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第03話 罠を仕掛ける者あれば解く者あり(1)

「ほら、何やってるの。さっさと起きなさい!」

「ううーん。……あれ? なんだここ。なんか辺り薄い虹色の不思議空間になってんだけど」

「ようやく起きたわね。ここはね、マヒルの夢の中よ」

「はぁ? 夢の中だぁ? 今あんた起きたわねって言ってたじゃないか。なのに夢の中?」

「細かいことは気にしないの! ここはマヒルの夢の中であり、現実なの。これは間違えようのない事実なの」

「……あんた、メチャクチャなこと言うのな。夢の中で現実ってどっちっだよ。――つーかあんた誰?」

「ふふん、よくぞ聞いてくれました。耳かっぽじってよーく聞きなさい。私の名前はイルフェナ。女神イルフェナよ!」

「はぁ、女神っすか、そりゃすげーや。まぁ夢なんだから女神だろうと悪魔だろうと出てきてもおかしくはないか」

「さっきも言ったでしょこれは現実よ。まぁ信じられないのも無理はないわね。あんたの世界には私みたいな美しい女神なんて実在しなかったでしょうから」

「確かに少なくとも僕は見たことが無いな。本物も自称女神も」

「私は紛れもなく本物の方よ。……やめましょう、このままじゃ話しが進まないわ」

「あんたが自分は女神だとか言わなければよかったのに」

「ともかく! 私が夢に出てきたのには理由があるの。私はね、マヒルのお祖父さん、ジュリオからあんたのサポートをお願いされているの」

「祖父さんから?」

「そうよ。ジュリオはマギカルト鉱石を集めるよう遺言を残していたでしょう? でも、マヒルと使用人だけだと心配だからと私にサポートを頼んだの」

「そりゃあ誰か助けてほしいとは思ってはいたけど。……だからといってこんな夢みるなんて」

「私はあんたの夢の中にしか現れることが出来ないんだから仕方ないでしょ。さっきも言ったけどこれは現実よ。その証拠に私はマヒルの事なら何でも知ってるんだから」

「そりゃあ、僕の夢が作り出した奴なんだから僕のことは何でも知ってるだろ」

「そう言われればそうね……。ならマヒルの知らないことにしましょう。そうね……ジュリオは今から約一年前の六月十五日に亡くなったのよね」

「……ああ、そうだよ」

「フィーネのお母さん、フィルネアはその四日後の六月十九日に亡くなっているわ」

「……なんだと?」

「嘘だと思うのなら目が覚めた後フィーネに聞いてみなさい、そう答えるから。――どう? これはあなたの知らないことだったでしょう。少しは信じてもらえたかしら」

「もしそれが本当ならな」

「あんたは強情よね。そしてとても生意気」

「一つ聞きたい。なぜ今日僕の夢に現れた? サポートするというのなら遺言を聞かされた当日にくるべきじゃないのか?」

「だってあんた、昨日は自分の世界で寝たじゃない。私はイルヴァレースでしか夢に出ることが出来ないんだもの」

「イルヴァレースってのは確か――」

「私たちの世界の名前よ。マヒルの世界は地球っていうんでしょう。そのなかの日本ってところで生まれて暮らしてたのよね」

「それも全部祖父さんが?」

「もちろんそうよ。言ったでしょう、私はジュリオに頼まれたんだって。――あ、そろそろ目が覚める頃ね。フィーネに確認することわすれるなよー。じゃあねー」

「な、そんないきなりっ! ちょっとまて、まだ話しは――」




 どしん、という音と共に背中の痛みで目を覚ました真昼は、背中をさすりながら上体を起こす。


「いってて……。あれ? ここは……」


 あたりを見回してみればそこは見慣れた自分の部屋ではなかった。昨日こちらの世界で寝たことを真昼は思いだす。

 ベッドから落ちるという最悪の目覚め方に頭がぼーっとする。まだ痛みが引かない背中をかばいながら立ち上がると、夢のことを思い出した。


「しかし妙な夢だったな」


 真昼は夢の内容は目が覚めたら忘れてしまうのだが、今回の夢は妙に鮮明に覚えている。その慣れない感覚に夢の記憶を初めから辿っていると急に目が覚めた。


「フィルネアさんが亡くなったのは去年の六月十九日」


 自分の知らないことを夢の中の女神――イルフェナは確かにそう言っていた。そして自分が樹里男からサポートを頼まれたとも。


「確認する必要があるな」


 そうつぶやくと真昼は寝室を出てフィーネを探す。真昼の声にフィーネからの返事が返ってきた。その声がした方へ行くと厨房にたどり着き中にはフィーネがいた。どうやら朝食の準備をしていたらしい。


「どうしたんですか、ご主人様。あ、さっき大きな音がしましたけど、もしかしてベッドから落ちたんですか? 実は私もよくベッドから落ちるんですよー。あれ背中がすごく痛いですよね」

