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第11話

 1468年11月に足利義視が西軍に担がれた後、京周辺での戦闘はやや西軍優勢で固定化したようです。

 こうした状況を打破するために、東軍は、西軍の後方かく乱等を図るようになります。


 例えば、大内政弘の叔父、大内教幸やその周囲を指嗾して、大内氏の本国で反乱を起こさせています。

 これにより、大内政弘とその軍の主力を帰還させ、戦況の打開を東軍は図ろうとしたのですが、結果的にはそれは失敗に終わり、大内政弘とその軍の主力が帰還することはありませんでした。


 ですが、西軍諸将の有力者である斯波義廉の重臣であった朝倉孝景を、紆余曲折はありましたが、東軍方に1471年にようやく寝返らせることには成功することになります。

 そして、朝倉孝景は越前を制圧することになり、越前を介しての西軍の補給路を切断することに、東軍が成功することになったことで、応仁の乱の戦況が動くようになります。


 この辺り、応仁の乱の補給路について、私なりに調べたのですがよく分からず、かなり私の憶測が入るのですが、東軍は大阪湾や淀川の水路を主に活用して、京の軍勢の補給の多くを維持していたようです。

 実際、この経路は基本的に細川、赤松がほぼ優勢に確保しており、西軍は通商破壊的な行動はできても、この経路を軍事的に切断することは困難だったようです。

 これに対し、西軍が京の軍勢の多くの補給に活用したのが、日本海の諸港から越前に物資を揚陸、更に琵琶湖水運を活用しての経路だったようです。


 西軍の領土からすれば、山陰路を介して丹波等を通る陸路の補給があるのでは、と思われそうですが、陸路の補給路よりも、水運を活用しての補給路の方が、この時代では多くの補給物資を運べます。

 そうしたことからすると、この越前の失陥は、西軍にとって大きな痛手でした。

 この後、西軍は、美濃の土岐成頼(というより、その重臣の斎藤妙椿)による美濃方面から琵琶湖水運を活用しての補給に多くを頼るようになったようです。


(最も、そう容易に朝倉孝景の越前制圧が成ったか、というとそんなことはなく、かなり苦戦をしており、一時的には、かつての主君、斯波家を名目上の主君として朝倉孝景が担ぐ等の事態があった後になります)


 更に同じ、1471年に関東で続いていた享徳の乱において、古河公方側が劣勢となり、一時的に古河城を放棄のやむなきに至る、という事態が起きます。

 このことは、従前の経緯から、(どちらかというとというレベルではありましたが)古河公方寄りだった西軍にとって、戦況の悪化を感じさせる事態となります。


 この状況を打開するために、西軍の山名宗全らは、いわゆる「西陣南帝」の擁立を画策します。

 この「西陣南帝」の素性ですが、いわゆる後南朝の小倉宮家の一人らしいことが、当時の資料には記載されているそうですが、詳しい系図は不明の方です。

 西軍の山名宗全らは、「西陣南帝」を担ぐことで、朝敵と言う立場を免れようと考えたのでしょう。


 しかし、「西陣南帝」と所領が重なる畠山義就は、この擁立に消極的でした。

(後南朝の勢力は、紀伊、河内に残存しており、基本的にですが、紀伊、河内は畠山義就の所領でした)

 更に、足利義視も難色を示します。

 この頃になると、戦況の悪化もあったことから、足利義視は、兄である足利義政との和解を、真面目に考えるようになっており、その際には朝廷に仲介してもらおうと考えていたのでしょう。

 しかし、「西陣南帝」を擁立しては、朝廷まで完全にこの応仁の乱に巻き込むことになり、朝廷による仲介が望めなくなってしまいます。


 こういった足並みの乱れもあって、「西陣南帝」は最終的には西軍に放擲されたという結末になります。

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