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七話

 人馬一体となり、大道を駆けのぼる。まさに、風を切るようにして。

 夜間の冷えきった大気は身体の節々を痛め続けるが、そんなことなどおかまいなしに、私は金環国家バージルの首都を目指していた。

 月の無い夜は素晴らしい。闇夜に紛れることができるだから。

全力で愛馬と共に走り抜けたって、誰にも咎められやしない。もしいるとしたら、そいつはよっぽどの物好きな山賊か、仕事熱心な兵卒ぐらいか。きっと喧嘩っ早いに違いない。私もまあ、それ相応に対応するだけ、だが。

 ――――幼馴染みからの話によれば、自称日本人がバージルの王族に対し、自分は日本人であると公言していたらしい。

 その後、動揺した周囲に反し冷静に金環国家王族、あるいは中枢の人間は指示したのであろう、自称日本人は宮殿の奥へと連れさられていった。

 ざわめきが止まらなかった、とのことだが、そりゃそうだろう。

 もし、本当に日本人であるとするならば、この金環国家の成り立ちからいって衝撃であるに違いない。

 バージル王に保護されたんだろう、というのが幼馴染スパイみの見識だが……。

 何故か金環国家バージルは、日本人を探しているという国家命令、張り紙を国民に見せるという謎の行動を示した。

 ――――発見されたというのに、探すという。

それは、どういうことなんだろう。


 「逃げられた、か?」


 分からない。

だが、このままではいられない。とにかく情報を入手せねば。対策のしようがない。唇を噛み締め、たてがみをなびかせ直進する愛馬をさらに加速させる。

 空気抵抗をなるたけ受けないよう身を伏せながらも、思わず、昔の、過去の自分を思い返していた。


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