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終わりの時計 *ChatGPT使用

作者: ほほ

象出してみたかっただけ

___私は目を覚ました。


曇り空を見上げると、あの日と同じように重たい空気が広がっていた。

台所から聞こえる母の料理の音、リビングで新聞を広げる父、そして隣でスマホをいじる兄。




何も変わらない、平凡な朝。


だが、私の目には何かが違って見えた。誰もがどこかおかしいのだ。違和感が拭えない。


「おはよう、今日もいい天気だな。」父が笑顔で言った。


私はその笑顔に妙な違和感を覚えた。目が合うと、父の瞳は一瞬で歪んだように見えた。気のせいか?


「あれ?テレビ、なんかおかしくない?」私は声を上げた。


テレビ画面に映るニュースキャスターは、普通にしゃべっているように見えたが、その声はどこか機械的で、反響しているようだった。


「え?…あ、ああ、もう…」父が手を振った。「それ、気にしないで。」


その時、突然、家のドアが開く音がした。だれかが家に入ってきた。玄関からは誰も見当たらないはずなのに。


「誰?」私が叫ぶと、父が無表情で言った。


「また、あいつらが来たんだ。」


私はその言葉を理解できずに、家の中を見渡した。



その時、視界の端に不自然な動きが見えた。リビングの隅に立っていた兄が、無表情でこちらを見つめていた。スマホを握ったままで。


そして、気づくと、家の中の時計がいきなり「カチッ」と音を立て、動き出した。その音は不気味に響き渡り、時計の針は異常な速さで進んでいく。


「何、これ…」私は足がすくんだ。


父と母はまるで気にすることなく、新聞を読み続け、兄もまたスマホに夢中になっている。私はその異常に対して、どうしても声を上げずにはいられなかった。


「止めて!時計が狂ってる!何かが変!」私の声が家の中で響いた。


その瞬間、時計の針が一気に逆回転を始めた。まるで時間が逆行しているかのように、全てがリセットされる。空気がぴりっと張りつめ、そして、再び…。





「また、始まった。」父がつぶやいた。




再び朝が訪れる。まるで何事もなかったかのように。まるで私が何かを見間違えたかのように。けれども、違う。それは確かに昨日も今日も同じ日だった。なぜ、私はこんなにも既視感を感じるのか?


その日の午後、父は言った。


「君が気づいていることは、間違いではない。ただ、君が見ているのは本当の現実じゃないんだ。」


私は混乱しながらも、父を問い詰めた。


「どういう意味?何が起きているの?」


父は静かに答える。「この世界、君がいる場所は、実は…『試験中のシミュレーション』に過ぎないんだ。」


その言葉に私は目を見開いた。


「ループ…?」私は絞り出すように言った。


「そう。」父は冷徹に続けた。

「私たちは、シミュレーションの一部。君も、母も、兄も…みんな実験データだ。」





___その瞬間、家の中で響く不気味な音がした。それは、時計の針が再び逆行する音だった。





「もうすぐ、すべてが終わる。」父は無表情で言った。


「え?」私は叫んだ。「終わる?」


その時、部屋の隅から声が聞こえた。母がゆっくりと顔を上げる。その目は何かを悟ったかのように空虚だった。


「もう終わりだよ。」母は呟いた。


私は頭がぐるぐると回り、言葉が理解できなくなった。その瞬間、部屋の中がすべて暗転し、時計の針が最後にカチッと止まった。


そして、私は目を開けると、何もかもが元に戻っていた。家族も、私の周りの全ても。


再び、朝が来た。


その時、何かが違った。空気が変わった。


不意に、家の隅で鈍い音が鳴り響き、床が震えた。ドアが突然、開きっぱなしになり、外から冷たい風が吹き込んできた。その風に乗って、どこからともなく、乾いた大地のひび割れ音が聞こえた。



そして、その音が次第に大きくなり、ついに――



地面が割れた。



目の前で、家が揺れ、壁がひび割れていくのを見ていると、背後から爆音が響き渡る。その音とともに、どこか遠くから壮大なファンファーレが鳴り響いた。


「なんだ、これは――!」私は叫んだ。


空は裂け、赤い光が空を染め、無数の巨大な影が、破滅をもたらすように地面を踏みしめて現れた。その影のひとつがゆっくりと私に向かって歩み寄る。目の前には、巨大な象が現れる。


象が一歩、また一歩と歩みを進めるごとに、地面が割れていく。象の後ろには、数えきれないほどの大群が見えた。全てが、破滅に向かって進んでいる。


そして、ついに象が私の前に立ち止まった。


その目が私を見据え、静かに語りかける。


「君がこの世界を作ったんだ。」


私はその言葉に、何も言えなかった。ただ、象の目を見つめることしかできなかった。


その瞬間、家の中から再び時計の音が鳴り響いた。カチ、カチ、カチ。何度も、何度も。時計は逆回転を始め、再びループが繰り返されるように見えた。


そして、私はただひとことだけ呟いた。


「終わりなんて、ないんだ。」


その言葉を吐き出した瞬間、世界は再び静寂に包まれ、巨大な象とファンファーレは消えていった。




______そして、新たな「朝」が再び訪れた。


象推しです

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