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一羽の小鳥の傷付いた体と
羽のために語れ、開けた戸。
お前が優しく目配せし、海から
漂う潮と柑橘、それらが舞うなら
風を信じよ。旅立ったばかりの
微風、やがて海原遠く、明かりの
灯る最果てで、力強く
猛る風を。それは心を泳ぐ
予感、浮き足立つ、戸の震えに
共鳴しつつ、小鳥よ、己が既に
大気を翼としているという、新たな
体を発見せよ。薬への棚、
そこにしまった傷口が、お前を
空へと押し上げる。青い名前を。
――――解題――――
歩いている時に「一羽の小鳥の傷付いた体と――」の言葉が浮かび、その後時間を経てバス停で完成した詩。ソネットのなかでは霊的というよりも物質的で、地上的なもののひとつ。




