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『カッパのドキア』吸血鬼ヴァンとの出会い。  作者: 湊 俊介


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7/13

ホラの音がまた一度

ホラ貝の音が一回の時は、子供、女のカッパは避難します。どこへかというと森へ避難します。そこで身を隠します。


男のカッパたちは長老のもとへ向かって指示を仰ぎます。ドキアもみんなの動きに合わせて森へと向かいます。


もしヴァンがまだ森のどこかにいたとして、誰かに見つかったらどうしよう。ドキアはそんな心配をしながら向かいましたが、その心配は当たりませんでした。


 ホラ貝の音で集められた男のカッパたちは、長老の指示で畑へと向かいました。夜の見回りで、まだ収穫前のトマトを食い散らかす者が見つかったと聞かされました。


 カッパたちは畑を包囲します。包囲作戦です。畑の端に散らばってみんなでだんだんと中心に集まりながら探索をする。何者かは中心へと追い詰められて確保される作戦です。


 松明に火をつけてそれをみんな持って畑を中心に向かって進みます。侵入者が本当に来ることなんてめったにありません。みんな大きなモグラか何かだろうと思っていました。


 カサカサと逃げる影を誰かが見つけて叫びました。「いたぞ、そっちだ」その影は作戦にはまって中心へと追い込まれていきます。いざ、掛け声に合わせて投げ網が投げられました。川で魚を取るように使うものです。


 網は何者かを捕らえました。網の中で暴れて逃げ出そうとします。みんなで松明を照らすと誰かが言いました。「ひ、人だ。人がいるぞ」みんなびっくり大混乱が起きます。長老がやってきてみんなを静かにさせます。長老の息子が何者かを照らして、長老は落ち着きながら網の中で暴れる何者かを見つめました。


「早急に檻を作ってその中へ、処分は明日考えよう。」


 何者かは暴れました。連れていかれる時に抵抗して近くのカッパを殴ってしまいました。そうすると大人のカッパたちは何者かを一斉に袋叩きにしてしまいます。それはなかなか止まらなくて何者かは大変弱りました。そして木で作られた頑丈な檻の中へ入れられました。


 その何者かはヴァンでした。


ドキアが森に来なくなった最初の日、ヴァンは特に寂しくもありませんでした。今日は忙しいんだな。明日は来るだろう、と考えていました。そして夜まで眠りました。夜を迎えると行動を始めました。


目を覚ますと急に、ドキアが桃を食べた時の美味しそうな顔がまた見たいと思いました。ヴァンは村の外へ、果物がどこかで手に入らないか探し回りました。まずは自分のキャンプへ行きました。


 村から走って十分(吸血鬼の走り方はとても速いので、カッパの走りだと一時間以上はかかるはずです)川も近くて、渦巻いた形の木が沢山生えた林の中にあります。ヴァンはぐるぐる林と勝手に呼んでいます。


キャンプと言っても簡易のテントと大きな茶色いリュック、それと焚火の後があるだけですが荒らされていないか確認しました。ドキアと出会ってからここを使うことは減りました。


 いっそのことあの森に拠点を移そうか、そんなことも考えています。リュックの中から小瓶を探し出して中身が入っているか確認します。瓶の中では黒くウネウネした物体がうごめいています。ヴァンはそれを確認するとリュックの奥底に戻しました。


(さてどこを探そうか)


 ヴァンは腕を組んで考えます。あの桃を手に入れたのは偶然、外の川で夜釣りをしているところに川上から流れてきたのを見つけたのです。それなら川上を探してみようとヴァンは思いつきました。川を目指して走り、川の流れに逆らって進みます。


川の始まりはコドク山の山頂、そこには最高に美味しい果物が沢山育っていて死ぬまで食べ物に困らないと言います。しかし確認した者はこの地上にはいません。


 たどり着いたらそこに住み着いて帰ってこないからという話です。ヴァンはそんな噂話を、数年前に旅する猫から聞いたのを思い出しました。


 コドク山は遥か遠くにあります。日が昇りかけた時にヴァンは見たことがありますが川の先にうっすらと見えた程度でした。それだけ遠いのです。その日は川沿いをひたすらに探しましたが果物は見つかりませんでした。見つかったのは誰かがキャンプをした後と、狛犬が川で水を飲んでいる姿でした。


 日が昇る前にヴァンは村へ帰りました。ドキアが来るまで少し眠ろうと横になりましたが、夜まで誰も来ませんでした。

ヴァンは心配な気持ちと寂しい気持ちになりました。嫌われたのかもしれない、八十年ほとんど一人で生きてきたから一人には慣れています。


 だけど寂しい、ヴァンは気を紛らわそうとその日の夜も果物を探しに行きました。夢中で探し回ってその日は村に戻れませんでした。ドングリの沢山ある森を見つけて果物がありそうな予感を感じたのです。

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