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1-6

いつまで続くかはわかりませんがよろしくお願いいたします。


更新も不定期でございますので暇つぶしに読んでいただけますようお願い申し上げます。



「軍団の編成は終了、配備も完了しております。アーロン殿には歩兵隊の副官、ダニエル殿は守備隊隊長になっていただきました。後、補充人員も到着したので行政関係も回り始めました」


「それは分かったがなんだ、この書類の山は?」


「各地域を調べたアベル隊からの報告書と守備隊からの街道などの修復願いや民からの陳情などですね」


 はぁ、やっと三か月。文官達は俺やオディアの同級生でも優秀な連中が送られてきた。それでバラバラになっていた法律や戸籍を統一する為に時間がかかった。統治する貴族ごとに法律も税率も違うし、戸籍も曖昧で死者が生きていたり、その逆も然り。とにかく、俺とオディアをはじめてとした文官達はこの三か月は激闘だった。


 なのに、目の前には書類の山が存在している。何故だ!? 昨日もあれと同じくらいの書類を処理したはずだ。俺は幻覚を見ているのか?


「目をこすっても書類は消えませんよ。もう少しで、落ち着くと思いますので頑張りましょう」


「分かっているが、これは辛い。後、コペルニクスからは独自にやっていいとか返事が来たがアイツは頭に蛆でも湧いたか?」


「蛆は湧いていないと思いますが古い制度を持ち出して、何がさせたいのかはわかりませんね」


 俺の前に任命された総督はもイルドラード王国独立戦争前である。そんな、古臭い制度を使ってまで俺に何をさせたいのだか。


「カマル君は未だに貴方が王にふさわしいと考えているのですかね?」


「さぁな、俺は気色悪い貴族連中の為に身を粉にして、働きたくないから親父と一緒に隠居しようとしたのに軍属になり、今は天下のバーラ総督殿だ。何がなんやら」


 バーラ総督が今の俺の肩書だ。前までは適度な訓練をして、軍部の会議に出て、アベルの報告を聞いて、一日が終わっていた。それが今は朝から晩まで書類の山との戦いである。たった、半年でここまで生活が変わるとは想像することが出来なかった。


「怪物は人間の王になれない、でしたっけ?」


「カマルに王位を譲った理由を聞かれたときに答えたやつだな。当然だろ、人を率いるなら統率者は人間じゃなければならない」


「貴方は怪物じゃなく人間では? しかも、軍で人間を率いているではありませんか?」


「人間とは久しく扱われた覚えはないな。個人で戦略魔法を使える奴は軍から見たら兵器で民間人から見たら化物らしいぞ。軍人は国の命令を遂行するために行動するから個人の感情なんて考えなくていいから指示も楽だ」


 軍からは兵器扱いされて、町の人間からは化物扱いされるようになった。しかも、王族で嫡男にもかかわらず、継承権を返上したために不義の子ではと言われ、血統すら疑われ始めた。


 噂を聞いた親父がキレて、神に宣誓して俺を実子であると証明した。後は噂を積極的に広めていた貴族は社交界から締め出されて、二進も三進もいかなくなり爵位を返上した。


「まぁ、この部隊は変人ばかりだから化物程度の俺は目立たないよな」


「……この人は本気で言っているのですか?」


「なんか言ったか?」


「いえ、何も」


 オディアが一瞬、驚いた顔をしていたように見えたが気のせいだったか。まぁ、この書類の山を片付けようとしようかね。


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