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第9話

 応仁元年5月16日、細川勝元の家臣、池田充正が将兵を率いて上洛したことから、京は騒然とした有様となります。

 5月20日に山名宗全や斯波義廉、畠山義就らが集まって対策を協議したようですが、具体的な動きをする前に細川勝元が機先を制することに成功、5月25日の夜から、細川勝元、及びそれに味方する軍勢は京制圧行動に掛かることになりました。


 そして、5月28日までに細川方、山名方が激戦を展開した末に、足利義政のいる花の御所周辺は、細川方の制圧するところになります。

 この5月28日時点で、細川勝元の下、既に足利義政が、自らの意思で動けなくなっていたか、については学者の間でも議論があるようですが、この時点では、足利義政は、将軍の旗を細川勝元に与えていないので、ある程度は自立して、自らの意思で動けていたのではないか、と私は愚考します。

 それに5月28日に、足利義政は、細川勝元、山名宗全双方に対して、停戦命令を下しています。

 もし、細川勝元の下、足利義政が動けなくなっていたら、停戦命令が出るようなことは無かった、と私には思われるのです。


 とは言え、細川勝元の軍勢による足利義政への無言の威圧は続いています。

 そして、6月1日に将軍旗を自らに与えること、山名宗全への治罰の綸旨を朝廷に出させること、足利義視を山名宗全討伐軍の大将にすることを、細川勝元は求めることになり、6月3日に将軍旗を細川勝元に与える等、足利義政は細川勝元の要求を認めていかざるを得なくなります。


 この時、足利義視が山名宗全討伐軍の大将になることを細川勝元が求めた理由ですが、私としては、文正の政変で足利義視が山名宗全を最初に頼った経緯等から、足利義視が山名方に奔ることを細川勝元が警戒したからではないか、と思います。

 足利義視としても、細川勝元に山名方に自分が奔ることを疑われていることを熟知しており、そして、現在、自分の周囲にいるのは細川方の軍勢ばかりです。

 そうしたことから、足利義視は、応仁の乱の初期において、積極的に細川方として動いたのではないか、と私には思えます。

 それに、足利義視には、積極的にならざるを得ない事情が、他にもありました。


 足利義政が、応仁の乱勃発に伴い、自らの政治権力を取り戻すために、伊勢貞親ら、かつての自らの側近グループを呼び戻そう、としだしたことです。

 かつての文正の政変の事情から言って、足利義政の側近グループと、足利義視は不俱戴天の仇と言っても過言ではありません。

 足利義政は、所詮、足利義視は自分の弟で、自らの傀儡に過ぎない、と軽視していたのでしょうが。

 足利義視は、伊勢貞親らが復帰したら、自分の身が危うくなる、細川勝元に積極的に協力すれば、細川勝元が、伊勢貞親らの復帰を阻止してくれるのでは、と考えたように思われます。


 少し話が先走りました。

 ともかく、こうして細川勝元が、朝廷、幕府を抑えてしまったことにより、山名方は、反幕府、反朝廷勢力に転落します。

 細川勝元は、これにより山名宗全らは京を離れるだろう、と考えていたのかもしれませんが、山名方は京での徹底抗戦を決断します。

 それにこの決断には、それなりの裏付けがありました。


 まず、大内政弘が、山名方に与していることです。

 大内政弘が軍勢を率いて、上洛してくれば、形勢は逆転できる、と山名方は考えたのです。


 更に戦術も深化していました。

 敵軍との攻防の際、井楼や堀を築くこと自体は、それこそ南北朝時代から見られていましたが、それを活用する術が深化しており、京の街中に井楼や堀が築かれたのです。

 その結果、第一次世界大戦の塹壕戦のように、細川方は山名方を攻めあぐむ羽目になります。

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