「そんなことよりっ。フィーネ、教えてほしい。お前の母親、フィルネアさんが亡くなったのは去年の六月十九日なのか?」


 真昼の突然の質問に、フィーネは目をぱちぱちとさせた後ゆっくりと頷く。


「はい、そうですけど……。あれ、わたしお母さんが死んだ日言いましたっけ?」


 イルフェナの言う通りだった。イルフェナは真昼の夢の中で自分の知らないことを言い当てた。


 自分が予知能力とか、知らない情報を引き出せる力を手に入れたのかと真昼は思った。しかしそれよりも、この世界は魔法という不可思議なことが使えるのだからイルフェナが言っていることの方が、信憑性が高いと思いなおす。自分のことを女神だとかおかしなことを言っていたが、よくよく考えれば樹里男の関係者ならまともな人の方が逆に不自然のようにさえ思え、より信憑性が増した。


 真昼は厨房を飛び出すと先ほど自分が寝ていた寝室へ走り出す。


「あれっ、ご主人様どこ行くんですかー? もうすぐ朝ごはん出来ますよー」

「あとで食べるから取っておいてくれ!」


 寝室に着くとすぐさまベッドに横になる。しかし、先ほど起きたばかりに加えこれだけバタバタとしていれば目が覚めるというもので、今は全く眠くない。

 寝ろ、寝ろ、と思えば思うほど眠気はどこか遠くに行ってしまい、いつまでたっても眠ることはできなかった。




 朝食兼昼食を口に運びながら真昼は憂鬱な気分に浸っていた。

 結局眠れたのはベッドに入ってから二時間後のことであり、さらには夢を見ることもイルフェナと会うこともできずそのまま目を覚ました。その上携帯電話で時間を確認してみればちょうど十二時を回ったところだった。二度寝のせいか寝すぎのせいか頭はずっしりと重たい。


 だらだらと一階に下りた所で出会ったフィーネは真昼を見ると口を尖らせた。聞けば真昼が戻ってくるのを待っていて朝食を食べていないらしい。

 フィーネと一緒に昼食を食べていると次第に頭がはっきりしだしたので、真昼は考え事に頭を使う。


 気にはなるが夢のことは一旦棚上げにする。まずはこれからどうするかの方が重要だ。

 あんな啖呵を切った以上、ベクトル家からマギカルト鉱石を手に入れるには難しくなっただろう。となれば別の方法だ。

 たしかフィーネは、マギカルト鉱石は店で普通に売っていると言っていた。まずこの方法はどうだろうか。


「なあ、マギカルト鉱石って買うとなるといくらの値段するんだ?」

「うーん、わたしお店に行ったことないので分からないですね……。でもかなり高価なものとは聞いてますけど」


 まぁそれもそうかと真昼は思う。マギカルト鉱石は一般人には用のないものと言っていたしフィーネが知らなくても無理はない。

 それにどちらにしても店売りされている以上買う金が必要になってくる。高価なものであるならばかなりの金が必要だろう。となればまずは金策から始めなければならない。

 フォークに刺したサラダを口に運んでいると真昼はふと気になった。


「なあ、そういえばこの食材を買うお金ってどうしてるんだ?」

「お金ですか? お金はですね、ジュリオ様がご主人様の為にと残されたものが、いーっぱいあるんですよー」

「……へ?」


 真昼はフォークを落としかけるがかろうじて阻止する。

 その言葉を確かめるべく昼食の後にやってきたのは二階にある部屋だった。そこには樹里男が真昼の為に残したという、この世界の通貨と思われる硬貨が保管されていた。それは両手に収まる程度の袋で、袋の中には数十枚とはきかない数の硬貨が入っていた。さらにその袋は数えるのが面倒に思うほどに多い。


「これ、全部でいくらくらいあるんだ?」

「えーと、ごめんなさい。わたし分からないです。――この5リィンでお魚が買えますよ」


 フィーネは袋から最も小さい硬貨を取り出すと、そう言った。

 リィンと言うのはこの世界のお金の単位だろうが、この世界での魚にどれぐらいの価値があるのか分からないので、その値段が妥当なのかどうかも分からない。しかし、少なくともこれだけは確実である。


 ここには数えきれないほどの大金があり、それは真昼のものであり、マギカルト鉱石はお金で買えるとフィーネは言っていた。つまりは――


「あんな苦労しなくても普通に買えばよかったんじゃねーか!」




 怒っていても仕方がないと、真昼は再び頭を使う。


 確かに巨額のお金があるが、マギカルト鉱石が高額である以上このお金を使うのは得策ではない。真昼の目的は継続的なマギカルト鉱石の入手である以上、そう遠くない未来に金欠になるのは想像に容易い。もしそうなれば食べることにも苦労することになる。


