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あなたの衣が庭を擦り、
花が己の形姿をくぐり、
暗い意識の淵に至る。
言葉がそこにひとつある。
孤高の灯のように闇を
感じ、咲く。嵐を見よ。
お前を刈ろうとする者、
鋭く唸り、近付く刃物。
だが耐え続けた凝固の日々、
柔らかな茎を伸ばす
苔むす花よ、まぶしい明日、
緑の被膜に包まれ、燃えると(・)も(・)し(・)火、
増えゆくそれら「純粋」は、
あなたに向かう――花が鳴いた。
――――解題――――
ほとんど完全韻を踏めていないこの詩は、韻律という面からすると決して綺麗な詩ではないが、内容は、本ソネット集の他のものと同様、人間存在の成長について書かれている。花とは人間の比喩である。




