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繰り返す命  作者: ゆう
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2-8話 覚醒

フィールドとなるのは、ジャングル、荒廃した街、山岳、群島、雪山等の地球のようなフィールドとなっている。それぞれの気候もしっかり再現されてる。

戦闘に関して、特に罰せられるルールはない。ここは仮想空間であるため、実際に死にはしない。感覚器官はそのままのため、死にはしないものの痛みは伴う。

そして今回はかなりの注目株同士の戦闘のため、記録を残すらしい。選手には姿は見えないし干渉もできない、カメラ機能付きのドローンが2機ずつつく。計10機のドローンで撮影を予定している。これを通し、観戦するといった感じだ。そして最後に、この模擬戦の勝敗のつけ方だが、至って単純。相手を殺すこと。両者共に全滅させた方の勝ち。


―――――――


バトルフィールドとなる場所は、かなり広大で、色々な地域がある。その内の1つである、ジャングルがメインの場所に、翔はいた。

「ガチジャングルじゃん。」

翔が思わず声にするのも無理はなく、いたる所で動物の鳴き声が聞こえる。それに気候もしっかりしていて、ジャングル特有の熱帯雨林気候でジメジメしていて暑い。

(取り敢えず移動しなきゃ何も始まんないか?)

そう思い歩み始める。それと同時に、どうやって恭弥達を戦闘不能に追い込むか、を考える。ルールを聞いた時、翔はそこまでするんだ、と思った。

(全滅、ね。俺かなり不利なんだけど。1対4じゃん。キッツいなぁ。…それに殺さなきゃいけないのか。出来る自信がないなぁ。)

うんうんと唸りながら歩いているとジャングル地帯を抜けたらしく、温暖湿潤な森にやってきていた。動物の鳴き声は後ろの方からは聞こえるが、前の方からは特に何も聞こえなくなっていた。気付けば後ろからも少しは響いていた鳴き声は聞こえなくなっていた。聞こえるのは風が吹き、草木がさざめく音だけだった。

(……?)

翔はこの事に違和感を感じ、身構える。上から気配を感じ大きく後ろに下がる。直後、とんでもない爆音と砂煙が元々翔がいた場所で起きる。翔はびっくりし、大声をあげる。

「うおぉぉぉ!!」

そしてもといた場所を見ると、そこにはデカいハンマーの柄に片腕を乗せ、キョロキョロと首を動かす楓がいた。

「ゴッホゴッホ、オェェ…目が…」

砂煙が少し晴れ、楓は翔の場所に気付いたのか、声をかける。

「避けたのはいいけど、かなりギリギリに見えたわね!そんなんでアタシ達に勝てるつもり?」

「ハッ、やって―」

言い終わる前に楓は翔に突っ込む。奇跡的にバリアの展開が出来たものの、バリィィィンという音がし、バリアが割れた。

「んなっ…!」

サッと後ろに跳び距離を取る。

「アンタ、アタシの能力忘れたわけ?」

そう言われ、翔は思い出す。砂煙は完全に晴れ、両者共に顔を見れる状況になる。

「破壊、だったか…。まさか、ここまで綺麗に破壊されるとは思わなかったな。」

破壊され、ガラスの破片のようになったバリアは少しずつ消えていくのが見えた。

「ま、ここまでは前座よ。ここからは全員でアンタをブチのめすわ。」

突然何を言い出すのかと思い辺りを見渡す。すると上空から黒い飛行物体がとんでもない速度で翔の方に向かってくるのが見えた。楓はハンマーを構え、タイミングを見計らって翔に飛びかかる。楓の攻撃が当たるのと同時に上から3つの攻撃を受けた。


