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いつまで続くかはわかりませんがよろしくお願いいたします。
更新も不定期でございますので暇つぶしに読んでいただけますようお願い申し上げます。
「集まったか~?」
「はい、アルター部隊各隊長また、治安維持を任されている第五十九、六十軍団の団長も集合完了しております」
併合したバーラ連合国はイルドラード王国の南西の地方貴族が独立して、出来た国である為に外敵が居なければ、常に領土の取り合いしている。
連合国を構成していた貴族の城は軍事的機能が皆無だった。なので、駐屯軍は交通や機能が良かった砦を修復して、利用していた。
「えぇ、ここに|クソ野郎≪国王陛下≫からの部隊への命令書と俺への任命書が入っていたと思われていた封筒がある」
「思われていた?」
「あぁ、俺はそう思っていたが実際は封筒の中には一枚の任命書しか入っていなかった。フォボス・オートスをバーラ総督と任命する。また、アルター部隊、第五十九、六十軍団は総督府付けとする。オートス聖王国五十九代国王カマル・オートス」
会議室にいる人間の顔に驚きが浮かんでいた。国土は小さいながらもバーラ連合国の領土を引き継ぎ、軍事面では軍団二つに筆頭大隊で総勢一万五千弱の兵力を有している。これは一国の地方では無く、一つの国と成立するだけの力を保有していた。
「なるほど。フォボス様と関係が深く、異国人と獣人で固められている我々が居残りだったのですね。納得しました」
「全員が気付いている通り、これは事実上の国家だ。我々がすることは先ず、軍団の再編成する。軍団長、意見は?」
「ありませんが出来れば予備役は勘弁願いたい。貴方様に我が命を奉げたいので」
「私もアーロン団長と同意見です」
アーロン団長はアイオニオン帝国からの移民二世である。今のアイオニオン王になってからは税は軽減されたが前王の時は非情に重い税でアイオニオン帝国から逃げる民は少なくなかった。
職を手にするために軍に入ったアーロンは通訳をしていた経験を活かし、現場で厄介者扱いされていた異国兵をまとめあげた。それが評価され、士官教育を受け、異国人だけで編成された第五十九軍団の団長となった。
もう一人の団長のダニエルは獣人だ。ルシャ王国で奴隷になって、オートスの軍部に戦奴と買われた。その後、自分を買い戻したがそのまま軍に所属して、アーロンと同じく士官教育を受け、戦奴と獣人の軍団の第六十軍団団長となった。
最初は獣人を団長にすることに強い反対があったがそれ以上に賛成する声が上がったことにより無事に団長となった。ダニエルの奴隷から団長までの人生は絵本になっており、獣人や奴隷の中で憧れの人物でもあった。
個人的には二人と士官教育を同じ時期に受けたので面識があり、アルター部隊としても二つの軍団と行動していたことが多かった。まぁ、扱いづらい奴らで固められただけだけど。
「そうか、ありがとう。オディアは行政関係の準備を始めてくれ。人手は一週間後あたりに来る」
「私への指示は雑ですね」
変人一号には下手に指示を出さない方がいい、その方が最大の成果を得ることが出来る。しかし、総督までになると政治までに口出ししないといけないよな。俺は軍人以外を率いることが出来るんかね。