2-6話 新武器
(見慣れない、天井だ…)
翔は目を覚まし、そんなことを思う。首だけ動かし周りを見るとここが病室であることを確認する。なぜここにいるのか、寝ていた前のことを思い出す。
(そうだ、能力を使いすぎて倒れたんだった。もっと使って慣れないとな〜。)
むくり、と体を起こす。それと同時に病室の扉が開く音が聞こえた。入ってきたのは人は桜と凛であった。
「翔!起きたのか!」
「翔ぐぅーん!よがっだぁぁぁぁ!!」
「ぅぐ」
桜は純粋に驚き、凛は涙を流しながら翔に抱きついた。
「くる…しいです…」
凛の背中をポンポンと叩く。
「ご、ごめんね!でもよかったぁ〜。すっごく心配したんだからね。」
「はは…申し訳ないです。」
「それで?大丈夫なのか?」
「はい。特に何もないです。」
「よし。じゃあ、あたしは医者を呼んでくる。」
そう言って桜は病室を出た。
「桜ちゃん、ああ見えて結構心配してたから、気に病むことをはないよ。」
突如、凛がそんなことを言う。
「なにも思われてないと思ってた。」
「あの子、あまりそういう感情出さないからねぇ。でもそういうところが可愛いでしょ?」
「でしょと言われても…」
「とにかく、死なないでくれてよかった。約束守ってくれたのね。」
優しい顔と声で言う。
「もちろんです。まだ死ぬわけにはいきませんから。」
そう言うと凛は、微笑みを浮かべた。そして小さく、よかったね桜ちゃん、と呟くのだった。その後は桜と医者の人が来て、色々検査をし、明日には退院できると言われた。夜、桜や凛が帰り少し寂しくなった病室のベットに仰向けになり、今回の任務の事を回想する。
(自分を転移させる…今までできなかったことだし、思いつきもしなかったこと。なんでできたんだろう。それに…あの感覚は今まで感じたことのないものだな。まぁ、とりあえず自分の転移を常にできるようにしておかないと、この先やっていける気がしない…)
このまま、目を瞑りながら考えているといつの間にか眠っていた翔なのであった。
初めての任務から、一カ月と少しが経った頃、翔宛に手紙が届いていた。送り主は恭弥である。内容は恭弥の誕生日に手紙を送ってもらった事のお礼と、翔の誕生日を祝うもの、そして恭弥の電話番号である。
「そういえば、俺も誕生日か…」
翔の誕生日は十月十七日で、今日はそれの二日前である。
(俺は、誕生日当日に送っちゃったから、何日かズレたんだろうなぁ。で、恭弥はそれを見越して何日か前に出したんだろうなぁ。電話番号登録しとこ。)
翔が任務をこなすようになってから、桜から携帯を渡された。これで任務の内容の確認やメッセージのやりとりをしろ、ということだった。さくっと登録をして、お礼のメールを送った。
(明日は秀人さんに用があるから早めに寝よ〜。)
そして、色々済ませたあと就寝した。
「秀人さ〜ん。ちょっといいですか〜?」
「おお、翔。どうしたんだい?」
次の日の昼頃、翔は秀人の所に行った。用としては戦闘用のスーツのメンテナンスと、新しく武器が欲しいと思ったからである。
「メンテナンスに関してはコチラでやっておきます。」
「あぁ、頼んだよ。」
「実は他にお願いがあって…」
「ん?なんだい?」
翔はまだ任務を数回しかこなしていないが、ナイフだけではこの先まともに任務遂行できないと考え、秀人に遠距離で攻撃できる武器を貰いに来たのである。
「俺のイメージでは、拳銃とかいいなぁって。」
「ふむ…拳銃か。」
「なにか、まずいんですかね。」
「いやいや、むしろありがたいぐらいなんだよ。」
「ありがたい?」
「実は今ここの整理をしていてね、そこで没にした武器の設計図と試作品がでてきてね。どうしようか迷っていたところだったんただ。」
「その武器というのは?」
「これだよ。」
秀人が取り出したのは直径五センチ長さ三十センチ程の二本の金属の棒だった。試しに翔が持ってみるとかなりの重さがあった。
「結構…重いですね。」
「そうなんだよ。没にした理由の一つさ。」
「へぇ、これはどう使うんですか?」
「その二本を縦にくっつけてみて。」
言われた通り、縦にくっつけると一つの棒になった。
「おお、繋がった。」
「その武器は使用者の意図に応じて形を自由に変えることができるのが特徴で、本来、凛に渡そうと思ったものなんだが、僕が作ったものよりいいものができたらしくてね。申し訳なさそうに断られてしまったよ。初めて来たとき他の研究者の所に行っただろう?あのとき、凛は自分の武器のメンテナンスに行ったんだ。」
確かに思い出してみると、凛は秀人に見てもらうのではなく他の場所に行っていた。翔は秀人に対し、それにしても、と言って
「断られる事があるんですね。」
「そういうのはよくあるさ。世間の人は僕の事を天才だ、と言うがそれは能力ありきのこと。別に物作りに関しては僕より凄い人は無数にいると思ってるよ。僕ができるのは知識の提供ぐらいだよ。」
少し自分を下に見ながらそんなことを言う。だが翔は、秀人はそんな事はないと思っている。これを言ったところで謙遜するだろう、と何となく思ったため口には出さなかったが。
「そういえば、これと銃に何の関係が?」
「あぁ!すまないね。そうそう、それは使用者の意図によって形を変えられる。すなわちそれに合う銃を作れば拳銃からライフルやスナイパーライフルにだってなれると考えたのさ。」