―――――――


スタートの合図がなり、気がつくと荒廃した街に僕らはいた。

「始まったらしいね。」

そう、仲間に向かって声をかける。すぐに楓が口を開いて呼びかけに応えてくれた。

「そうね。まずは何をする?リーダー。」

まずやるべきことは既に頭の中にある。

「僕らはここの地理を全く知らないから、上から観察しよう。ついでに翔君も探しつつ、ね。」

視線を哲郎に向けると、哲郎は既にイグレスにお願いをしているようだった。イグレスは哲郎の肩から降り、僕らから離れてそれなりの広さのある場所まで移動した。

「大きくなれる場所を探してくるからその間に戦闘準備でもしておいて、だって。終わったらここに戻ってくるって。」

「わかった。ありがとう、哲郎。」

僕らはその間にどう行動するのかを話し合った。

「武器の調子はどう?」

哲郎を除いて他のメンバーと僕は武器をもっている。僕はナイフと拳銃を、楓は大きさの変えれるハンマーを、湖咲は槍を。哲郎は肉体に自信があるのと手先が器用じゃないため武器には持っておらず、素手で戦っている。

「ええ。大丈夫よ。」

「……コクコク」

楓と湖咲から平気というメッセージを受け取り。僕も装填や弾倉、銃口に問題がないかを確かめる。ナイフも刃毀れなし。うん、完璧だ。しばらくして、僕らを照らしていた太陽のような光源を遮る大きな影ができた。イグレスの準備ができたらしい。なら、もう行ってしまおう。話し合いもほどほどに、僕らはまるで、本の中に出てくるドラゴンの様な姿になったイグレスの上に乗り、空を飛んだ。

「色々あるんだね。」

空からフィールドを見下ろしているけど、事前説明にもあったように色々な環境が用意されている。これは誰の能力で作ったんだろう。

「そうね。アイツは探さないの?」

「探しているよ。だから、皆は地上を見ていて欲しい。」

僕は能力を発動して、翔君を探す。僕の能力で皆をイグレスから落ちない様にしつつ、翔君を探知する。しばらくしてジャングルが見えてきた。そして、翔君の気配を察知した。この先の森林にいるっぽい。

「楓!この先に翔君がいる。いける?」

「まかせて!一発KO狙いに行くわ!」

なんと頼もしい。哲郎にイグレスをもう少し

上空に移動させてもらい、楓に色々強化を施す。楓は持ち武器のハンマーを手に持ち、そこそこの大きさにする。そして、

「行け!」

「ハアアァァッッ!!!」

勢いよく飛び降りた。数秒後、大きな爆音が聞こえ、砂煙が舞うのが見えた。

「ご、豪快だね…」

「よし、僕らも行こう!」

2人は頷く。砂煙がある程度晴れるのを待ち、イグレスに急降下をするよう言ってもらう。そして僕らは翔君目がけ急降下する。そして翔君が見えたとき、全員で一斉に攻撃をしかけた。


―――――――


「っぶな…!」

壊されることを見越し、かなりの硬度にしたバリアを2重にし翔の周りに張っておいたが、ことごとく全て壊された。が、衝撃と速度がある程度低くなっていたことで、避ける時間が生まれた。瞬間転移を使い近場ではあるが、木の上に避難する。

「手加減てものを知らないのか!?」

危険ではあるが木の上から降り、恭弥達と話す。

「翔君相手に手加減して、勝てるとは思ってないからね。」

自己評価が高くない翔にとって、恭弥がそこまで本気でやる理由に見当がつかなかった。

「にしても、僕らは先手必勝で大体の任務を終わらせてきたから翔君にも倒せはしなくとも、ある程度ダメージは与えられると思ったんだけど……特にないようだね。」

「怪我はなくともめちゃめちゃびっくりしたからな?」

「傷がつかなきゃ意味が無いんだよ。」

かなり酷いことを言う親友に更に驚く。

(本気だな…。なら、俺も…)

「やられたからには、やり返すぞ?」

(本気でかかってやろう。)

全身から力を抜き、足に意識を集中させる。そして、恭弥に向かい走り出し蹴りをお見舞いする。

「ッツ!!」

「マジか」

かなり力を入れ蹴ったが、両手で蹴りを受け止められてしまった。この一瞬のやりとりの隙から、他のメンバーから攻撃を仕掛けられる。左からハンマー、右から槍が襲う。左右にバリアを展開し、恭弥に追い打ちをかける。バリアに関してはすぐ壊されてしまったものの、その攻撃が届く頃には翔はその場にはいない。防御に徹していた恭弥が右腕を翔に振り上げる。

