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2匹目

ある日、チカが言った。


「新しくバイトに入ってきた多部君って男の子がさ、すっごい可愛いんだよね。大人しくて、ちょっとなよなよしてるんだけど、真面目で、イジメたくなる感じ?」


私は頷きながらそうなんですね、と聞こえるか聞こえないかくらいの音量で相槌を打った。


それから度々、チカの話に多部が登場するようになった。多部は彼女より年上で、見た目はどうやらハンサムらしかったが、気の弱い、チカとは真逆と言える性格の持ち主だった。


チカの話というのはどの話も面白く、私はそれを笑顔で心底楽しみながら聞けたが、多部の話はどうも苦手で、心の中にモヤモヤと黒い霧がかかるような感じがした。


その時の私にはそれが何だったのかはっきりとはわからなかったが、今ならわかる。あれは嫉妬だった。


「で、そん時多部君が『僕はいいです。』って言ったの。いいわけないじゃん!おかしくない?」


笑顔で多部の話をするチカに曖昧な相槌を打っては、心の黒い霧を洗い流すようにコーヒーを飲んだ。

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