2-8.5話 お前らいっそのこと付き合ってしまえ
僕は今、かなり困っています。
「きょ〜や〜、あんたアイツと〜どこまでいってるの〜?」
僕の腕に抱きながら上目遣いで僕を見てくる楓。距離感が10歳の頃からほとんど変わっていないからか、自分の胸が当たっていることを気にしていない。そんな状況で僕はドキドキしながら会話をする。…僕だって年頃の男なんだ。可愛くて仲のいい女の子が酔っている状態でくっついてきたら平静ではいられない。欲だってあるさ。だけど、そんなことは同意もないのに出来はしないし場所が場所なんだ。落ち着け、僕。
「あ、あいつ…?」
僕は楓の質問の中にいる、あいつ、とは誰のことかわからなかった。湖咲のことだろうか。誰のことか分かっていない僕を見て楓は、むぅと頬を少し膨らませ少し語気を強めながら言った。
「かけるのことよ!みょーに仲がいいんだもん!お互い好きなんじゃないかって思ってるのよ!」
多分、楓のいう好きは人としてだとかそういうのじゃなく、恋愛どうこうのものだろう。少し考えた。いや、考えてしまった。僕と翔君が好きという状況を。翔君には悪いけど信じられないぐらいゾワッと来てしまった。
「そんなことないよ!?友人としては好きだけどそういう目では見てないよ!?」
「ホント…?」
また、上目遣いで僕を見る。ほてって蕩けた顔でそんな目をされたら理性が吹っ飛びそうだ。だけど僕は鋼の精神で耐えぬく。
「本当だよ。」
そう言うと、楓は笑みを浮かべ僕に抱きついてくる。うわぁぁぁぁ!!!誰か助けてぇぇぇ!!!可愛いすぎて襲いそうになる!顔では平静を装っているように努力するけど心はパニックだらけ。
「うん…?」
楓が動かなくなってしまったことに僕は気づいた。楓を見ると僕に抱きついたまま寝てしまっていた。可愛い寝息をたてながら。
「」
言葉を失ってしまった。このままだとやばくなりそうだったので、どうしてこうなったのか思い出すことにした。
―――――――
模擬戦の後、みんなで食事をとることになった。場所は先生達が決めていてくれて、僕らはその場所に行った。移動中僕と翔君は積もる話をし続けていた。着いた場所はかなり高そうな場所で少し緊張した。個室まで案内されたので行くと先生達は既に食べ始めていた。
「来たかい。悪いね、先に食べさせてもらってるよ。」
「いえ、お気になさらず。」
翔君の師である桜さんと凛さんは隣合って座っていて、その向かいに先生が座っていた。僕は端の方で翔君と話そうと思って皆を先に席に座らせた。そして翔君と向かい合って座ろうとすると
「翔くんはこっちね〜。」
「えっ?」
凛さんに連れられてしまった。まだ話したいこと沢山あったんだけどな。少し悲しくなりながらも端に座った。
だけど意外にも話を振ってくれて個人では話せなかったけどワイワイと盛り上がることができた。2人で話したかったけど。しばらくして、先生達はお酒が回ったのだろう会話がヒートアップしてきた。僕らにもほぼ素で絡んでくるようになった。
「翔くんは〜もっと〜周りに頼るべきだと思うんだよねぇ〜。おねーさんにもっと甘えて?」
「ちょっ、凛さん飲み過ぎ!くっつくな!力つよっ…、離れてください!桜さん!助けて!」
「や。めんどくさい。」
「なんで!?」
賑やかだなぁ、と思いながら見てたら左腕をツンツンされた。楓だ。
「なんか、距離感近いわね。あの3人。」
確かに。師弟関係とはいえあそこまで近くなるだろうか。…それくらい長く一緒に過ごしたんだろうな。僕も物心ついたくらいからいるから同じかそれ以上なんだけどな。でも不思議だな。僕と翔君はもっと長く過ごしてきた気がする。ふむ、なんでだろう…。まあ、今度翔君に聞いてみるか。そういえば哲郎と湖咲は?…黙々と食べてるな…。2人とも静かなのが好きなのは知ってるけど、すごいな。
「翔、お前からなりボコられてたな?」
「え、はい。」
「今から鍛えに外に行くぞ。」
「ファ!?なんで!?」
ホントになんで?