 しかし、短期的な入手経路としては悪くないとも思う。どちらにせよまずはマギカルト鉱石の購入にいくら必要なのかは知っておいて損は無いだろう。

 となると、別の町に行く必要があると真昼は考える。


 昨日買い出しの際にそれとなく鉱石を販売している店を探したが見つからなかった。加えて鉱石をベクトル家が保有しているのなら、店があったとしてもベクトル家の息がかかっていると思ったのだ。

 これからの方針は決まった。となるとまずは確認しておきたいことが真昼にはあった。


「フィーネ。ちょっと手伝ってくれ」


 そう言って玄関から屋敷の外にフィーネと出ると、真昼はスマホを取り出す。


 確認したいことというのは、スマホの制約についてだった。スマホは真昼以外には使えないと眞麗は言っていた。扉の事からもそれが信用できることであるのは確かだが、どう使えないのかを確認したいと真昼は思っていた。というのもこれから別の町などへ行った際に万が一盗まれたり落とすということが無いとも限らないからだ。


 真昼はフィーネにスマホを差し出す。


「これの魔術一覧って書いてある部分を人差し指で触ってみてくれ」

「あっ、それご主人様がいつも持っている奴ですよね。それなんなんですか? ずっと気になっていたんです」

「これは……なんていうか……。祖父さんから貰ったすごい道具だよ。僕でも説明が難しいんだ。ともかく取り敢えずさっき言ったようにしてみてくれ」


 説明すると絶対面倒なことになると真昼は強引にスマホを手渡す。

 わかりましたとフィーネは受け取るも一向に言ったとおりに動く気配を見せなかった。


「どうしたんだよ。画面の下くらいにあるだろ。魔術一覧って」

「わたしご主人様が言っていることが分かっていないです。魔術一覧ってどこに書いているんですか? 全部真っ黒で文字みたいなのは全然ないです」

「なんだと?」


 画面が消えたのかと思ってスマホを覗き込むとちゃんと表示されていた。魔術一覧の文字も間違いなくそこに表示されている。


「お前、なにも見えていないのか? ここに文字が書いているのが見えてない?」


 真昼の問いかけにフィーネは首を捻るばかりで全く要領を得ていない。

 僕以外には見ることすらできないのかと思う。とりあえず真昼は指をさしてフィーネに魔術一覧の場所を伝える。

 フィーネは言われるままにそこをツンツンしたり、指の腹でゴシゴシ擦るがスマホの画面はまったく反応しなかった。


「本当に僕以外には使えないんだな……」


 真昼はそうつぶやくと考えうる限りの実験を行った。


 結果はこうだった。

 ・フィーネが持った状態でフィーネが触っても反応なし。真昼が触ると反応あり。

 ・フィーネが持った状態でフィーネが魔法の名前を言っても魔法は発動せず。真昼が言った場合も同様に発動せず。

 ・真昼が持った状態でフィーネが触っても反応なし。

 ・真昼が持った状態でフィーネが魔法の名前を言っても魔法は発動せず。

 ・画面表示はどちらが持っている場合もフィーネには見えない。真昼には見える。


 つまりは、真昼であればスマホの操作は誰が持っていても可能だが、魔法発動に関しては真昼が持ち、真昼が発音しなければ発動しないという結果になった。ついでに地面に置いたりフィーネが持った状態で離れてみたが特にスマホに変化は見られなかった。


 確かにこれなら自分以外には使えないと言えるだろうと思う。もし仮に別の誰かの手に渡ったとしても悪用されることは無いだろう。


「大体こんなところか」


 気になっていた部分の確認を終え屋敷に戻るかと思ったところで、


「ご主人様ってすごいですよね」


 何の脈絡もなくフィーネがそう言ってきた。


「なんだよ突然」

「だって、魔術ってすんごく頭が良くないと使えないって聞きますよ。それをあんなにいろいろと使ってますし、特に昨日なんてあんなに沢山の魔物をいっぺんに倒しちゃったじゃないですか。どっかーんって」


 どっかーんと両腕を広げてそのすごさを表現するフィーネ。しかし真昼は別のことを考えていた。


「……なぁ、たしか誰かも言っていたけどこの魔法みたいな力って魔術っていうのか?」

「え? はいそうですよ。わたしはジュリオ様が使っているところしか見たことないですけど間違いないです。魔術を使える人、魔術師はそれだけで尊敬の目で見られるってお母さんが言ってましたよ」


