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とある男の出生について#0
彼は西暦が一つの大台となる年に生まれた。
誰にも望まれず生まれ、生きていく人生が幕を開けたのだ…。
いや、最初は望まれていたのかもしれない。
だが、今となってはそんな話はどうでもいいことであり、些細なことである。
人々はミレニアムと囃し立て、世間は世紀末に色めきだっていた。
ある者はとある者の大予言を恐れ、ある者はその節目で何か変わる気がしていた。
彼の母親となった女も例外ではなかった。
彼の父親は…彼に対して、ましてや彼女に対してもなんの愛情も持ち合わせてはおらず、ただ年を越した。
世界は彼が生まれてしまった西暦2000年となってしまった。