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第10話

 ですが、これは後から見れば、山名方にしても、京における細川方に対する攻勢は成功しづらい状況に陥っていたということでもありました。


 1467年8月に、山名方が心待ちにしていた大内政弘の軍勢が上京し、今度は山名方が、細川方に対して攻勢を基本的にとるようになります。

 しかし、細川方はこの攻勢を耐え忍び、同年10月のいわゆる「相国寺の合戦」は、相国寺等の占領によって山名方の戦術的勝利に終わったとはいえ、双方におびただしい戦死傷者を出して、結果的にはほぼ引き分けと言って良い結果となりました。

 この戦い以降、京における直接的な戦闘により、自軍が勝利を収めることを、細川方も、山名方も余り追求しなくなり、むしろ膠着した戦線を、様々な裏工作等で打破しようと試みるようになります。


 そして、この頃になると、細川方はともかく、山名方は船頭多くして船山に上るではありませんが、山名方諸将それぞれの事情が、かなり出るようになり、必ずしも一枚岩とは言い難くなってきます。

 それもあり、これ以降、細川方を東軍、山名方を西軍と呼称しますが。


 時系列が相前後しますが、大内政弘の上京とほぼ同時期に、足利義視が伊勢へ逃亡するという事態が起きています。これは文正の政変で対立していた伊勢貞親が、結局は6月中に上京したことから、自らの身辺に不安を感じた足利義視が逃亡を決断したのだ、と私には思われます。


 なお、この頃、大内政弘の上京、足利義視の逃亡を知った細川勝元は、西軍に通じたとして東軍側の20名余りの足利義政の近習を処刑しようとし、3,4名が実際に処刑され、残りが逃亡したとのことです。

 これがえん罪なのか、事実なのか、今一つ判然としませんが、西軍と足利義視のつながりが、陰ではあり続けたことから、細川勝元は、一部の去就が怪しい足利義政の近習の処断を決断したのでは、と私には勘繰られてなりません。


 そして、「相国寺の合戦」後はダラダラとした東軍と西軍が対峙する戦況が続く中、翌1468年8月頃から、足利義政は東西両軍の和睦を画策しだします。

 足利義視を伊勢から呼び戻して、全ての乱関係者を京に集め、また、自らの片腕とも恃む伊勢貞親の本格的な復権により、足利義政は自らが応仁の乱の和平を主導しようと画策しますが、これが足利義政にしてみれば、全く予想外の事態を引き起こします。


 何と、足利義視が西軍に奔り、西軍諸将から将軍に担ぎ上げられるという事態が起きたのです。

 しかし、私の見る限り、これは足利義政の浅慮にも程がある事態でした。

 既述のように、伊勢貞親と足利義視は、不倶戴天と言ってもよい仇敵なのです。

 そして、足利義政の指示があったのか、細川勝元は、西軍に奔る前の足利義視に出家を勧めています。

 足利義視にしてみれば、このまま東軍にいては、殺されるか、出家しかない、それならば、自分は西軍に奔るまでだ、と思いつめても仕方ない、と思われてなりません。


 そして、このことは、足利将軍が2人存在するという事態が引き起こされた、ということです。

 西軍は、足利義視を将軍に押し立てることで、反乱軍と言う名目を免れたのです。

 これは、西軍諸将の反乱軍と言う後ろめたさを(自らや部下の内心レベルに過ぎない、と言われるでしょうが)、消し飛ばすに足るものでした。


 更にこの事は、東軍と西軍の講和を困難にし、応仁の乱の長期化を招くことになります。

 足利義政にしてみれば、弟が西軍に奔り、将軍になって、自らの公然たる敵になったのです。

 近親憎悪も絡んだのか、足利義政は、それまで東西両軍の講和を図ろうとしていたのに、一転して完全に東軍方に積極的に立ち、西軍に敵対するようになります。

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