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君に告ぐ  作者: ミズハラハヅミ
第二部 プラネタリウム心中
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 結局伊東は、梓の誕生日に何を買ったのだろう。

 多美は最初から何にするのかを決めていた。けっこう大きな箱と、乾電池を忘れずに抱えて、週末の昼下がりに病室を訪ねた。ベッドに起き上がっていた梓は、大きな荷物を抱えた多美を、驚きながらも迎え入れた。

 今日こそは伊東くんのことを聞こうと思った。

 梓は多美のクラスに伊東がいることを知っていたのだろうか。その伊東が沢山話した三角関係の一角であることを。梓はけっこう曲者で、平気で嘘もつくし、言わないことは絶対に言わない。知っていることも知らないふりをする。人としては最低と思われかねないこの言動は、長い入院生活の間に彼が身につけた処世術のようなものだ。実加にもそういうところがあった。だから、彼から本当のことを引き出すのは難しい。

 やっと安定してモニターもチューブもなくなった梓は、それでも無理はしないようにと厳命されていて、車椅子にもめったに乗らない。今日もベッドで身を起こして、ゆっくりと本を読んでいた。

「あれ、みんなは?」

「一人は亡くなった。一人は売店で、一人は検査中」

 そう言われて、思わずみんなのベッド状況を確認する。ちょうど対角線の位置にいた、的場さんというおじさんがいなくなっていた。空のベッドが痛々しい。

「あの人のいびきがなくなって安眠できるかっていうと、できないのが辛いね」

 周囲の人がどんどん亡くなっていく状況に、実加も梓も、そして多美でさえ慣れている。次は自分だあの人だということも考えない。ただ惑わないよう前を見るだけ。

「というか、ヒデキのこと、もう知ってるんだよね」

 ヒデキ、というのは伊東くんのことだ。伊東くんが早速話したんだろう。自分から切り出す必要がなくなって、少しほっとする。

「梓、知ってたんでしょう? 伊東くんのこと」

 梓は、ははあ、と楽しそうに笑った。

「まあね。同じクラスってことはさ、気づいてたよ」

「なんで教えてくれなかったの」

「言いたくなかったから」

 梓の答えは簡潔だった。

「……正確にいうと、ヒデキに多美のことを言いたくなかったんだ。ヒデキもなんかやっと腑に落ちたみたいでさ。俺が興味もないはずの、ヒデキのクラスの話を聞きだしまくる理由が多美だって。だから嫌だったんだけどなあ」

「……なんで伊東くんにうちのクラスのこと、聞いてるの?」

「例のごたごたが多美の憂鬱の原因かなと思ったから」

 梓は困った顔をしている。そんなにも梓に心配をかけてしまったのだろうか。いつも梓は優しかった。言わなくても通じているように、慰めてくれていたけれど、なんのことはない。ちゃんと出来る範囲で探りはいれていたわけだ。



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