未知との遭遇
「ここか・・・・・・」
勇者は重い口調で言う。
目の前に見える塔はてっぺんが厚い雲に覆われ、確認することが出来ないほど巨大である。
「そうね」
姫も同様に重い口調である。
二人がいるのは、人間が住むことのできない凶悪モンスターが大量に住む森。
今までこの地を訪れて帰ってきたものは数えるほどしかいない。
では、なぜ二人がここを訪れたかというと、魔王がいるからである。
居場所は高くそびえたつ塔の中。
人間の住めないところに住むところがまさに魔王の強さを象徴している。
「大丈夫かリリール」
「ええ、大丈夫よ。そっちこそ大丈夫。さっきから震えてるわよ」
勇者はそう言われてはじめて自分の全身が小刻みに震えていることを知る。
だが、勇者は笑って、
「これは恐怖に対する震えではない。武者震いってやつさ」
と答える。
「行こう!」
勇者は姫の手を握る。
「えっ、どうしたの・・・・・・ううん、そうね私たちは二人いるもの」
そう言って姫は手の握りを強める。
二人はいよいよ塔の目の前まで来た。
塔には入り口がなく完全に密閉されていた。
だがそんなことは今の二人には関係ない。
互いに手をつないでない方の手を壁に当て、詠唱する。
「「魔波動」」
衝撃とともに壁はいともたやすく破壊される。
煙が立ち込めるなか人影が見える。
勇者は姫を後ろに下げて、
「勝つぞ!そしてまた手をつないでどこかへ行こう」
という。
「ええ、もちろん!」
姫も力強く答える。
二人は手を放す。
もう怖いものはない。二人は心でつながっているから。
煙が無くなり彼らは目にする。
見られない鉄の塊を肩に担ぐ一人の男を。
「てめぇらウチの前でイチャついた挙句、壁壊してんじゃねーぞ」
汚い言葉を吐いた後、鉄の塊から何かが発射される。
「く、くそ。魔法詠唱が間に合わない。うわわああああ」
「きゃああああああ」
勇者と姫はなすすべなく何かに直撃し爆発。
跡形もなく消えた。
今日の日記
リア充が家の前でイチャつき、家を損傷させた。
損害賠償を請求しようと思ったが、そんな法律がこの世界にあるはずがない。
そのため、手元にあったロケランで粉々に吹き飛ばした。
まさか、現実にリア充を爆発できるとは。感動である。