 魔術に魔術師か。今後はその名前を使った方がよさそうだと真昼は思う。じゃないと魔術を使うのに魔術という言葉を知らない変な人に見られかねない。


「それにそれに、字も読めるし、わたしには難しい事いっぱい考えていますし、とってもやさしいし、えっとそれから――」

「だーもういいって。もうやめろ」


 なぜか真昼のすごいところ言いましょう大会を一人開催しているフィーネを慌てて止める。このまま聞いていたら気恥ずかしくてどうにかなりそうだった。

 えーでもぉとまだ言いたり無さそうなフィーネに真昼は別の話題を探す。


「そういえば、昨日も言っていたけどフィーネって文字が読めないんだよな。それくらいだったら僕が教えてやるよ」

「えっ! 本当ですか?」


 フィーネがぱっと喜んだところで真昼はしまったと思った。

 よくよく考えれば真昼はこの世界の文字を読み、意味を理解することはできる。しかし、書くことなんてできない。そもそも何故見たこともない文字の意味を理解できるのかが分からないのだった。字の形は日本語とは似ても似つかず、すこしアルファベットに似ているかなと思うが英語とも違うものだった。


「あーやっぱやめだ。僕ここの字を読むことはできるけど書くことはできないんだった。僕の故郷の文字なら書けるんだけどな」

「そうですか……。あっ、でしたらご主人様の故郷の字を教えてください」

「へ、なんで? そんなこと覚えたってここじゃ何の役にも立たないぞ」

「はいっ。だっていつかご主人様の故郷に連れて行ってもらった時に、文字を読めたらきっともっと楽しくなると思うんです。だからお願いしますっ」


 なるほどその発想はなかったと真昼は思う。


「わかったよ。ただ、僕は学校の先生ってわけじゃないからそんなにうまく教えられないぞ」

「ほんとですかっ⁉ ありがとうございますー!」


 バンザイをして過剰に喜ぶフィーネに、とりあえず家に戻ろうかと真昼は言った。

 はーい、と前を歩くフィーネを見ていると、昨日魔物にやられて破れた服が修繕されていることに今更気がついた。


「お前それ……。別の服を着てもいいって言っただろ。どうせ沢山あるんだし」

「えー、だってせっかくご主人様から頂いた服なんですから大切に着たいです。それにほらっ。まだ全然きれますしね」


 そういってスカートを持ち上げて修繕したところを見せてくる。破れた個所にはあて布がされており、それが逆に服のデザインのワンポイントに見え、フィーネに似合っているように感じた。


「そうか。まぁお前がそれでいいって言うのなら別にいいか」

「はいっ」


 えへへと笑うフィーネを見ていたら、気づかぬうちに真昼の顔もほころんでいた。

 ほら行くぞ、という真昼の言葉にフィーネが屋敷の方へ振り返る。とその時足をもつれさせたのか、フィーネがバランスを崩し後ろに倒れそうになる。


「フィーネ!」


 とっさにフィーネの腕をつかんだ真昼だったが、真昼程度の力でどうにかなるはずもなく二人は重なり合うようにして倒れこんだ。


「いてて……。おい、大丈夫かフィーネ」


 はい、と返事するフィーネの声が妙に近くに聞こえるなと思って、そちらを見ると真昼のすぐ目の前にフィーネの顔があった。真昼はフィーネに覆いかぶさるように四つん這いの体勢になっていた。

 ち、近い……と真昼は思う。お互いの吐息がかかるほどの距離の近さに真昼の心臓は大きく脈打っているのが分かる。自分の鼓動がフィーネにも聞こえるんじゃないかと思い、恥ずかしさのあまりその体勢のまま顔を背けた。


 背けた先にライゼルがいた。

 めちゃくちゃ驚いた。


 驚いたのはライゼルも同じらしく、とんでもないタイミングで来てしまったと、バツが悪そうな顔をしていた。

 はたから見ればフィーネの上にいる真昼は、女性を押し倒している野獣以外の何物でもなく、ライゼルにも例外なくそう見えているに違いなかった。


「な、は、え?」


 言葉にならない声を出す真昼に代わりライゼルが口を挟む。


「いえその、別にのぞき見しようという気はなかったのです。ただ我々が来た時が悪く、ちょうど真昼様が腕を取り押し倒す場面でしてその……」

「ちがうちがうちがう! 誤解だっ!」

「僭越ながら真昼様」


 慌ててフィーネの上からどいて立ち上がり、ひたすら否定の言葉を口にする真昼を制すようにライゼルの隣からレイルがずいっと前に出る。


「いかに主従の関係とはいえ、このような太陽の高いうちからというのはどうかと。しかも外でなど。きちんと屋内で、それにベッドの上での方が女性の方の負担も少なくよろしいかと。それにやはり夜の方が雰囲気もあり――」

「ずいっと出てきていうことがそれかっ! そんなアドバイスいらねーよ!」


 真昼の否定の言葉は届いておらず、なおも「我々は見ていないことにします」「しかしやはり雰囲気というのは大切で」と言葉を続ける二人に、


「だから違うんだってば―っ!」


 真昼はただ叫ぶしかできなかった。

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