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果実は熱い。花弁の薔薇も熱い。
日差しと大地、それらに惹かれてつい
よそ見をした時、早くも驟雨は予感し、
そうして全き晩夏を迎える。気管支、
燃えてなお、涼しくありうる水気を、
庭に置かれた水盤に、密かに
溜めてゆきつつ吸引し、愚かに
こぼしきれ。それでも私は正気を
保ち、あなたの手に乗る薔薇を見る。
幾度となく咲いては朽ちゆき、
冬になると降ってはやむ雪、
しかし荊に傷付く手が沁みる。
これはあなたの持つ痛み。
濁る私は利己の民。
――――解題――――
何を書きたかったのか、当時の思いを覚えてはいないが、今読み返してみると、聖なる気分と低次の欲求が繰り返される様が描かれているように感じる。