくらいはできますわ。さあどうしますの? わたくしは緊急脱出の魔法が残っていますけれど、あなたには無いのではなくて〜?? おーっほっほ!! 真の悪役令嬢は敗北を知らないのですわ〜〜ッッ!!」


 どうする。

 どうすればいい。

 クロックアップで加速して、私一人が逃げることは可能かもしれない。

 しかし他の連中はどうなる。


 ラミュ、フェイト、アイセント。

 それにこの街の人たち。


 私には関係ないか? いいや、関係のあるなしは問題ではないだろう。


「悪役令嬢拳法を使うまでもなかったですが、久々に楽しかったですわ。さようなら、哀れな虫けらさん」


 隕石が、空を覆い尽くすほど迫っている。

 直径10mほどか。

 確かに巨大ではないが、落下の衝撃は侮れない。

 確実に死んでしまう!!


「フユリンさん!!」


 フェイトが現れた。

 走ってきたのか、息を切らしている。


「クリアウォール・ザ・ハンド!!」


 フェイトが両手を上げた。

 まさか、腕状に変化させた見えない壁で隕石を止める気か。


「やめろフェイト!! 手が潰れるぞ!!」


「くっ!!」


 両腕が肘を曲げた。

 まるで重たいものを支えきれないように。


「でも、どうでこのままじゃ、みんな死にます!!」


 頑張って腕を伸ばそうとしている。

 隕石の落下速度が、明らかに弱まった。


 マリアンヌの顔が歪む。


「よくもフェイトの肉体を奪ったゲスめ!! もっともっと岩を重くて、押し殺して差し上げますわ〜!!」


「させるか、バインド!!」


「なっ!!」


「どうする、魔法無効を使わなければ、また電撃で痺れるぞ」


「痛みを返して差し上げますわ」


「今度の電撃で一気に殺すって言っているんだ!!」


「くっ、こ、このわたくしを、脅すなど……。リバティ・クリア!!」


 バインドが消滅した。

 重力操作による加重を失った隕石が、止まった。

 だとしても相当重いはずだが、フェイトの根性は凄まじいな。


 ゆっくりと、何も無い雪の上に降ろされる。

 マリアンヌの肩が震えだす。


「この、取るに足らない下等種どもが、いい気になるんじゃあ、ないですわ」


「バインド!!」


「しつこいですわ!! リバティ・クリア!! リバティ・グラビーー」


 瞬間、マリアンヌが膝をついた。


「うっ!!」


「疲れているようだな。私のパニッシュメント魔法は、使用する度に僅かながら寿命を削る。お前のリバティ魔法も、相応の代償があるはずだ。私には押し付けられない、『何か』がな」


 ホーリーボールを発射してみる。

 マリアンヌは呆けていたのか反応が遅れ、顔面に直撃した。


「ぐっ!!」


「ほら、どうした、使ってみろよ、プッシュオールザディザスターを」


「はぁ……はぁ……」


「そんな体力も残っていないようだな」


 フェイトも両手を前に出す。

 いつでも、ザハンドを発動できるように。

 あの強力な透明な腕は攻撃にも転用できるはず。


 厄介な攻撃魔法になるはずなのだ。

 マリアンヌだってそれくらい、とっくに理解しているはずだ。


「こ、こんな……このわたくしが……こんなところで……」


「さあ、恐怖し敗北を認めろ。お前の人生を潰してやる」


 もうすぐだ。

 もうすぐこいつをゴブリンにしてやれる。

 そうしたら元に戻すことを条件に、姉さんの居場所を聞き出してやる。

 とうぜん、戻しはしないが。


「ふふ、おーっほっほ!!」


「なにがおかしい」


「リシオンは、クイラ国のマグモアという街にいるはずですわ。そこに預けましたもの」


「なっ!?」


「驚いているようですわね。わたくしが素直に話したことを」


 何を考えている。

 どういうつもりだ。

 命乞いでもするのか?


「わたくしをここまで追い詰めたご褒美ですわ。ですがぁ!! 真の悪役令嬢は、決して敗北しないもの。あなたたち如き猿にやられるくらいなら、己の手でケジメをつけますわ!!」


「まさか、お前!!」


「もう一つ教えてやりますわ!! あなたはしょせん、魔女たちの代理戦争の哀れな駒!! 何も知らずに利用されているだけの猿なのですわ!!」


「魔女? どういう意味だ」


「この世界を構成するモブの一人よ。無知を抱えて惨めに死ぬがいいですわ。おーっほっほ!! おーっほっほ!!」


「こいつ!! パニッシュメント・メタモルーー」


「リバティ・サルヴェイション!!」


 血と肉片が私のまぶたにこべりついた。

 腕で拭って、目を開く。


 一面に広がるマリアンヌの残骸。

 雪の白が、赤く染まっている。


「フユリンさん、マリアンヌは……」


「破裂した……」


「え、じゃあ」


「あぁ」


 マリアンヌが、死んだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※あとがき

次回でマリアンヌ編終わりですっ!!

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