変態:3
「よし、パンチだ! 二葉!!」
俺は半ばヤケになって命令を下した。だが、意に反して二葉のパンチは男の顔面にすんなりヒットして、ヤツはあっさりと地面に倒れた。
「コイツ弱いぞ!? よし、チャンスだ二葉! そいつに圧し掛かってメッタ突きにしろ!!」
「はい! 御主人様!!」
今までとは違って、意思に満ちた返答が聞こえた。ついにアイツも奴隷としての自覚が芽生えたか!
俺は狂喜して二葉に命令を次々に下す。
「もう少し右に寄れ! ファインダーからはみ出してしまう!」
「よし! 目だ! 目を狙え!」
「尻ポケットから何か出すぞ!! 口で喰らいつけ!!」
「よし、いいぞ! そこのナイフを拾って止めを刺せ!!」
二葉は俺の命令のままにナイフを取って、男の顔と言わず身体と言わずメッタ突きにし始めた。男は最初はくぐもった声を上げながら手で防御していたが、指を切り飛ばされてスキが出来てからは、二葉のナイフを顔や身体中に受けて、鮮血を飛び散らせながら次第に動かなくなっていった。
ヤったか? いや、まだ安心は出来ない。俺は二葉に念のために男の首を切断するように命じた。
「え……? も、もう、この男は死んでいます。何もそこまでしなくても……」
「うるさい! 言われた通りにしろ! またスタンガンで遊んで欲しいのか? これは命令だぞ!!」
「は、はい! 畏まりました。」
二葉は慌てて男の首の切断に取り掛かる。首の切断面から血がドロリと流れ出て、ナイフで筋や骨を切り分けるのに四苦八苦する返り血まみれの二葉の姿を見て、俺は興奮で思わず射精してしまった。
とりあえずティッシュで汚れを拭き取って、パンツを履き変える間に二葉は一仕事を済ませたみたいだ。二葉は血まみれの全裸のまま、無言で通り魔の首をカメラのファインダーに差し出して来た。
なんだ、コイツは101号室のオッサンじゃないか! 人の良い顔をして、こんな趣味を持っていたのか! まったくコレだから変態は始末に負えない!
俺が珍しく義憤に狩られていると、唐突にカメラの画像が消えてしまった。しまった! バッテリー切れか!? いや、バッテリーは新しいハズだ。なら、故障か? 俺はスマホで二葉を呼んで見たが、全く応答が無い。
クソ! 一体何があったんだ!? 俺は物置を開け、中のエロDVDや薄い本の入ったダンボールを押しのけて、奥に詰め込んでた皺の寄ったカビ臭いチェックのシャツと饐えた臭いのジーンズを引っ張り出して着込むと、スマホと部屋の鍵を持って部屋を飛び出した。