第三話
罠にかかって五分ぐらい立った頃だろうか。
ガサッ、ガサッ
という小さな音が何処からともなく、聞こえてきた。
それは徐々に大きくなり、目の前の茂みでとまった。
とうとうやって来たかと俺は身構えようとしたが、なにぶん罠にかかっている。心の準備ぐらいしかできない。
大丈夫。同じ人間なんだ。話し合えばわかってくれるはずだ。とりあえず、助けを求めよう。助けてくれなくても、いきなり殺しはしないはず。
ガサッ
茂みから再度、音が聞こえた時、俺は「助けてくれ」と言葉を発しようとして、そのまま固まった。
何故ならば、出て来たのは人ではなく、額に角の生えた少女だったからだ。
その少女は一言で言うなら、綺麗だった。
顔のつくりは整っていて、琥珀色の瞳、そして絹のような黒い髪を持っていた。
まさに、美少女。
しかし、だからこそと言うべきだろうか、彼女の額にある大きく突き出た二本の角はあまりにも異彩を放っていた。
彼女は、しばらく俺を見つめた後にゆっくり、口を開いた。
「貴方は何者ですか?」
ドクンッ
自分の身体の中に、何か得体のしれない力が入り込んでくるのがわかる。
それは俺の体を駆け巡り、支配した。
口が勝手に言葉を紡ぐ。
「名前は小杉 宗平、種族は人間、年齢は17、生まれは日本、血液型は……etc…etc」
俺の口から個人情報が流れ出て行く。
三分間ほど喋り続けただろうか、彼女が「もういいです」と言うとようやく俺の口は閉じた。
「ハァ…ハァ…一体なんなんだ?」
荒れた息で俺が問いかけると
「質問をしただけです」
と冷たく返された。それに苛立ちを覚えた俺は激しく怒鳴った。
「何処がただの質問だ!あんなのありえるか!」
「いちいち、説明する必要はありません」
「ふざけるなよっ!人を罠にかけて説明する必要がn……」
俺の言葉は、喉元に突きつけられた短刀によって止められた。
「自分の立場がわかりませんか?」
今までと全く変わらない声色に軽い恐怖を覚える。
「貴方はマヌケにも罠にかかり、命を握っている相手に怒鳴るバカです。殺した方が世の為になると思いますが、特別にチャンスをあげましょう」
そう言って、彼女は短剣を俺の喉元に垂直に当てた。
切っ先が皮膚に触れている。ほんのちょっとでも動けば、突き刺さるだろう。
その状態で、彼女はこう言った。
「貴方は生きたいですか?生きたいなら大きく頷いてください。生きたくないのなら、そのままでいて下さい。殺しますから」
……要するに、死ねってことじゃねぇか。
とりあえず、説得「何か喋っても殺します」は無理みたいだな…
「頷きませんね。殺したく無いのですが、生きたくないというのなら仕方がありません。攻めて私の手で、殺してあげましょう」
殺したくないなら、そんなにニヤニヤするんじゃねぇよ!ヤル気満々だろうが!
クソッ、俺の人生はここで終わるのか⁉対した人生じゃなかったけど、やり残したこととか色々あったんだがな……
俺がそれまでの人生について振り返っていると
「それでは、さようならです」
死神の声がした。
どうも、積木崩しです
更新日、まさかの2日オーバー
すみませんでしたm(_ _)m
理由は、主人公の名前です
小杉 宗平←これ考えるのに2日掛かりました
……後悔はしてない!