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どこかの誰かが死ぬまでの話  作者: 安佐北結愛
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とある男の出生について#1

彼の出生の前に、彼の両親について語るべきだろう。



時は遡り12年前。

父親の名前は荒木という男だった。

地元では名の知れた悪ガキだったらしい。

当時18歳の荒木には妻がいた、それが彼の母。

ではなく、別の女性だった。

そして彼女は荒木の子供を身篭っており、翌年元気な男の子が生まれた。


そして6年後、荒木の妻は脳卒中に倒れ亡くなってしまった。

その葬儀で荒木は妻の親友だった彼の母親、湯浅と出会う。


その後すぐ荒木は湯浅に言い寄った。

しかし、湯浅は悩んだ。

荒木には既に新しい妻がいたし、連れ子もいたからだ。

荒木の新しい妻は水商売をやっている女らしく、居候しているだけだが世間体のために形として籍を入れているらしく、湯浅との為に離婚の意思もあると話した。


湯浅はその言葉を信じた。

彼らは結婚を前提として子作りをした。

いや、してしまった。


そう、それで出来た子供が彼である。


彼は誰にも求められずとは言ったものの、現時点では求められていたのかも知れない。

少なくとも2人からは。


湯浅が彼を身篭り、荒木と過ごすうちに彼の本性に気付いた。


狡猾で自己中心的で金に汚い屑だと言うことに。


荒木には借金があった。そして、荒木は湯浅の保有していた車を勝手に売って自らの借金に当てていたのだ。


数え上げればキリはないが、時計や指輪もいくつか荒木は勝手に売って金に変えていた。


それを知りながらも湯浅は子供が生まれれば更生すると信じてやまなかった。

実に愚かで頭の悪い女である。

それは愛情とは言わない、ただの現実逃避だった。

そもそも11歳になる腹違いの息子が居てこれなのだ、更生などするわけがない。


もちろん彼は更生しなかった。

次第に湯浅の家に通う足も減った。


そして時は流れていき


2000年3月4日

彼がこの世に産声をあげた。

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