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あなたの翼が石畳に、
音を運んだ庭の道。
落ちたヴェールですら、あなたの
所有だったなら、彼方の
幻にではなく、私の
すぐ側、生と死の――
蝶がくたびれ、蟻が運ぶ、
そんな庭の日々に匂う、
安寧と闊達の紅茶に酔いしれ、
私よ、己の姿を知れ。
お前はまだ、これだけ醜い。
衝動が自我を食い、
進むこともままならない。
されば捉えよ、意志のさすらい。
――――解題――――
「庭園のソネット」は第一部と第二部があり、これから連作として投稿する予定のものは、第二部にあたる。第一部は14行詩という条件こそ満たしているものの、押韻がなく、正式なソネットとはなっていない。第二部は全て押韻14行詩として創られており、完全なソネット形式となっている。
第一部、第二部ともに、主題としているのは人間と霊的諸存在との織りなす物語である。この主題は、現代という時代においても十分に通用すると考えているが、ソネット形式というもの自体が現代では古臭く、詩そのものを観ると総じてロマン派風で近代詩的であると言える。だがそれでも、私はこの一連のソネットを通して、韻律などの詩における形式を用いることで、日本語詩においても神的なものを十分に表現しえるということを証明したかったのである。
今回の詩は、第二部で一番最初に書かれたものである。まだ脚韻に慣れておらず、完全韻の部分が少ない。しかし象徴詩としては私っぽさを失っていないように思っている。ちなみに、「庭園のソネット」における「庭」とは、常に人間の肉体部分を示している。