表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とある少女の独白

作者: aki


私には兄がいる。一風変わった兄だ。


変わった、とは多分アインシュタインとかモーツァルトはこんな感じだったのかなと思う「変わった」

言い過ぎ?

海外の某有名大学出て医学の道に進んだけど、人間性に難あり。あれ、先人に失礼か。

頭が良くて繊細、なのかな。表現難しい。


違うベクトルで生きてるからさ、価値観も言語も違う生き物なんですよ。

周りに中々理解されない。

そんなこんなで彼の鬱憤はうちで大爆発。

彼が高校生になり留学の為家を出るまで、私の人生はケガと涙で溢れてた。

アレはそうだな。



虐待だったのでしょう。



兄とは5歳差。一年間小学校が被るのも良くなかった。

幼稚園の時は会わないし、母が常に近くいたし。

小学校に入った時から地味な嫌がらせが繰り広げられる。

1年と6年。階は違えど学校でばったりはありえます。

その度に聞こえるように舌打ち。6年男子をけしかけられることもありました。

今考えると1年生相手にあの人達もやばいな。類友か。


無視は当たり前、すれ違いざまの舌打ちはベター。

食事は4人座れる食卓。斜め対角線に私達は座るけど、手をかざしセルフのパーテーションを作ります。

醤油とかをお互いにとろうと、手が当たろうものなら舌打ちの嵐。


これはまだまぁ小学生。可愛いもん。

中学になりました。とあるスポーツマンガを読みハマり彼は某部活へ。走らされます。ひたすら走らされます。

体力や筋力がつきました。

暴力が始まりました。


いきなりですが、弟もおります。兄は多分目に入れても痛くないほど、彼を愛してる。

文字通り、猫撫で声で猫可愛がりします。

初孫迎えたじいさまか。

弟の目のないところで暴力はあります。

ムシとか舌打ちは日常なのであしからず。 


さて、親は?となりますよね。

父は研究に没頭している為ほとんど家におりません。

3人も作れたのは貧乏時代、没頭できる環境がなかったからか母の希望でしょう。

下世話失礼。


母はまぁ天然さんで母性溢れる方です。

何があっても母は子の味方を体現した方なんだと思うよ。


ある日、兄が私を嫌うのはなぜか聞きました。


5年も一人っ子だったからね。急にお母さん取られちゃった嫉妬よ。

弟くんはね、9歳も離れてるから流石に可愛いのよ。


ある日、私や母を殴りまくるのは何故か聞きました。


部活でね、イジメにあってるみたいなの。あの子変わってるでしょう?

ずっと1人で外周走らされてるらしいの。



母を屈ませ、前の傷が治っていない青く、赤黒い背中をさらに殴りつける。すごい音するんだよね。

母はほとんど声を上げない。

私も服で見えない部分だけ殴られる。

あ、私も声でないや。涙や鼻水はいっぱい出ちゃう。

一度、リモコンで頭部を殴られた。これは血が出て傷も目につくので良くないと思ったのかな。


言葉の暴力もあった。

私の癖っ毛。オ○ム真○教みたいだって。


痛みってさ自己防衛で割と忘れていくのよ。

覚えてるって事は悲しかったんだよね、私。




それでも日々はすぎる。常になってしまったら、それはもう日常だ。


さて、学校や警察は?

これは家庭間の問題。母が大丈夫と言えば最終的には大丈夫なのである。

世の中そんなもの。そう思った出来事もあったけど、どうでもいいので割愛する。


たくさんの気持ちに蓋をして、傷は瘡蓋ができ治りを繰り返し皮膚が分厚くなった。


ある日、肋骨あたりをボッコボコに殴られ蹴られた。

失敗した。外で友達に家族の事を聞かれ、兄の事を

「あの人は変人」

と返したのを聞かれていたらしい。

嫌なんだな、変人。自分の痛みに敏感すぎるでしょ。私くらい鈍感になっちゃえばいいのに。


骨は折れてなさそう。血吐いたけどまぁヒビくらいかな。このくらいなら大丈夫。

そう思いながら小学3年生の私は納戸で包丁を眺めている。

危ない事なんか考えてないからね。一種の精神安定剤。自傷もしてないよ。じくじく痛いのやじゃん。

なんせ日本の教育は優秀だから。殺人ダメ絶対。


私、偉くない?

自分で言っちゃうよ。


だってさ、ちっぽけな子ども。



他に誰が褒めて、助けてくれるのさ。











彼に罪の意識はないのです。全て受け止めてくれるのが家族なのだから。一種の呪いですね。

少女は今もフツーに生きてます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 重い内容なのに淡々としてて、それでいて滲み出る感情が表現された文章に心打たれて一気読みしました。 私、偉くない? 自分で行っちゃうよ。 だってさ、ちっぽけな子ども。 他に誰が褒めて、助け…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