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つまらな異世界の魔法がしょうもないので元の世界からロケランをお取り寄せ  作者: 崖の上の海王星
異世界生活3年目の現実編
2/3

名を武南、生き様は無難

 俺の名は武南太郎。名前の通り無難な人生を送ってきた男だ。


 異世界に来て楽しいことがあるかと思いきや元の世界よりハードだし。

 その対価であるはずの美少女が一人もよって来やしねー。


 そのうえ、最近俺が魔王みたいな噂が世界中に流れてるらしい。

 昨日みたいな奴らがひっきりなしにくる。


 一体俺がいつ何をしたってんだ。

 これ以上俺の人生の邪魔をして何が楽しんだよ。

 くそが!


 俺は悪態をつきながら壁の修復にとりかかる。


 魔法など使わぬ。

 今の俺は錬金術師だ。


 魔法陣を適当に書いて、ハンドパワーよろしくって具合に念を送る(そんなものないけど)。


 すると、壁はみるみるうちに修復され、元の状態に戻った。


 「全く、ここは俺の家だぞ。これだから最近の若い冒険家どもは嫌いだ」



 俺が転生した世界は、よくある中世ヨーロッパみたいなところだ。

 

 名前がカタカナで誰一人覚える気がなかったっけ。

 マイクとかルーカスとかでいいのに、なぜにホツギョラス・ホイットニー・マッギョレチュとかふざけた名前の奴しかいねーんだよ。

 

 権力と魔力が大きい奴が国を統治してるって感じだ。

 正直反吐が出たね。


 そのくせ、元の世界の企業がなぜかそれらの国に関与してるときた。

 科学力が向上してより一層、民衆は手出しできなくなってしまった。


 するとどうなるか。

 答えは単純。強くなるべく悪に染まるか、権力に押しつぶされるかだ。

 どっちみち死ぬのに変わりないんだけどね。


 結論、この世界はつまらない。

 これが俺が打ち出した答えだ。


 壁の修復を終えた俺は、塔の一室にある仕事場へと足を踏み入れる。


一言で表すとリビングだ。

 

 そこにある机の引き出しからパソコンを引っ張りだし、起動する。


 この世界でここだけ、電波は常時バリ4である。

 もちろん偶々そういう場所というわけではなく、俺が持つ魔法にようものだ。


 俺の魔法について説明しよう!

 使える魔法はただ一つ、物語を生み出すことだ。


 魔法を使うには魔法の書というものが必要不可欠である。


 しかし俺の場合、本を無限に作れるのでさっき壁を修復したみたく錬金術の本を作れば簡単に錬金術師になれるってわけよ。


 それを使って、この部屋だけ元の世界にあるという設定を作った。

 

 初めのころは、この世界での出来事を綴った物語をWEBサイトで投稿してたが、全然売れなくてやめた。

 最近はもっぱら、AMAZ〇NとかY〇UTUBEとかギャンブルぐらいにしか使ってねーな。


 この魔法の素晴らしいところは常識を超えた汎用性なんだよな。

 

 例えば、昨日ぶっ放したロケランだってAMAZ〇Nで購入しだぜ。

 ぶっちゃけなんでも買える。この世界の秘宝も購入だし(誰運営だよって話)。


 俺はそのサイトを開いてロケランと検索する。

 ほらほら出てきた。

 一つ三十万円~か・・・

 フフフ、こちとら錬金術で(きん)、怪盗で(かね)、さらにはネットで仮想通貨までして荒稼ぎ状態なんだよ。

 

 クリック、クリック、クリック!


 ロケランPONPONPON!!


 すぐにロケランが部屋に召喚される。


 このパソコンを秘密道具に推薦希望するわ。

 その名も、スーグークールー。


 果たして30万円のロケラン三つを使う日は来るのだろうか。

 これがいわゆる衝動買いってやつだな。

 ま、別に金には困ってないからいいけど。


 それからしばらくデスクワーク(勝ちの決まったギャンブル等)をし、終えたところでそろそろ昼食の時間である。

 

 食料調達といきますか。


 買ってもいいのだが流石に運動不足になるからな。ある程度の運動は必要だ。

 

 勘違いしないでほしいのは、俺は最強ではないってことだ。

 頭を銃で撃ち抜かれたら即死だし、モンスターの攻撃をまともに食らえば見るに絶えない姿になるからな。いつだって俺は確実に勝つ方法で戦う。


 幸い、ここはモンスターが豊富である。

 食べ物に困るなんてことはない。

 倒せればの話だが・・・・・・な。


 この地に人が住みつかなかったわけではない。住むことができなかったのだ。

 大型のそれも凶暴なモンスターがうじゃうじゃいるためである。

 もちろん俺だって勝てるはずもない。


 魔法ならね。


 

 けたたましい音を立てながら俺は空を飛んでいる。

 「ヘリコプターなう」である。


 遥か眼下に大型モンスターたちを望む。

 

 さあ、人間様にひれ伏しな脳筋どもが。


 俺はヘリコプターに積まれているマシンガンを森にぶっ放す。


 真昼の森に訪れた突如の轟音。そして雨のように降りそそぐ弾丸。

 たちまち緑が赤く染まり、まあきれいな紅葉のこと。


 空を飛ぶプテラノドンもどきが俺に向かって突撃してくる。

 

 あ、使うときあったね。

 俺はさきほど購入したロケランをもどき目掛けて打つ。

 見事命中し、有機物と化した物体が地面に落下する。


 他のもどきは恐れをなしてどこかへ飛んでいく。


 まあ、逃がすわけないよね。

 


 20分後、

 俺は自分の家の半径5キロにわたって集中砲火を続けた。

 その結果、ほどんどの木は朽ちて冬みたいになっている。

 生き物たちは力尽きてほとんど死んでいる。


 俺は適当な場所で着地し何匹かの肉を頂戴する。

 「うん、プテラノドンもどきとぶつかっていい感じの焼き加減だわ。中の油がうめー」


 感謝のつもりで無駄に食リポをする。


 「さてと」

 昼食を終えた俺は再びヘリコプターに乗り、帰路につく。


 どこからともなく取り出した杖を、崩壊した森向かってぐるぐると振り回す。

 

 なんということでしょう。

 汚ねー紅葉に染まっていた森が元通り。死んだ生物は全員復活したではありませんか。


 死んだのは俺が食べたモンスターのみ。


 食べないのに殺すのはよくないからね。

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