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あっちゃんはお料理が好きで、みんなにこのびっくりおにぎりを振舞ってくれるのも、昔かららしい。よくここまで具が揃うなと驚くばかりだが、これが彼女なりのストレス発散方法らしい。
「豚の角煮!」
亜季がとうとう匂いをかぎながら、今日の当たりを探し出す。マカロニにあたったためか、古沢さんは、今度は慎重に、二個目を選んでいた。
「多美ちゃんもお料理はしない人?」
あっちゃんが「多美ちゃんも」というのは、この二人がまったく料理なんてやらないからだ。とはいえ、母親がいれば料理なんてめったにしないし、包丁なんて調理実習でしか持ったことないのも、普通にありえると思う。
「ううん。家事は私担当」
「えっ、そうなの? お母さんお仕事忙しいとか?」
「ちょっと今具合が悪くて。でも大丈夫だから」
「そうなんだ」
古沢さんがビターチョコを引いて、亜季の口からはスパゲティナポリタンが伸びている。けれど二人はぶつぶつ言いながらも、それをちゃんと面白がっていた。
多美が何気なく取った二つ目が、高級梅だった。二人の目がじとりと多美に向けられる。
「今ね、あの二人、ちょっと厳しいのよ」
あっちゃんは、さらに加熱している目指せ豚の角煮組には聞こえないように、多美に言った。
「何が?」
「合唱部。目立つからね二人とも。とりあえず出る杭は打たれまくってます」
亜季は当然として、古沢さんも意外と歌がうまいらしく、さらに容姿端麗でもある一年生コンビの存在感は、四十人入部の中でもピカイチなんだそうだ。
「私から言わせると、実力もないくせに、先輩だからっていばるなって思うんだけど」
おっとり言う割に、内容はとってもキツイ。
「仕方ないわ。上級生になるまでの辛抱。それに打たれても出ちゃうような人たちだもの。心配はしてない」
確かにその通りだった。あっちゃんはにっこり笑って付け足した。
「それより、多美ちゃんも本当に合唱部に入る気はないの?」




