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お似合いの二人

  一息間をおいて、続きを言おうとした兄だが、私を見て……

「うん?なんだ?その格好は。それで話し合いに出るのか?まさか……忘れていたのか?まさかだよな?」と言いつつじっと見てくる。

 私はついつい目を逸らしてしまった。マーナとコンスタンスを見たら二人してニコニコしつつ頷きあっていた。それを兄も見ていた。で、理解したみたい。

「まったく」と兄が言う。

続けて、なんかぐちゃぐちゃいっていたが無視して「じゃあ出ていってよ」と呟いたのが聞こえてしまって、睨まれた……


 コンスタンスが優しい柔らかな微笑みを浮かべながら、ゆっくり口を開く、話すスピードもいつもよりゆっくりだけどメリハリのある感じ……でも優美な印象。全く私と話していた時とは違う。凄いわ本当に。

「でも、貴方が出ていってしまうと、婚約者とはいえお兄様と二人っきりになってしまうわよ。後で下に行く前に着替えればいいのでは?」

 兄はニコニコと頷く。

 「……」何かいやだ。こっちが恥ずかしいような気がしてしまう……やっぱり逃げたい。

 ここで、マーナが、

「あの、そこの衝立の向こうで、何時ものようにお着替えなさればよろしいのでは?」と口を挟む。

「そうだな……あ、そうだ。せっかくだから……」

 彼はマーナを手招きし耳元で何か囁いた。マーナは頷き私の手を掴み、ほぼ私は引きずられているように衝立の後ろに連れていかれた。そこには何着か服があり、その中には、見慣れないのもあった。

 着せられたのは、緑や水色を基調としたドレス。程よくレースなどの装飾がありすっきりとしたデザインだ。あれ、自宅でお客様をお迎えする服としては少し格式が上だと思う。

「このドレス、あれ?少し違くない?」と衝立の後ろから出つつマーナに言うと、兄が

「それは出発の日に着る用に仕立てたんだ外套とよく合う。ほら、試着とか嫌がるだろ?母上から不意打ちしろとのご命令が出た」何それ……ていうか兄よ早く行け。絶対に口には出せないと思いつつ、

「……ふーん、まあいいのでは……」

 コンスタンスが「凄く似合うわよその色いいわよ。貴方はピンクとか合わないよね」

「さすがにもうピンクわね……エミリー辺りは似合うけど、嫌いそう」「確かに……」

「じゃ、もう一回普通のに着替えるわね、兄上お忙しい時に申しわけないです……」

 といいつつ、今度は自分からまたエミリーを連れて衝立の後ろに入る。

私の着替え中、兄は、

「結婚式の準備なんてね、特にドレス選びなんて男性には退屈でしょう?だから、出なくて良いわよ。私達がやるからうちには娘もいるしと、母上は言っておられたが、一応儀礼的なものだし全体は知っておかないとだから……何回か参列したことはあるが、私達の式は陛下も楽しみにしておられるそうだ。祭壇の後ろの隠し部屋にお入りになるらしい」

 と、いつもの兄とは違う饒舌さだわ。コンスタンスもニコニコしつつこちらは、いつもからは信じられない口数の少なさだ。いつもの二人ではないが、兄はともかく、コンスタンスは兄といるとこうなっちゃうけど、いつもの彼女は知られていて、本人も解っている。やはり何とまあ、お似合いだわね。

「まあ……両親とも、といってもまあ、母ですけどね……凄い騒ぎですわ」とエミリーが優雅に言う。

「で、まあ、任せて失礼するよ。そうだ、公爵様も声かけられているだろうが、陛下に父上が式について色々聞かれているようだね」

「まあ、それは大変。一番美しいそして、印象的な式にしましょう!」

 そして、二人でニッコリ微笑みあった。


「では、そろそろ行かなければ」と兄が言うと、コンスタンスは

「そろそろ私達も下に降りましょう。さあ」

 と、私を引きずるように歩きだした。エスコートしようと手を差し出した兄には、気づかなかったみたい。

 階段を降りつつ二人の会話を聞きながら私は、いま、王家には王女がいない、正式には王弟殿下の双子の妹がおられたけど、幼くして亡くなったらしい。コンスタンスは今の王家にとって家柄や血の近さからいっても、王女のように扱われている。彼女の家は、頻繁に王妃を出しているので、王妃にするという選択肢は無かったみたいだ。正式には王家の結婚ではないのに陛下が出るとか、陛下が言及されるとかは異例だ。本当にいつも彼女は特別扱いされている。

 私みたいに、異国に嫁ぐことなど、絶対にあり得ない。

 下に着くと、客間にいた母上達も出てきて、兄はみんなに見送られて出ていった。出るまで結構かかっている。王宮に近いとはいえ大丈夫なのかしら?


 




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