どうしようもない話
僕のせいなのだろうか?
どうしてこんなことになってしまったんだろう?
僕は後悔していた。どうしようもないくらい後悔していた。
あいつは僕の言うことなど聞くようなヤツじゃなかった。僕が後悔したところでしょうがないし、実際何もできなかったのかもしれない。
でも僕はどうしても後悔してしまう。だって、たとえ何もできなかったとしても、あいつを止められたのは僕一人だったからと思うからだ。
あいつは世界を滅ぼした。たった2週間にも満たない……。世界は12日という、たったそれだけの期間だけで跡形も無く破壊されてしまった。
いったいどれだけの人が死んでしまったのだろう……いや、人だけじゃない、この地球に住む多くの生命体がこの地球上から消えてしまった。
遥か36億年前の、草木も生まれていないあの頃の地球に戻ってしまったかのようだ。僕の周りに生命と銘打てるものは一切なくなってしまっていた。
たぶんこれはきっと僕のせいなのだ。僕が犯した罪でもあるんだ。
僕は生きていた。すべてがなくなってしまったこの地球上に、僕は生きていた。もしかしたら、本当に僕だけが生きているのかもしれない。生命体の死骸だけが転がるこの星で、僕だけが生きているのかもしれない。
これは罰だとでも言うのだろうか。あいつを止められずに世界の終わりを止めることができなかった僕の……。
遠くの方で太陽が沈もうとしていた。この星で唯一僕を暖めてくれていた太陽までも、もう沈もうとしていた。
まるで太陽までもが俺を軽蔑しているように思えた。
もうどうしようもなかった。もう過ぎ去ってしまったことだった。
どんなに後悔しても、どんなにやり直す機会を望んでも、もうこの星には生命がいなかった。すべて死んでしまって、もう元に戻ることなんて決して無かった。
僕は地上に吸い込まれていく太陽を、ただ眺めていた。太陽は最後にひどく綺麗な輝きを放って、僕の前から消えていった。
次第に空も色を失って、あたりは徐々に夜の景色へと変わっていく。
僕はゆっくりと目を閉じた。どうせあたりは暗いのだ。
そして僕は握りしめていたナイフの柄に力をさらに込める。
本当に申し訳なく思っている。あいつを止められなかったのは僕なのだ。
どんなに謝りたくても、もうこの謝罪を受け止めてくれるものなどいない。でも僕は謝らずにはいられなかった。
本当に、ごめん……。
僕は最後に愛する人のことを想った。僕はキミすらも守れなかったんだ。
僕は目をつぶったままひざまずき、両腕を広げ、天をあおいだ。
これは別に、謝罪ではない。僕はまた逃げるんだ。このまま生きていこうとは思わない。僕はこの闇が、耐えられない……。
そのまま腕を前に移し、僕はナイフを両手で構える。
どうしてこんなことになってしまったんだろう? どうしてあいつだったんだろう? どうして……、僕だったんだろう……。
答えなど出なかった……。たとえ出たとしても、もうどうしようもなかった。
僕はいきよい良く、ナイフを胸に突き立てた。まるで熱いマグマが、心臓に注ぎ込まれているようだった……。
そのとき見開いた目の中には、満天の星空がきらめいていた。
ああ……、まるで死んでいったものたちが、空で輝いているようだ。と、僕は思った。
以上、どうしようもない話でした。
……そろそろ、ちょっと長めの書こうかなぁ〜。