「!お前もナイフ使うのか。」

「一応、ね!」

一瞬の隙を見抜き、恭弥は翔と距離を取る。再び恭弥に向かおうとするが体が動かなかった。

(なんだ?体が動かない…というより、何かに縛られて…)

「私の能力、忘れないで。」

「くっ!」

体が縛り上げられ、宙に浮く。首も絞められ呼吸がしにくくなり、血流もとめられ視界が狭まる。

(まず、い)

力を入れるも、びくともしない。瞬間転移をしようとするがこのあたりは木が多く、転移がし辛い。

(なら…手は、1つ、だな)

翔は上空を見る。仮想空間とは思えないほどの綺麗な青空が広がっている。

(転、…移!)

そして上空に転移する。が、下から槍が飛んでくる。それをバリアで防ぐものの、一向に威力は衰えず、むしろ増していく。

(これは…!能力によって飛ばされたものか!)

槍はバリア越しに翔を貫こうとするが、力を加えるのを止め、下がっていった。

(やばっ、落ち―)

翔が落ちる寸前に、何かから上から体を挟まれた。

「ガッ!いってぇ!」

その何かを見るために顔を傾けるとそこには姿を変えたイグレスがいた。イグレスは翔を噛み砕かんと顎に力を加え続けたまま、上昇を開始する。翔はみを守るためにギリギリでバリアを張ることに成功したものの、少しづつヒビが入っていることを感じた。

(まずいなぁ)

バキン――、と何かが壊れる音が聞こえた。

今まで、ここまでの危機は感じたことがなかった。桜や凛と特訓と称し拳を交え、ボコボコにされる。実力では圧倒的であるため、負けることに対して何か思うものはない。偶に勝つことはあるがラッキーであると翔は思っている。だが、実力がほとんど拮抗しているこの状況で、このとき翔のなかに生じたのは、危機感や敗北することの悔しさはあれど、それよりも、楽しさだった。

「ハハ…最高だなぁ?」

口角を上げ笑う翔にイグレスは恐怖を感じた。このまま咥えていてもいいことがないと、そう思ったイグレスは真下に向けて吐き出そうとする。が、翔は少し空いた隙間からナイフと形状変化を持った棒をナイフの形にし、口の先端部分を斬る。

「ギャアアアァァァァ!!!」

けたたましい悲鳴をイグレスはあげる。

「ハッ、口をでかく開けすぎだ。」

刹那、イグレスは背と腹に割れる。内臓や体液が断面から零れ落ちる。不快に感じ、更に細かく分裂させる。

「……。」

翔は宙に浮く。正確に言えば、立っている、だが。向かい風となるように風が吹いている。両腕を広げ、落ちていくイグレスだった物をよそに、深く、深く、息を吸い、吐く。

「フゥゥ……。なるほどな、こうするのか。ハハッ、最高の気分だ…。」

下を見る。恭弥達の姿は見えない。だが、気配は感じる。視覚というものには反応は無くとも、()()()

「終わらせてやる。」


―――――――


イグレスが翔君を空の上に運んだ。チェックメイトだろう。僕らは翔君の能力の弱点を知っている。というより、翔君自身の弱点というべきだろうか。翔君はバリアを出す際、何か支えが無いと出せない。支えが無くとも出せるといえば出せるんだろうけど、それは重力に従って落ちてしまう。だから体を守ろうとして、バリアは発動するけど地面をつっかえとして発動する必要がある。体に巻きつけるような事もできるけど、それでは直に衝撃が来てしまう。だからそれしか体を守る手段がとれない空中戦では、時間の問題という事だ。転移は高速移動中だと転移先が定まらなくて無理だし、抜ける手段が無いに等しいだろう。他にも色々あるけど…まぁ今は、

