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7話

最終話

月は徐々に光を薄くして

太陽は新しい朝を連れてきました―――――





私は高校を無事卒業できることとなりました。

それと同時期に私は溶とあまり連絡が取れなくなりました。

理由はわかりませんでした。



そして私は思い出しました。

誰かがこう話していたのを思い出しました。


現実が



見えてしまいました。




「合作してる人たちってさー、大体続かないよねー」

「確かに!どちらか片方が連絡つかなくなるんでしょ?」




どちらか片方が


連絡つかなくなる




「まぁ合作で続く方が珍しいよねー」



続く方が


珍しい




この時私は何を思い上がっていたのだろうと、思いました。

と同時に馬鹿だと思いました。


私は溶に近づく歩を止め、一歩また一歩と下がりました。

すると段々と周りが見えてきた気がしました。

側にいるようで溶は遠くにいたのです。

いつの間にか遠くにいってしまったのではなく元々そばにはいなかったのです。

錯覚していただけでした。


しかしまだ溶がそんな中途半端なことをするわけがないと思いました。




「なんでお兄ちゃんは、合作に私を選んだの?」

「以前何度も合作をしたが上手くいった試しがないんだ、だから信頼できるお前に頼んだんだ。」




なによりも嬉しかったあの言葉。それを何もなしに崩すわけがないと思いました。

そう思い始めてから半年くらいが経ったと思います。




溶のアイコンが見えました。

私は勇気を振り絞り話しかけることを決意しました。




「久しぶり、溶」


私は溶を“お兄ちゃん”とは呼びませんでした。


「なに」


「あの作品、途中だよ?どうするの?」

「お前の続きは書いていないという発言にやる気をなくした」



私ははっきりとは覚えていませんが、冗談かもしくはそういう意味でいったのではないと思い否定しました。

ネットでははっきりと物事を言わないと伝わらない。

しかし、それをどう受け止めるかは相手しだいなのです。

つまり私がどういうつもりで発言したかはともかく溶にはそう聞こえてしまったということです。



「あとな、お前はもっと自立しろ。もう高校も卒業したんだし。」

「溶に頼りすぎだったよね、ごめんなさい」


「言い返すことも覚えろ」

「反論?」


「そう。俺に言い返すことはないのか?」

「作品放棄したのはどうかと思う」


「それは俺も悪かった。」

「でもしょうがないね」


「あとな出会い系には気をつけろ、お前は優しくされるとすぐ信用するからいい餌になる」

「はい」


「それから全ては疑いから入りなさい」

「教訓にします」



そして溶との別れは突然でした。

あっさりと、3年間を“思い出”に変えました。



「お前の思考がもっと大人になって誰かと結婚して夢が叶うまで、お別れだ」

「寂しくなるね」


「自立のためだ」

「溶に出会えてよかったよ」


「それはよかった。お前はすぐ人を頼るし子供だけど根はしっかりしてると思う。


だから


――――――――頑張れよ」


「溶も頑張って。応援してるよ。」




「それじゃあまたな。またいつか。」








あの月は私にとって憧れであり、恋であり


―――嘘でした。






あれから数年。


私は今雪の上にいます。

留学を無事に終えて、隣で支えてくれる人もいて

幸せな生活を送っています。



一人で雪の上に立ちあの3年間を振り返っても私はあの人を素敵な人だと胸を張って言えます。

胸の奥で輝いている一生の宝物は言葉では表せないほどの財産となりました。



「溶、元気かな―――――――」




月が綺麗に登った時、春は訪れました。

足元がようやく見え始め







雪が溶けました。
























.


最後までご覧頂きありがとうございました。

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