「そういうことですか。」
「それに、君は拳銃を渡したところで中距離戦には弱いと見た。これを使えば槍とか刀や剣のように使うこともできる。ただの鈍器にだってなるしね。どうかな?試しに使ってみてほしいんだ。」
「いいですね!是非使わせてください!」
翔は二つ返事でOKした。
「本当かい!?それはありがたいよ。使わないで腐らせておくのも勿体なかったからね。それじゃあこっちに来てくれるかい?」
そう言われ、案内されたのは部屋の奥でそこにはちょっとした広場があった。秀人曰くここで武器の試し使いができるのだという。
「拳銃は新しく君に合わせて作るから、今はこの銃を使ってデータを採らせてくれるかい?」
「わかりました。」
秀人は何やらゲームに使うような銃を取り出した。本物のではないが、かなり似せて作っているらしい。それを使いパソコンに射撃中の体勢や癖などの色々なデータを採った。勿論秀人自身の能力による解析も忘れずに。
「…うまいねぇ。もしかして凛に教わったりしたのかい?」
「そうですね。射撃の姿勢とか、使い方とかちょっとした事を。」
「ふむ…にしては上手いな…。ま、結構な量が採れたからこれで作らせてもらうよ。型はそう言う普通の拳銃でいいのかい?」
秀人がいうのは銃の上側の部分を後ろにスライドし弾を装填する銃のことである。
「はい、これでお願いします。ところで…一つ聞きたいことがあるんですけど。」
「なんだい?」
「この棒ってどういう仕組みで形が変わるんですか?使うにあたって知っておきたいな〜と思いまして。」
「あぁ、それかい?かなりシンプルな仕組みだよ。能力の因子をそれに宿してるんだ。」
「????」
「ふふ、詳しく説明するね。」
元々武器や防具に関しては、従来の物が使われていた。だがクリーチャーとの戦いとなると、簡単に壊れて使い物にならなくなるのがネックになってしまっていた。そこでとある研究者が能力者から能力をコピーし、それを武器や防具、果てには物に付与できないかという研究を始めた。結果、大成功を収め能力を付与された武具を使うのが主流となった。翔が渡された金属の棒には、テレパシーと形状変化、硬軟化の能力が付与されているらしい。テレパシーで使用者の考えを検知し、形状変化で形を変え、硬軟化で耐久性を上げる、という事らしい。
「だから、拳銃にくっつけてスナイパーライフルのように銃身を長くして威力を上げるということができるだ。銃の方も弾が物によっては二百から三百程入るものも作れる。」
「すげぇ〜。その研究者かなり凄いんですねぇ〜。」
素直に感嘆する翔。だが秀人はその言葉に対し、微妙な顔つきになる。
「……そうだね。」
「どうかしたんですか?」
「いいや。なんでもないさ。とりあえず作ってみるから、一週間後またおいで。」
「わかりました!ありがとうございます!」
そこに丁度よくアイがやってきてメンテナンスの終了を告げてきた。有り難く受け取りその日は帰路についた。
「……翔は、君達の事を知らないようだ。教えてあげたいけど、約束だもんな。君の技術で翔が更に強くなっていく。立派だよ。あの子は。だからこそ、だな。」
ある二人の写真を見ながらそう、秀人は呟いた。
一週間後、翔は秀人のもとに訪れた。
「来たようだね。」
「はい!」
「試作品だけど完成したよ。使ってみてくれ。」
そして奥の部屋に行く。そして拳銃を使って的をドンドンと射抜いていく。
「凄く使いやすいです!」
「また一段とうまくなったね?」
「凛さんに指導してもらいました。まだまだですが、使いこなせるように頑張ります。」
ふんす、と鼻で息を吐く。
「じゃあ次は、こっちをお願いしようかな。」
取り出したのは、金属の棒。
「好きな形で使ってもらって構わない。翔用に調整してあるから誤作動は起こらないと思う。」
翔は、二つの棒を縦にくっつけ、槍をイメージしてみる。そうすると、合わせて六十センチしか無かった棒が翔の身長を少し越すぐらいの長さになり、先端が尖った、槍になった。軽く振ったり突いたりしてみる。使用感に違和感はなく、安定して使えている。次に翔は、刀をイメージしてみた。すると、槍の形をしていた物が、縮み、鍔ができて刀身が現れた。薙いだりしてみても違和感はなかった。そして元の形に戻す。
「俺の身長に合わせて変化するんですね。」
「そう。だから翔の成長に合わせて大きさも変化していく。使い勝手に変化は訪れるだろうけど、成長に合わせるから慣れのほうが先に来ると思う。どうかな?」
「凄くいいです!さっそく次の任務で使いたいです!」
「それは嬉しいなぁ。でも最終調整があるからもう少し先かな?でも、次の任務には間に合うと思うよ。」
「じゃあ、楽しみに待ってます!」
「こっちも頑張るよ。」
「お願いします!」
その後、最終調整のため色々な形に変形させ、使ってデータを採った。そして数日後、受けっとった新武器を使い任務をするのはまた、別のお話。
どうも、ゆうです。
う〜ん、恭弥君を出せなかった。普通に計画ミスですね。失礼しました。多分次か、更に次くらいに出せそうです。温かい目で見てくださいな。あと今回は短めでしたね。まあ、かなり時間をもらってこの長さなのはいささかどうかと思うのですが…。次回はもう少し長めに書きたいです。そして、次回はすこーし時間が進む………かも?




