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私の耐えうるあなたの理想を、
窓辺の小鳥がくわえる葡萄と、
柑橘香る、瑞々しい庭、
ほとばしる弧に数えよ。そこには
地平がある。稜線がある。
町から来た、太ったとある
商人が、果実を差しだし、
魂に、しびれを付け足し、
盗み取ろうとする。だが逆に、
教えさとしてやれ。薔薇の国、
あらゆる果樹が目指して昇る。最も
高貴な予感、振る舞い、しなり、その友、
鳥の羽ばたきは、飛翔すらも
影に打ちつける。川も、村も。
――――解題――――
ここになると、もはや単なる言葉だけの意味合いは破綻している。言葉として書かれているただそれだけの意味を追うことに全く意味がないわけではないが、ここでは象徴の解読的にというよりも、言葉が持つイメージの連鎖、重なりとして把握するほうが、より詩の生命的な真実に近付ける気がする。