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合唱コンクールの結果は、学年一位、全体でも四位入賞と大健闘だった。
みんながポップスを選曲する中で目新しかったのもあるし、もともとうちには合唱部のホープが沢山いたのもある。尾崎さんの伴奏もよかったし、練習するたびに、どんどんパートで結束が固くなっていくのが分かった。気がつけば人見知りをする多美でも、同じソプラノの人とはちゃんと話せるようになっていた。
結果を受けて、総監督を引き受けていた田島くんが、「よっしゃー、文化祭特別予算ゲーット!」と雄たけびを上げていた。
クラス中が湧き上がっている中で、多美はそんな状況に多少戸惑っていた。今まで力をあわせるとかそういうことにはあまり縁がなかったし、面白いとも思っていなかった。けれど今、みんながそうやって喜んでいることに自分にはありえないくらいに、気持ちが浮き上がっている。
梓にはなんて言おうか。きっとすごいじゃんと言って、喜んでくれる。早く報告してみようと思うのもまた、気分が上がっているからだ。
「たーみー、今日これから打ち上げするから、ついておいでー」
亜季がそう手招きするので、多美は喜んでその声に従った。
自分よりも周囲の人間の方が、ずっと分かっていることがある。打ち上げと言われながら、多美はなぜこんな大人数で自分の家に帰ろうとしているのかよく分からずに、いつものバスに乗り込んだ。
「だから打ち上げだってば」
と、亜季が強引に言うのと、
「一度家を見てみたいな」
というあっちゃんの一声で、古沢さんが全員分の部活お休み連絡をしてしまったのだ。
「……でもなんで、そんなに荷物が多いの?」
「なんでって言われてもいるかなと思って」
古沢さんの説明はまるっきり説明になっていない。
「あ、今日ご両親は?」
「留守」
今日は母が父に付き添われて、病院へ行っているはずだった。母の病はまだうつまでは移行していないものの、一種の燃え尽き症候群のようなもので、今は軽い薬を飲んでカウンセリングを受け、安静にしていることが多い。
「じゃあ、ちょうどいいね。多美、今日はのんびりしてていいから」
「は?」
バスが最寄りの停留所に止まったので、みんなで下りる。スーパーの前だったので、立ち寄るよの一言。多美は訳がわからないまま、みんなの買い物につきあった。
そしてみんなの『打ち上げ』の目的が何だったかは、家に入れてから判明した。




