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僕の睡眠学習は幸か不幸か  作者: 汐 幹也
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没後聖女になった魔女 1

その日はその後寝ることも無く1日が過ぎた、足元に残っている熱いという感覚。それが寝るまで違和感として残っていた。それが僕が感じた初めての日であった。

家に帰ると妹が遊んでいた。

「兄さん何やってるの?早く部屋に行ったら?私友達と遊んでるの。」

はいはい、お兄ちゃんわかりました。って感じだ。僕だって友達と遊んでいるときは友達だけにしてほしい。僕の妹は他人のいる前ではとても辛辣な言葉を飛ばしてくることがある。

一つ断ろう。

僕の妹可愛い。我が妹よ、黙っていろ。さすれば僕はお前を溺愛しよう!うん黙ってくれ。妹属性は妹を持つ兄には備わらないというが、黙っていてくれたら備わるものだと感じるほどに僕の妹は可愛いんだ。その後睡眠におちるまでの2時間妹の世話をした。黙っていてくれ…ほんとうに可愛いのに黙っていれば。だがただ喋るだけならばよかったのだが僕の妹は活発だ。そのうち「お兄ィ、外で遊ぼう」とか言い始める。いつも通りのやり取りだ、いつも通りならばよかった。不覚にも僕はいつも通りのやりとりに体をゆすり、叩き始める妹の姿を忘れていた。揺すられるまではよかった。足を叩かれた瞬間僕は皮膚のない部分にムカデが這う様な感覚を味わった。

声が出ない…足をさすろうにも同じ感覚が襲ってくる…そういえば足先の感覚がない…僕の足の指ってどうやって動かすんだっけ?

痛みが引いてから目をやると妹が泣きながらこっちを見ている。時間は19分の時を刻んでいた。

僕が動き出すと妹がパッと自分の部屋に戻った。

その後起きるのも億劫になった僕はその場で眠りに落ちた。


翌日の世界史は自習だった。僕の学校はほぼ毎日世界史がある。その自習もあいも変わらず僕は眠りについた。ただの睡眠だった。夢も見ないそんな時間だった。今日の授業は理系の科目が多い。その時間もいつも通り惰眠を貪った。しかし帰る時には僕の頭はネガティブな思考に埋め尽くされていた。


次の世界史の授業も先生の授業を子守唄に僕はいつも通りに眠りについた。意識がある中で言っていた先生の最後の言葉は

「時は千三百年代!舞台はフランス!権力争いが続き和平と戦争を………」


私の意識は足音で覚醒した。母が教会に行く時間だと言っている。身支度をして表に出ると兄弟がすでに待っていた。私の住む町は度々焼かれる。そしてそのたびに復元される。人々の手によって。大人たちは神様のおかげと言って祈る。私の頭の中に声が聞こえる時がある。おおよそ質問を投げかけられる。私はそれと折り合いを付けてやって来た。

《なぜ、いのるの?》《神様が聞き届けてくれるからだ》

《頑張ったのは君のお父さんお母さんだよ?》《神の御業の成せることだ》

度々答えに困る質問が飛ぶことがある。

私は幼い時神の声と3人の女神を見た。美しかった。目から涙が出るほど美しかった。その時の感動に浸っている間に母の声が聞こえた。

「遅いわよ」「ごめんなさい」

私たちは日々の日課を終え、教会を後にした。

そう私は神の指示を実行せねばならない。私は農家の出身で村娘として生きる未来もある。だが神の指令を無視することはできない。あんなにも美しいものを無視しようとは思えなかった。

《なぜ、一度しか見てないものを信じられるの?》

《美しいものだった》《君の道は苦難の連続になるかもしれないよ》《承知している》《君には普通の幸せを得ることもできるよ?》《承知している》

とやり取りをしている間に教会につき、いつも通りの日を過ごした。


私の転機はこの日だったかもしれない。


私の街にフランスが劣勢になっている。祖国を愛する者たちの参戦を!

というビラが配られた。神が言っていたのはこの事だったのだ、と確信した自分がいた。

私は街を出て、参戦する覚悟を親に告げずにフランスの王都へ向かった。


衛士に神のお告げを聞き馳せ参じた。王への謁見をと。頼み込み1日ほど、謁見の間が用意された。

《あれっこいつフランスの国王じゃないぞ》《はっ?》《こいつじゃねーよあの臣下っぽいやつだよ、おいおいどーなってんだ?》

こいつ今日はやけに饒舌だな。うるさいぞ。

だが言っていたことが事実なら話しかけてみるのも一興か。

「お初にお目にかかりまして光栄でございます陛下。それと臣下の皆々様も、以後お見知り置きを」

と、挨拶をし、陛下だと声が言っていた人物に近づき頭を下げた。王座にいる人物を差し置いて不敬と言われるかもしれないが、所詮村娘の行うことだ。


「私の戦線への参列並びに一軍の指揮権をお与えください。」「なにっ?」

王座付近がざわめく、まぁ当然の反応とも言える。そこらへんの娘がいきなり一軍の指揮権を要求するのだから。丁寧に挨拶した臣下と思わしき男から声が飛んだ。

「貴様は何が出来る。一軍を与えるほどの何かがあるのか?」

「私は単なる村娘です。私に出来ることは主に祈り旗を振ることのみ、しかし私の軍には主の加護が与えられることでしょう。」

しばらくの時が流れ、王が口を開いた。

「議論させてくれ、2日時間をくれ」

随分長いなと感じつつ、

「承りました。何卒良いお返事を。」

と謁見を終えた。


《あぁ、あの人嘘ついてたのか…元から好きじゃなかったけど、ショックだなぁ》

《あの人とは誰のことだ?》《あぁ、君が出会うことはないから出会ったら紹介するよ》

ベットで会話しながらそんなことを話し合った。

私はこの声が自分のことを漏らしたのを初めて聞いた。私がこの声ともっと喋っていたい。知りたい。と思ったのはこのときが初めてだったかもしれない。

さすがに疲れたのか私は宿屋のベッドで眠りに落ちた。


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