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第4話

 話を変えますが、足利義政について、一般的には政治に無関心で、そのことが応仁の乱を招いたとされることが以前は多かった、と思われます。

 しかし、最近は足利義政は積極的に側近と政治を執り行っていた、とされることが多いようです。

 応仁の乱以前、義政にとって、重要な政治課題の一つが、享徳の乱への対処でした。

 何年にもわたっての対陣が続き、前線では厭戦気分が高まっていましたが、義政やその側近らとしては、成氏を屈服させる形での終結を望んでいました。


 そのために、義政は既述のように斯波氏の家督問題に介入を行う程でした。


 さて、よく知られていますが、義政は中々、男子の出生に恵まれませんでした。

 義尚が実際に生まれた時、既に義政は30歳近くになっていました。

 人生50年の時代です。

 義政としては、仮に今から男子が生まれても、その子が幼い内に自分が死ぬことを本気で心配しないといけませんでした。

 そのための方策として、義政が考えたのが。


 弟の義視を、いわば中継ぎの将軍にすることでした。

 念のために義視の正室に、自分の正室、日野富子の妹を嫁がせ、妻の富子から見れば、二重の義弟にもすることで、自らの後継者として保障します。

 実際、富子にしてもこのことはメリットがあります。


 この時代、乳幼児の死亡率は極めて高く、自分が産んだ子が育たないことを、本気で母親は心配しないといけませんでした。

 富子の妹、義視の正室が産んだ子は、富子からすれば実の甥姪になります。

 つまり、富子の子が育たたなくとも、富子の妹と義視の間の子が成長すれば、富子の血縁者が将軍になれる訳ですから、富子にしても、そんなに反対する理由は無いのです。


 そして、義視が徐々に出世して、次期将軍の地位を固めようとしたのですが、このことが義政の側近、伊勢貞親らとの軋轢を生みます。

 伊勢貞親らは、義視が地位を固めることは、自分が将軍の側近としての権勢を失うことだ、と考えて、義視を讒言し、追い落とそうとします。


 更にこの事は、予てからの義政の側近を重用しての政治に反感を抱いていた有力守護大名たちの憤激を急激に高めることになります。

 伊勢貞親らは、義政の意向もあり、関東での戦乱、享徳の乱への介入に積極的でした。

 また、足利将軍家と微妙な関係の続いている山名家を牽制するために、赤松家の復帰にも積極的でした。

 そうしたことは、長年続いている享徳の乱に倦んでいる有力守護大名の面々から反発を受けており、特に山名宗全の怒りを募らせていたのです。


 義視を追い落とそうとした、義政の側近、伊勢貞親らの行動は、有力守護大名のほぼ全員に堪忍袋の緒が切れる事態を引き起こし、山名宗全と細川勝元らが協調したことから、伊勢貞親らの没落、追放という事態まで引き起こされます。

 いわゆる文正の政変の勃発です。


 これにより、義政の側近政治は一時的に命脈を立たれる事態が生じます。

 山名宗全も細川勝元も、義政の側近、伊勢貞親らの没落、追放という一点については共闘できたのです。

 ですが、この後の路線で、山名宗全と細川勝元とは対立することになります。

 それは畠山義就の存在でした。

 

 畠山義就と山名宗全は、畠山義就が一時的に家督を継いでいた際に、大和の国人同士の騒乱鎮圧のために共闘する等、以前から面識がありました。

 更に、畠山義就の宿敵、畠山政長は、細川勝元と深く長いつながりを持っています。

 畠山政長に勝つために、畠山義就は山名宗全に協力を求め、山名宗全はそれに応じます。


 娘婿の細川勝元を敵に回すことになる山名宗全の決断により、応仁の乱の導火線に火が付くことになります。

 ですが、この時点では応仁の乱の規模を誰も予期していませんでした。

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