「待つだけ、かな…。」

「意外と大したことなかったわね。やっぱアタシ達が最強なのよ。」

ふん、とドヤる楓を見て、僕の中にあった緊張が少し解ける。湖咲も何となく喜んでるように見える。だけど―

「少し、残念かな。」

「?どうして?」

哲郎が聞いてくる。

「いや、呆気なさ過ぎて。もう少し苦戦とかするのかと思ったんだけど…うん、期待し過ぎたかな。」

やっぱ昔の事を知っている身として、楽しみだったんだけどな。人数差っていうのはやっぱ辛いものなんだろうな。

………?なんだ?何かおかしい。身体が震える。嫌な予感と一緒に、感じたことのあるものが僕を襲う。と、同時に哲郎から衝撃な情報を伝えられる。

「恭弥君!イグレスが…死んだ…」

「っ!全員!!戦闘態勢をとれ!!」

僕の声かけに全員が反応し、僕も全力で能力を発動する。

「まだ、終わってないよ。」

瞬間、上空から僕めがけて突進してくる翔君を見た。


―――――――


頭を下にし、しゃがんだ状態になるよう跳ぶ。足裏に壁を作り、思いっきり蹴る。狙いは決めていなかった。誰か1人をダウンさせれば有利になるから。誰か1人の頭上に来た。脳天めがけて拳を振る。だが回避されてしまった。

「能力を全力で使ってなかったら今ので僕は死んでたね。」

「恭弥だったのか。ようやく能力使ったな。今はやりたかったことができる気がするんだ。お前らで試させてくれ。」

ニコニコしながら恭弥達に話す翔を見て、恭弥は1つ思うことがあった。

(翔君は…どうやら自分が覚醒したことに気づいてない?まさか、これが初めての覚醒なのか?なら、どっちの能力が覚醒したか判断しないと。)

「ま、試すもなにも戦わなきゃ分からないもんもあるからな。」

「ッ!」

少し離れた所に立っていた翔は、一瞬で恭弥の前に転移しそのまま蹴りを食らわせる。恭弥は能力で自分含めた味方にバフを与えている。自己バフでは身体強化の他に脳の活性化がある。脳の活性化に伴い五感の機能が上がる。目の強化では、自分以外の動きが遅く見える。所謂ゾーンに入ったときの視界を意図的に持続的にすることができる。恭弥は翔が動きながら転移をすることが苦手だと知っている。仮にできたとしても防ぐことぐらいなんてことないと思っていた。だが、現実はそうはいかなかった。見切るよりも、速く、動いたからだ。

(みえ…なかった…!)

即座に反撃の体勢を取ろうとするも追加の殴りが飛んでくる。

「ガッ!」

恭弥は地面を数メートル転がる。他のメンバーも攻撃をする。楓はハンマーを振り下ろす。湖咲は槍を刺突させ、糸を使い、縛ろうとする。

ハンマーと槍はバリアで凌ぎ、糸は転移で断ち切る。

「バリアは意味ないって言ってるでしょ!!」

バリアは割れる、が割れた先でバリアがまたある。翔は楓対策でバリアを何重にも重ねて展開した。槍の方は強度を集中させ、槍の動きに合わせ、動くようにした。

「!糸が…」

「まずは1人。」

油断した湖咲に転移を使う。刹那、湖咲はバラバラになる。

「なっ‥!」

これを見て楓は退いたほうがいいと判断し、一旦離れる。翔は近づこうとするが、地面から哲郎が飛び出す。()()()()()()()()()()()で身を防ぐ。

「ガアアァァァァァ!!!」

楓の前に立ち、翔に対し威嚇をする。

「大、丈夫?」

「ええ…。…アンタ、気をつけなさいね。」

「わかっ、てる。」

「…ふむ。」

(こいつの能力は動物の使役、だったはず。さては使役した動物の力を使えるとかもあるな?)

今の哲郎はモグラのように土を掘るのに特化した腕。何の動物なのかは翔には分からないが、何か獣じみた顔をしている。

「ハハッ、さてはゴリラか? 」

「どう、かな!」

哲郎が物凄いスピードで翔に突撃する。だが翔にとってそのスピードは遅い方であった。

(こんなもんか?)

