1-3
いつまで続くかはわかりませんがよろしくお願いいたします。
更新も不定期でございますので暇つぶしに読んでいただけますようお願い申し上げます。
「集まってるか~」
「各隊長、集合完了しています」
アルター大隊の兵舎は王都の城壁から少し離れた、砦にある。砦と言っても軍部関係者以外にも商人などの民間人も居るため、砦を中心にして一つの町を形成している。しかし、騎士団は王城に兵舎があるのは移動が楽だから羨ましい。
「俺はバーラ地方代官を拝命した。部隊も代官直属の部隊として、派遣されることが決定している」
「うへぇ~、旦那。マジですかい?」
「マジ」
俺に対して砕けた口調で話しかけてきたのは潜入や暗殺を担当している部隊を率いるアベル。顔から尻まで部族を示すタトゥーが彫られている。普段から目立つ人間だが任務となれば、見つからない、逃がさない、生還すると三拍子である。
「アベル殿、貴殿はフォボス様の家臣の一人であろう。主君にそのような口調、改めぬか」
「オーギュストは堅物過ぎるんよ。俺っちみたいに軽めに生きようで~」
あいつらは水と油だな。軟派なアベルと硬派なオーギュストは俺に対するアベルの砕けた態度があまり気に入らないというか家臣の態度ではないと説教している。騎士隊の長として、礼節を大切するのはいいんだがそれを人に強要するのはいただけないって、本人に言ったらコペルニクスを巻き込んで説教してきた。それ以来は俺も口を出さないようにしている。決して、怖いわけではない。怖いわけではない。
「師匠が行かれるなら着いて行くまでです」
「メシアが居られる場所が私の在処でございます」
魔法隊隊長のプリュイよ、給金を出しているんだから一応は命令に従って行動してくれよ。後、ジールも俺のことをメシアとか呼ばんでくれ。あぁ、なんでこの変人達が世界でも有数な魔術師なんだろう。
「他の三人は何か意見はあるか?」
「ワシは命令に従うのみ」
「ロットナーに同じく、後は久しぶりに大隊長と手合わせしたい」
「同じか今より広い研究室があるなら従います」
上から工兵隊隊長ロットナー、歩兵隊隊長ポーザー、錬金術師のルケス。ロットナーは模範的な軍人であるから命令に忠実だ。だが、コレクションしている酒を勝手に飲んだら最後、ハンマーで良くて半殺し、悪くて殺される。黙って、いい酒を呑んでも不貞腐れる。案外、めんどくさい存在である。ポーザーは指揮が出来る戦闘狂。
ルケスは資金不足で悩んでいた時に声をかけた。研究費用を出す代わりに新しい武器や防具の開発、魔法陣などの研究をすることを条件に出したら泣きながら喜んで承諾した。それ以来、アルター部隊と共に行動している。
「私には聞かないのですか?」
「変人一号、お前に拒否権はないぞ」
時々、思うのだがこいつら軍属ってことを忘れてないか? だから、他の部隊から王兄の私兵集団とか呼ばれてるのかね。まぁいい、準備を始めようかね。