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プロローグ2

 世界が終わり、始まったあの日。

 そこから14日。元の世界の感覚だと2週間が流れた。

 最初はさすがに戸惑いはしたが、この2週間で大体の世界の仕組みは把握できた。そして、俺に備わったチートとしか言えないような力とやらも把握できた。

 俺の能力は、知れば知るほど、まさにチートとしか言いようが無い。


 まず、この世界には魔法というものがあった。

 これにはとても驚いた。


 そして魔法というのは、どうやらイメージで使うという実に曖昧なもののようだった。

 

 それでやってみたところ、山を一つ焼き尽くしてしまった。


 そして超能力。

 これもイメージで使うという実に曖昧なものだが、魔法よりも使い勝手が良かった。

 魔法は、魔力を、炎に~とか考える必要があるが、超能力ならあれを動かそうというイメージで念力が発動し、どこかに行こうとすれば瞬間移動も使えた。

 

 鬼神、というのは分からないが、とりあえず体がすごく速く動いた。


 俺は今、ギルドという建物の中にいる。

 どうもこの世界は、ゲームの中そのもののようなのだ。あちこちにはダンジョンが存在し、そこにはモンスターがいる。

 そしてダンジョンを攻略する人のことを、まとめてクエスターというらしい。


 ギルドには、様々なダンジョンの情報が届いている。

 その中から、ダンジョンを探す。俺もこの世界で、とりあえずクエスターとしてやっていくことにしたのだ。


 ――なぜ、こうなっているか。

 俺は、世界を救うはずだったのに。

 これは、俺がこの世界にやってきてすぐの話だ。






 ――異世界にやってきた俺は、大自然の中にいた。

 まだ右も左も分からないが、とにかく人のいるところを探して、町を見つけ出した。


 「号外! 号外だよー!」


 町では新聞だろうか、そんな感じの紙が配られていた。

 一枚ものの紙だ。それにはとんでもないことが、いや、まぁそれでいいんだけど……


 『魔王、討ち取ったり!』


 俺が倒すはずだった魔王はすでに誰かに撃ち滅ぼされ、俺が救うはずだった世界はすでに誰かの手で平和になっていたのだ。

 辺りからは「これで世界は平和になる」といった言葉が聞こえてくる。

 それはいいことだ。

 でも、俺は、何のためにこの世界にやってきたんだろう。


 世界を救う使命を受けた勇者。それが俺、だと思ったりしていたけど、そうじゃないらしい。

 でも神様は世界を救えと……


 頭がこんがらがってきた。


 けど、まぁ、いいか。

 世界を平和にするという目的は達成されているから、俺は元の世界に帰れるのだろう。

 そう考えていた。





 そして、3日がたった。

 俺は元の世界に帰れずにいる。俺をこの世界につれてきたと思われる、神様も現れないし、声が掛けられることも無い。

 

 なぜかポケットに入っていた見たことも無いコインのおかげでとりあえず過ごせているが、このままでは一文無しになるのもそう遠くは無いだろう。

 俺は危機感を抱き始めていた。

 それはこの生活が続けばどうなるか、ということに対する懸念ともう一つ。


 ――俺は、帰れるのか?

 という、現状考えられる最悪のパターンに対する懸念だ。


 俺は今、ギルドにいる。

 情報を得るんだ。俺は1人の男に話しかけた。


 「なあ、ちょっといいか?」


 「なんでしょう?」


 「魔王って、もう1人くらいいねぇの?」


 「あ、あなた! 信じられないことを言いますね! あんなのがもう1人いたら、世界は終わっていますよ!」


 「そ、そうか。魔王ってやべぇのな……」


 いろいろ情報を集めてはみたが、もう1人の魔王の存在についてはそれらしい情報は得られなかった。

 魔王というのは、第2、第3と存在するものだと思っていたが、この世界に裏ボスはいないらしい。





 さらに4日経った。この世界にやってきてから7日。丁度1週間がたった。

 俺はそろそろ元の世界に帰ることを諦め始めていた。


 と言っても元の世界への未練を断ち切ったわけじゃない。未練たらたらだ。今すぐ家族、友人に会いたい。

 だが、今すぐ変えるということが多分不可能であるということは悟った。


 勝手な憶測だが、来たんだから帰れない事は無いだろう。

 時間も、できれば早くすませたいが、それなりにはある。時間をかけて、元の世界に変える手段を見つけよう。そういう結論に俺は至った。


 とにかく、俺はこの世界で生きていくために、自分の力とやらを確かめることにした。

 確か、魔力無限、超能力、そして鬼神の身体能力。


 俺は安全な、とりあえず、俺が最初にこの世界にやってきた時にいた、あの草原へと向かった。


 「魔法、魔法……なんか、FFとかDQみたいな感じで……」


 アバウトにだが、炎を思い浮かべて、それを目の前に……


 「ファイアァアア!」


 俺の目の前に、巨大な火の玉が出現した。

 それはどんどん大きくなり、俺の体すら飲み込もうとする。直感的に、このままでは危ない気がした。

 だがこれは俺が生み出した魔法の火の玉。だった俺の制御を受けるはず。

 だから俺は、こいつを前方に弾き飛ばした。

 ――結果、前方にあった森、さらにその奥の山は全焼した。





 そして、今に至る。

 この世界の人の、ほとんどはクエスターと呼ばれ、日夜広義のダンジョンと呼ばれるモンスターの巣窟で戦い続けている。

 

 クエスター、というのは本当に広い範囲の人々を表す単語らしく、そのクエスターの中にはさらに細かく職業が存在する。

 まぁ、ソードマン、とかウィザード、とか、まさにRPGなあれ。俺だと勇者になってもおかしくなさそうだけど、魔王を倒さないのに勇者を名乗るなんてのはおこがましい事この上ない。

 

 剣を振るえばソードマン、魔法を使えばウィザードなのだが、この辺はどうも自称のようだ。


 さて、今日から俺は新米クエスター。

 だからとりあえず……


 「ここでいっか……おじさん、場所教えてくれ」


 「え、ちょ、え? そこは危険度Aの……」


 「いいからいいから」


 「でも、1人で行くのかい?」


 「1人ので行くのだよ、俺友達いないから」


 ギルドのおじさんは、なんだかうんうんうねりながら、渋々といった感じで俺に場所を説明してくれた。

 真北に一直線。

 『紅い森』。そこは、歴戦のクエスターすらも簡単に飲み込み、さらに森はクエスターたちの血で紅く染まっているという……

 

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