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第2話

 永享の乱は鎮圧され、足利持氏は自害に追い込まれますが、この後、関東は騒乱が相次ぐことになり、結城合戦、享徳の乱と事件が立て続けに起きることになります。

 そして、応仁の乱の直前には、大雑把に言ってですが、享徳の乱が10年以上も続いており、東関東で足利持氏の遺児にあたる足利成氏が、いわゆる古河公方となって割拠し、西関東を抑えた関東管領の上杉氏と対峙する状況になっていました。


 説明を大幅に端折りますが、このことが家格としては、三管領筆頭と謳われた斯波氏に混乱を招きます。

 第7代当主の斯波義淳が管領を務めた後、家督自体はその弟、義郷、更にその子、義健と継がれますが、管領を務められるだけの年齢、力量が無く、義健が18歳で急逝したことから、本家に適当な後継者が不在という事態になってしまい、重臣の甲斐常治が主に動くことで、斯波氏の分家の義敏が、斯波氏の第10代当主に迎えられることになります。


 ですが、甲斐常治と斯波義敏は、在地武士との関係等を巡り、全面的に対立してしまい、私戦に及ぶ事態が発生してしまいます。

 このことが、足利義政の斯波氏の家督への介入を招くことになります。


 享徳の乱において、足利義政は幕府の権威を守るため等の目的から、異母兄の政知を、いわゆる堀越公方として関東に向かわせて、享徳の乱の積極鎮圧にあたることになります。

 ですが、その一方で、関東管領の上杉氏と堀越公方が一体化しては、古河公方と同様の事態が起こりかねないとして、様々な介入を義政は行います。

(関東公方から古河公方への流れを見れば、義政の杞憂とは必ずしも言えない)


 そして、斯波氏は奥州探題の大崎氏、羽州探題の最上氏の本家に当たり、越前、尾張、遠江の三国守護を兼ねる守護大名にして、管領家でもあることから、義政にしてみれば、享徳の乱の鎮圧に当たり、極めて有力な存在だったのですが。

 上述の事情から、斯波義敏は享徳の乱の鎮圧のために関東に赴くどころではなく、義政の信任を失ってしまいました。


(ただ、それ以前、7代当主の義淳の頃から、詳細な事情は不明ですが、斯波家の経済状態は苦しかったようで、義淳やその重臣は、管領を財政的にも務められない、として辞任をしばしば求めているようです。

 越前、尾張、遠江とそれなりに裕福と思える三国の守護大名が、何故にそのような経済状態になったのかは、私には不思議でなりませんが。

 そんな事情も相まって、貧すれば鈍するではありませんが、義敏と甲斐常治は激しく対立したのかも)

 

 そうしたことから、義政が白羽の矢を立てたのが、斯波氏の同族、渋川家の出身である義廉です。

 義廉の父、渋川義鏡は足利政知の補佐役を務めており、そうしたことからも、義政からは斯波氏の家督相続人として、義廉は好適に思われたのでしょう。

 義政の介入により、義敏は斯波氏の当主から追われて、義廉が斯波氏の当主となります。


 しかし、相前後して、渋川義鏡は、上杉氏との間で軋轢を生じてしまい、義廉が斯波氏の当主となった翌年には、渋川義鏡は失脚してしまいます。

 更に渋川家から入って家督を相続したことも影響したのか、義廉は奥州探題の大崎氏とも軋轢を発生させてしまい、享徳の乱の鎮圧に関して、義政の期待に反することになります。


 そして、これなら、義敏の方がマシであるとして、義政は義廉を見限り、義敏の復権を図ります。

 そうした事態から、義廉は山名宗全の庇護を頼る事態が発生してしまいます。

 私の見る限り、義政の無定見が、斯波氏の家督に関する混乱を招いた、と思うのですが、皆様はどう思われますか。


 更に管領家の一つ、畠山氏も似たような家督争いにより翻弄されることになります。

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