「わたしもいく〜」
「凛さんも!?」
「よし、行くぞ。」
「えっ、ちょっ、待っ、アアアァァァァァーー!!!」
桜さんの脇に抱えられた翔君は叫びながら連れられてしまった。
「私らも混ざろうかね。哲郎、湖咲あんたら特になんもせずに負けたね?行くよ。」
「…!!」
「行く、んですか?」
食べる手を同時に止め、困惑している。当たり前だ。さっきまで静かに美味しそうに食事を楽しんでたのに。
「ほら、行くよ。」
なんて威圧感だ。絶対にやらせるという意思を感じる。ちょっと怖い…。
「ハイ…」
「…(コクコク)」(ビクビク)
湖咲なんて凄く震えてるけど?あっ、連れてかれた。
「アタシ達だけ残ったわね。」
「そうだね。」
さぁ、どうしようか。うーん、楓と2人で話しながらゆっくり食べるか。
「…ねぇ、恭弥。」
「うん?どうしたの?」
「恭弥って、誰か好きな人っている?」
「………急だね?」
「答えて。」
うーん、そう言われてもなぁ。あんまそういう感情湧かないからなぁ。
「部隊のみんなは好きだし、翔君も勿論好きだよ?でも、恋愛とかそういうのは考えたことはないかな。」
「…そう。」
そう言って楓は少し遠くにあったグラスを手に取って、入っていた飲み物を飲んだ。ん?あのグラスに何入ってたっけ。ジュースだっけ。お酒だった気がするんだけど。先生の前にあったやつだし。もしかしてやばいやつ?思考してる間に楓は勢いよく僕の腕に抱きついてきた。
「きょ〜や〜、あんたアイツと〜どこまでいってるの〜?」
―――――――
こういう時、鮮明に思い出せてしまう僕の記憶力に少し呆れてしまう。それにしてもどうしよう、この状況…。そうだ、楓はいつもよく僕らのサポートしてくれてるし休ませてあげよう。少し身体の位置を調整して…。僕のももを枕にして横にしてあげて…。これでいいかな?僕のももを枕にしてるから寝心地は悪いけど床よりはいいだろう。
「…いつもありがとう。お疲れ様。おやすみ。」
その後30分くらいして皆が帰ってきた。疲れてたいして動けずにボコボコにされたらしい。楓のことに関しては疲れたみたいだ、と言い訳した。先生達の許可を得て僕は能力を発動して回復してあげた。翔君が1番酷かった。終わりに近づいてきて、楓を起こした。同じく疲れて寝たみたいだ、と言った。流石にあんなことをされたのは教えられない。恥ずかしいだろうから。覚えてなさそうにしてたから、多分本当に酔っていたんだろうな。
―――――――
心臓がバクバクしてる。ずっと好きだった恭弥の膝で寝ている。その前までも少し過激な事をしてたけど、冷静さを取り戻した今恥ずかしいと感じる。でも、幸せだな。
「…いつもありがとう。お疲れ様。おやすみ。」
そんな言葉を言われた。更なる幸福がアタシを襲う。この瞬間が永遠に続けばいいのにって思う。本当に疲れていたんだと思う、少ししたらアタシは寝てしまった。起こされてから疲れて寝ていたと言われた。皆もいるしあんなことは言わない方がいいと思ったんだろう。いつか本音を言えるようになりたいな。
どうも、ゆうです。
そういえば1年たったみたいです!おめでたい!投稿ペースクソですが読んでくれてる人いるみたいで嬉しい!今後も頑張ります!
さて今回は間の話という事で特段量が多いわけではないですがわりかし時間のかかったものです。ラブコメっぽいの書きたいなーなんて思って市販のラブコメを読んで、こういう展開あるんだなーなんて参考にしながら書いてたからですね。
次回から本編に動きがあるので楽しみにしててください!
では!