翔は腰からナイフを取り出し、哲郎と肉弾戦を始める。哲郎は見た目とは裏腹にテクニカルな動きとスピードを持って格闘する。一方翔はその全てを防ぎ、逸らし、そして反撃をする。気づけば哲郎は地に膝をついていた。身体は大量の切傷と打撲痕がある。

「ぐっ……ど、うし、て。恭、弥、でさえ、くせ、んしたのに…。」

「苦戦するか?これ。見た感じ、タイムリミットありの強化形態って感じか?ま、それ使って善戦すらしなかったんだ。諦めて死にな。」

「そう、は、いかない!」

「お?何すんの?」

「見てれば、分かる。……死ね!」

「は?」

刹那、大爆発が起こる。


―――――――


地面を転がった後、哲郎に助けてもらった僕は少し離れた所にいる。自分の能力で回復をして、タイミングを見極めて戦闘に戻ろうとしていた。少しして楓が僕の元に来た。あの場を哲郎に任せたらしい。楓も怪我をしていたから回復をした。そのすぐ後、爆発音が聞こえた。多分、いつか戦った自爆するクリーチャーをコピーしたんだろう。ここから分かることは、あの形態でも翔君に勝てなかったから、自爆をしたんだろう。楓は悔しそうにする。

「これで、終わったの?」

「終わってるといいけど…。あの爆発はノータイムで起こるから、覚醒した翔君でもバリアの発動は間に合わないと思う。」

でも、もし、()()()()()()()()()()()()()()()、あれすら耐えられるかもしれない。けど、そんな脳に負担がかかること、普通は出来ない。2つ能力があるとはいえ長時間発動してたら脳がオーバーヒートする。だから、この勝負、僕らの勝ちだ。だけど、いくら待っても終わりの宣言がされない。まさか、そんな馬鹿な…。僕は駆け出す。後ろから楓が声をかけて追いかけてくるのがわかったけど、止まらずに走る。爆発地点に着いた。ほとんどの煙が晴れたその場所には、1人立っていた。


―――――――


「ケムい…。」

翔はイグレスを殺した後、地上に降りる前に身体全体にバリアを張っていた。バリアをしてるとはいえ、無闇矢鱈に攻撃を喰らうことはしないようにしていた。翔にとってこれはもしもの保険として機能させているものだからだ。あの爆発は全くもって想定外の行動だった。翔は爆発直後、呆気に取られ、ぼーっとしていた。

(びっくりしたぁ。爆発とかできんのか。……とりあえず、晴れるまで待つかぁ。)

このまま動いてもアテもないので晴れるのを待ってから行動しようと決めた。少し経ち、そろそろ晴れるかな、と言うところで残りの恭弥と楓が向こうからやってきた。

「なんて、ことだ…。」

「よぉ。お前らから来てくれるのは、こっちからすると凄い楽だぞ。」

どうやら声は届いていないようだ。

「君は一体どうやって爆発を耐えたんだ?」

急に質問をしてくる恭弥に翔は疑問だったが、答えることにした。

「どうって、バリア張って。」

「そのバリアは、ずっと展開していたの?」

「?勿論。じゃなきゃ耐えられん。」

そう言うと、恭弥は目を見開いた。楓も、驚いた顔をしている。

「ちなみに、いつから?」

「地上に戻ってくる直前、かな。」

「ふふ…そうか。君は…凄いやつだよ。」

「?なんだよ、早く続きをやろう。」

「そうだね。こうなったら、僕も本気で行かせてもらうよ。」

恭弥が先に動く。続いて楓が。自分の能力で更に強化しているのだろう、さっきとは比べ物にならないほど速い。神速の一撃を2人同時に翔にお見舞いする。翔は一歩も動かずバリアで攻撃を防ぐ。楓が能力で連続してバリアを破壊する。翔に攻撃が届くのも時間の問題だった。翔はバリアを使い、楓を木の方へ押した。

