第42話 ラブレスィブ⑧ 命を吸う呪い
「うわああああ!!」
ラブレスィブの胸から放たれる光が強まっていく。
それに伴い、彼女の肉体がどんどん赤黒く染まっていった。
「フェイト、これはなんだ!!」
「お、おそらく呪いの最終形……」
ちっ、街の人の怒りと、真実に触れたラブレスィブ、そしてアイセントの後悔が引き金になったか。
ラブレスィブから黒いモヤが吹き出す。
それは徐々に形を成し、上半身だけの黒い化物へと変貌した。
【グオオオオオッッ!!!!】
化け物から、真っ黒い黒い赤ん坊たちがぽとぽとと落ちてくる。
赤ん坊は町人たちの方を向くと、獲物を捕らえる猫科動物のように飛びかかった。
「な、なんだこりゃあ!?」
抱きしめられた男たちが、次々と倒れていく。
おそらく、死んだ。
魔法人形の騎士たちが剣を振るうも、すべてすり抜けていく。
おそらく、物理攻撃は通用しない。
黒い化物が窓を突き破って外に出る。
街の中心で、さらに大きくなって、たくさんの赤ん坊を生み出す。
「まずいな、フェイト、お前の防御魔法でみんなを守れ。ラミュ、メディスンに助けを求めろ」
「「は、はい!!」」
とりあえずいまこの場にいる赤ん坊どもを、ホーリーボールで殲滅した。
やはり、魔法なら通用するようだ。
アイセントは……気を失っている主人に寄り添っている。
と、そこへ、
「な、何事だ!!」
イヤルテが走ってきた。
「説明はあとだ、呪いが暴走した。医療用なら主人の面倒をみておけ」
「はあ?」
「おいアイセント」
応答がない。
まるで、糸が切れた操り人形のように、動かない。
「悔やむなら戦え、呪いの本体が直々に出てきてくれたんだ。いまあいつを倒せば、ラブレスィブは助かるかもしれない」
「……不可能」
「なんで」
「私の行動は、裏目に出る」
「それは過去の話だろうが!! 魔法人形如きが臆するな!! 主人の命を最優先にしろ!!」
「…………すべて、私のせい」
ちっ、一丁前に挫折なんぞしやがって。
とにかく、私は屋敷の外へ向かった。
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ラミュの足よりも早く、メディスンたちは行動を起こしていたようだった。
彼と護衛隊たちが、魔法で赤ん坊たちを倒しながら、人々を避難させている。
「おやフユリン、なにやら大変な事態だね」
「余裕そうだな」
「そうでもない。僕らが倒しても、赤ん坊は増えるばかりだ。僕の護衛隊も数名、数に押されて命を吸われてしまったよ」
視線を上げる。
本体の化け物は、指揮官でも気取るように、夜空で浮かびながら赤ん坊を排出し続けていた。
「あいつをどうにかするしかないな」
「なら、お願いしようか」
「ハイスピードホーリーボール!!」
高速の光の弾を発射する。
だが、弾は化け物を貫通するだけで、まったくダメージを与えていなかった。
「なに!?」
「当たってもいないよ。超高速で回避したんだ。あの通り、やつは素早い」
「まったく、悪役令嬢を倒すのは専門だが、呪いの倒し方なんて知らんぞ」
周囲を見渡す。
おぉ、ラミュのやつ、爆発魔法を発動させて赤ん坊を払っているじゃないか。
危機感や興奮によって成功率が上がるのかもしれないな。
フェイトは……お得意の防御魔法で人々の盾になっている。
よし。
「フェイト、ラミュ!! こっちにこい!!」
今回ばかりは、私一人ではどうにもならない。
「チームプレイだ。やつを捕らえて、確実な一発をお見舞いする」




