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第12話

 1472年になると、東軍も西軍も諸将の多くが戦に倦んでしまい、和平を望むようになります。

 そもそも論から言えば、東軍の主将、細川勝元は、西軍の主将、山名宗全の娘婿であり、それこそ畠山氏の家督問題について、山名宗全が畠山義就支持を打ち出すまでは、身内同士で仲が良かった関係なのです。

 そうしたことから考えれば、それこそ何故に何年も細川氏と山名氏が争わねばならないのだ、そろそろ和平をと言う声が挙がるのも、ある意味、当然の話でした。

 しかし、これは意外と難航することになります。


 まず、細川勝元にしても、山名宗全にしても、東軍、西軍の主将とはいえ、他の諸将に対して、絶対の威令を持つほど、強い存在では無かった、ということです。

 そして、東軍では赤松政則が、西軍では大内政弘と畠山義就が、和平に主に反対し、それを細川勝元も山名宗全も抑えられませんでした。

 ちなみに何故に、この3人が主に反対したかですが。


 まず、赤松政則は、赤松家の本貫の地と言える播磨、備前、美作について、応仁の乱に乗じて、ほぼ奪還に成功していたとはいえ、和平が成立した場合に、山名氏が攻め込むことを怖れていました。

 そのために、播磨、備前、美作について、赤松氏の領土であることを山名氏が認めることを求めましたが、山名氏にしても、三か国の事実上の割譲と言う和平条件受け入れは、早々呑めなかったことです。

 そのために、赤松政則は、和平に反対しました。


 大内政弘にしても、ここまで戦っている以上、長門、周防、豊前、筑前の守護職が保障されずに、和平を結ぶわけにはいきません。

 それに、参戦の見返り無くして和平では、何年も本国から離れて戦っている部下に対するいわゆる示しがつかないという理由もあったでしょう。


 畠山義就に至っては、もっと深刻です。

 ここで東軍と和平では、畠山氏の家督を継ぐのは、畠山政長になるのは必至です。

 何のために、京で長年、戦ったのか、分からなくなってしまいます。


(ちなみに、斯波氏については、朝倉孝景の寝返り等により、斯波義廉は既に劣勢となっていました)


 こうした反対があったためや、既にお互いに体調を崩していたのもあるのでしょう。

 細川勝元も、山名宗全も、半ば勝手にお互いに和平を結ぶ方向で動きます。

 その一環として、1472年に細川勝元も山名宗全も隠居して、細川勝元は山名宗全の孫でもある息子の細川政元に家督を譲り、また、山名宗全も孫の山名政豊に家督を譲りましたが。

 皮肉なことに、1473年に山名宗全と細川勝元が共に亡くなり、和平の流れは一旦、頓挫します。

 しかし、上記の3人が幾ら反対しようとも、最早、和平の流れを止めることはできませんでした。


 まず、1474年に細川氏と山名氏の間で、単独和平が成立します。

(なお、同年、足利義政は、息子の足利義尚に将軍を譲ります)

 1475年には、斯波義廉が尾張に下向し、事実上、西軍から離脱してしまいます。

 1476年には、足利義視が兄の足利義政に西軍に参加したことについての詫びを入れ、それに対し、義政も弟の罪を不問にすることを約束します。

(もっとも、足利義視が正式に赦免されることはなく、その後、足利義視は美濃に下向します)

 1477年には、畠山義就が河内に下向し、最終的に大内政弘が長門、周防、豊前、筑前の4か国の守護職を幕府から与えられるのと引き換えに、軍勢を率いて周防へと帰還し、それを受けて、残っていた他の西軍諸将も本国に下向等することで、ようやく応仁の乱は終結します。


 なお、赤松政則は、播磨、美作、備前の三か国の守護に、幕府から任じられますが、山名氏との紛争は、応仁の乱終結後も長く続くことになります。 

 これで本編は終わります。

 次で、余談兼エピローグを投稿して終わります。


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