「グッ!」

壁にした木がバキバキと音を立て、折れていく。恭弥に使っていたバリアを解き、ナイフで戦う。恭弥は自身を強化することによって翔と同等の身体能力となった。だが、翔には攻撃がかすりもしない。両者、殴る、蹴る、切るを繰り返す。恭弥は攻撃を受ける度に回復をして万全を整えるが、能力を使うため、疲労はその分溜まっていく。楓が翔の後ろから奇襲を仕掛けるが、翔の第2の武器である変形する棒によって防がれる。翔はその棒を槍の形にし、楓のハンマーと応戦する。だが、慣れない左手で槍を扱い、2人同時に相手をしていた翔は槍を弾かれてしまった。槍は勢いよく空へ飛んでいく。

「クッソ」

「油断したわね。」

「ッ‼︎」

楓に隙をつかれ、殴られる。体に張っていたバリアが破壊される。破壊され、意識をそっちに持って行かれた翔は、恭弥の刺突にバリアの発動が間に合わず、右腹を刺される。恭弥はそのまま左に腕を振り腹を切り開く。

「グフッ…。」

口から血を吐き出す。腹からは止めどなく血が溢れる。翔は地面に仰向けに倒れる。

「ハァッ、ハァ、……僕らの、勝ちだ。」

翔に、それに返事をする余裕すらない。だが翔は待つ。その瞬間を。

「……いや…まだ、だ。」

翔は起きあがろうとする。恭弥はそれを止めようとする。

「やめなよ!仮想とはいえ、辛いだろう!」

「敵の心配か…優しいねぇ…。自分らのことに気をかけなよ。」

「そうよ敵の心配なんかして何にもならないわ。だけど、今のアンタに反撃なんか出来ないでしょ。」

「そうとも、限らないぞ?」

そう言い、上を指す。2人は釣られて上を見る。だが何も見えない。何もない。だが翔にはみえている。そして、その時は来た。

「なによ。何もないじゃない。苦し紛れの事なんかして何―――」

グシャッ

嫌な音が響く。それと同時に楓の発声も止まる。恭弥は後ろを振り向く。その目には脳天から身体を貫かれ、槍を支えに死んだ楓が写った。恭弥はすぐに後ろを振り向くが、遅かった。眼前には眉間を貫こうとする翔がいた。

「だから言ったんだ。自分のことを気にかけろって。」

こうして長いようで短い、戦いが終わった。


―――――――


「これは…」

「ええ…」

観戦していた研究者がブツブツと話し合っている。確かにこの戦いはこれまでに行われた模擬戦に比べ、明らかに異常だった。

「すごかったね…」

左隣で見ていた凛が言う。

「あぁ。翔がここまで動けるようになるとはな。それに―」

「覚醒か。こんな土壇場でなるとはね。」

そう、翔が覚醒したのだ。こんなことはこれまで無かった。それに2つ同時に、だ。そして、こちらでしか分からない事だが、翔が覚醒した瞬間、測定器が警報音とエラーを出した。この測定器は能力を使う事で出る、オーラのようなものの力量を計り取るものだ。こんな事も今まで無かった。というより、あるはずが無かった。エラーが出るほどのオーラを出す能力者など情報としてないからだ。この模擬戦は歴史に残るだろう。それほどインパクトのあるものだった。

(あたしでさえ、1つずつだったてのに。)

やはり翔には何かあるのだろうか、と思う桜に圭子が話しかける。

「翔君の勝ち、であることに変わりはないよ。ここまで育てた事に誇りを持つといい。たとえ、2人で指導しててもだ。」

「…….ありがたく受け取っておこう。」

「ありがとうございます。」

「では、迎えに行くかね。」

圭子がスッと立ち上がり言う。桜と凛もそれに続き立ち上がる。

「じゃ、桜ちゃん、行こっか。」

「そうだな。」

3人は選手のいる場所へ向かい、仮想空間から起こした。翔は恭弥達に結構な事をしたと思っており謝罪していたが、恭弥達はそれほど気にしていなかった。この後全員で食事に行ったのは別のお話。


