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セイナさん視点

 色々あって、私ことセイナ・アマナギは、この春フォルさんこと、フォレス・ノーステッドと結婚しました。

 ある街の片隅にある小さな図書館と、その隣にある貸家で、毎日様々な大変なことがありつつも、日々を平穏に幸せに暮らしています。

 私たちが住んでいる街は山と海のある片田舎で、住んでいる人々も穏やかで、治安も良い場所です。

 山も海も近いために、新鮮な食べ物がとてもおいしいです。

私も商店街の人とあれこれ世間話をしつつ、料理法や加工法を色々と教えてもらっています。

あ、そんなことが聞きたいわけではありませんでしたか?

では、夫のフォルさんこと、フォレス・ノーステッドのお話でもいたしましょうか。

私は人間ですが、夫のフォレス・ノーステッドは人間とは違う種族で、長い寿命を持ち、魔力の強い魔族、という種族です。

この世界の隣の世界、黒界カウィフトという世界を治める三公爵家の一員です。

三公爵家は経済、軍隊、外交のそれぞれを、公爵家が司っています。

その下にある侯爵、伯爵、子爵、男爵などは、特に力の強い魔族が選ばれて、位を与えられているんだそうです。

爵位を持つ魔族は国の方針に意見することが出来、彼らによって政治が執り行われています。

公爵家の立場は彼らを監視し、国を安定させること、だそうです。

いざとなったら強権を行使することもあるそうですが、そんなことは最近では滅多に起こらないそうです。

また、公爵家もお互いがお互いを監視し、力の均衡を保つことに苦心しているそうです。

そのために公爵家には色々とややこしいしきたりがあるそうですよ。

他にも色々とフォルさんに説明されたのですが、上手く自分の中で整理できないので、難しい話はここらへんにしておきますね。

とにかく、フォルさんは三公爵家の一員として、この世界と外交を執り行う役目を任されているそうです。

昔は力で人々を従わせていた時代もあったそうですが、フォルさんいわく、そんな考え方は古い、だそうですよ。

 え? どうして人間である私が、魔族であるフォルさんと結婚したのか、ですか?

 それは話せば長くなりますし、プライベートに関わることなので、またの機会にでも……。

 実は、ここだけの話、フォルさんは壊滅的に家事が苦手なのですよ。

 本人は苦手だと思っていないようですが、一度フォルさんの手料理を食べる機会がありました。

あの時は、腹痛で救急車を呼んで病院に担ぎ込まれまして、さすがの私も死にそうになりました。

死んだおじいちゃんが川の向こうで呼んでいる夢を見ましたよ。

 最早まずい、という次元ではなくて、あれは化学変化を起こしていると言った方が良いのでしょうか。

 本人いわく、「料理本通りに作っただけなのだがな」だそうです。

 悪意がないので、私も強く責めるつもりはありません。

「これからは、私が料理を作ります。フォルさんには、いっさい台所入らないで下さい」

 私は強い口調でそう言いました。

 するとフォルさんは真顔で、

「それは結婚してくれ、というプロポーズなのか? ちょっと待て。この人間界の常識ではプロポーズは男から女にするものとある。頃合いを見て、俺の方から改めてプロポーズするから、今回のはなかったことにしてくれ」

 そういう意味で言ったのではないのですが。

 私はフォルさんに料理を作らないように言うのを諦めました。

 以来、台所にフォルさんが立たないように注意して見ている毎日です。

 外に出る仕事がない時は、のんびりと図書館の司書をしています。

 私が留守の時に、精霊使いの男の子が訪ねて来た、と言ってましたっけ。

 貸家に住んでいる家族は、私とフォルさんだけではなくて、捨てケルベロスのカルーアと野良ケットシーのにゃんたまの四人で住んでいます。

 カルーアとにゃんたまは私が拾って来たのですが、フォルさんは一緒に住むことを快く承諾してくれました。

「次はコカトリスでも拾ってきそうだな」

 フォルさんはそう言いつつも、二人を可愛がり、時々散歩にも行ってくれます。

 私はフォルさんのさりげない優しさに救われているのだと思います。

 魔族の方は一般的に気が荒く、好戦的な人が多いのですが、フォルさんは理知的で、とても落ち着いた方だと思います。

 私はフォルさんと結婚して、とても幸せです。

 フォルさんは世界と世界の間の争いの朝廷や、交渉をする外交官という仕事柄、難しい立場に立たされることも多いのですが、私も妻として、友人として、出来る限りフォルさんの手助けが出来たらと思っています。

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