―――――――


観戦室から出ていく人がいた。その人物は迷いなく施設から出て、自分の家に帰った。服を脱ぎ、お風呂に入る。身体を洗って浴室から出る。髪を乾かし、整える。ふと、今日のことを思い出す。ドクン、と心臓が高鳴る。両方の手で、自分の頬に触れる。今日見た模擬戦の事が頭から離れない。彼の強さを目の当たりにし、彼こそが自分の求めていた人だと知る。ふと、自分の首に触れる。首にはチョーカーがある。組織に付けられたものだ。外そうとするのと、力を使おうとすると、首が弾け飛ぶようになっている。だが、彼なら自分の()を外し、救ってくれるという直感が働く。彼のことを考える度に、身体が疼いて仕方がない。極度の興奮状態になっているようだ。目の前の鏡に映る自分を見ると、だらしなく、蕩けきった、淫らな顔をしている。下腹部の疼きも止まらない。

「あぁ…♡」

裸のまま、寝室に行き、ベッドに倒れるようにして入る。掛け布団を握り、目を瞑り、もう一度彼の顔を思い浮かべる。どこかで逢えるだろうか。早く逢いたい。その気持ちが胸に溜まる。

逢いたい。逢いたい。逢いたい。逢いたい。逢いたい。逢いたい。逢いたい。

逢ったら今まで溜まっていたこの感情を、彼にぶつけるのだ。きっと、この感情は初恋なのだろう。

「待っててね。すぐ、逢いにいくからね。」

彼を思い浮かべながら、自分の身体を愛撫する。程なくして絶頂する。

「んんっ…♡」

今まで色んな男と交わってきたが、ただの愛撫が、今までのそれよりも早く絶頂に達し、気持ちよかった。その後、何度か愛撫を続け、絶頂を繰り返した。

「はぁ…♡翔君♡」

彼の名を言い、夢に堕ちるまで、愛撫を続けた。

はい、大変遅れました事をお詫び申し上げます。とりあえず頑張ったのでそれで許してください。僕から言うことは、この時期クソ忙しくて笑うわ、ですね。言い訳タイム終了。何と次からは新章を予定しています。その前に間の8.5話をあげるかもしれませんが…。

少し説明したいことがあるんですが。何点かあるんですが、最初は翔の能力の覚醒について。まず、翔が高速移動中に転移できないという点。移動中に自分に近くの景色が早く変わるせいで転移できないというのはわかってもらえると思うんですけど、遠くの景色は大して変わらないじゃないですか。物理的に考えて。ほら、新幹線の中で富士山見えても少しづつ後ろに行くだけでわりかし長い間見られるでしょ?この時にそこに転移すればいいじゃんていう話なんですが、転移出来る距離に制限があるのと、転移先の景色、情景が思い浮かばないと出来ないっていう制限があるんですよ。さっきの話にあてると、富士山が見えて「あ、頂上に行きたいなぁ」なんて思っても頂上の景色なんてわからないから転移出来ないでしょ?って話なんです。まぁ全部解決してしまったんですが…。バリアは凄く分からりづらいんですが。まずバリアをこう、ぱっ、て出しても落ちていくの、想像できますかね?ここで、転移の話をします。まず、翔が転移するとき偶にZ軸が上にずれることあったんですよ。(作中ではそんな描写を書いてないけどね。ついでに言うと、この問題も覚醒で解決しました。)このとき翔君は「ミスったな〜」程度なんですが、結構重要な事で。物体を空中に出すなんて今までも出来てたんですけど、でも空中に留めるなんてのは出来なかったんです。なにが繋がんねんって話なんですが、転移って地点Aから地点Bに移すって感じで、なんで無重力の中で場所を移す感じに近いです。無重力だと外力加えられなかったら動かないから。そこで重力があると下に落ちるんですが。要は転移のとき空中に置くというような作業をしてるわけです。で、覚醒したときにこの感覚をつかんで、バリアを空中に置くという奇妙な事をできるようにしたわけですね。という感じです。(頼む!!伝わってくれ〜!!)

以上、謝罪と説明でした。

次章は今回少し書きましたが、七大罪篇です。お楽しみに。

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