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使節団②

 そんな中エミリーが、


「はあ、ふー、はあぁぁぁぁ、あーあ」と素晴らしい溜息(?)をつく、実は私も、ついついつられて溜息をついてしまった。目立たなくてよかった。エミリーがメイド達にジロジロ見られていた。エミリーはニコニコ笑いつつ彼女達を見ている。


「すごく緊張したわね」とメリルが言うと、またエミリーが溜息と共に「疲れた」と呟く。


 二人は顔を見合わせて私を見てメリルに、


「キャシーは慣れているのよね?」と言われたが、


「いいえ、あんまり……私も疲れたわ」


「でも、私結構楽しいわよ」とエミリーが言うとみんなちょっと驚いた顔をした。彼女は続けて、


「だって王族様方や上級貴族さま方を近くで眺められるなんていや幸せだわーかっこいいじゃない」


 そ、そうなの……やはりイケメンは最高?聞こえた全員がそう思ったと思う。




「そういえば、キャシーのお兄様は?」とメリルが言うとエミリーは身を乗り出し、


「お兄様!ライアン様!どこにおられるの?」と声を上げる。


 私は、目立つと思いつつまあまあと言いつつ後ろのメイドを見ながら


「私も知らないのよ……」と言うと、


 メイドが「あとで、顔を出すと申されていました。奥方様はこのまま晩餐の席です」と言うので、


「その晩餐兄上は出るの?聞いてないので私は無しよね……」


「はい、お兄様も参加されません」ホッとした。まあそうよね。


 晩餐会はガーデン・パーティーとセットで行われる、クラレンス王国の年間の重要行事であり、これもまた我が国の使節団が参加できることが大変な事態なのである。


「じゃあライアン様にお会いできるのね!」


 とメリルとエミリーが手を取り合ってキャッキャしている。メリル、ブラン伯爵令嬢はいつも大人しいので後ろのメイドが少し驚いていた。彼女、今もだがエミリーといると、人が変わるのである。


 彼女はハッとして「このまま私達もいて良いのでしょうか?」と言うと、


 公爵家のメイドが「はい、このままお待ちに」うちの家の人達は彼女たちに慣れている。


「ありがとう……」といいつつ二人でニコニコしている。


 その後兄が来た。彼はこの国の公爵令息を連れていた。これがナイジェルとの出会いである。


 二人も含めて紹介しあったが、この時二人はナイジェルと私の兄に釘付けである。本当に美しい二人である。彼はこの頃から有名だったが、うちの兄も負けてない。


「お兄様はこの後どちらへ?」


「まだ、このままだよ。そういえば、お前いつからこうしてるんだ?そろそろ動いた方が良いと思うが……」と周りを見つつ言った。


 私は、後ろのメイドを見た。メイドも軽く頷いた。二人にそろそろここから動きましょうと言うと、メリルは理解したが、エミリーは疲れてるのに……と、ちょっと不満そうにしつつ、みんなで立ち上がって動き出した。




その後みんなで歩いていると、同い年くらいの男の子と女の子が目に入った。どうみても、気の強い女の子が男の子を振り回している。その子は私達に気づくと男の子を引っ張りつつ近づいてきた。彼は相当苦労しているかも……


「私、ホーソン伯爵令嬢でこれは兄よ!うちの家は代々王宮勤めなの。こっちにいいとこあるのよ―」


 と、その子は凄い早口で畳み掛けた。私達はあっけにとられて、口をパクパクしている状態であった。そんな中で兄たちはよろしくみたいな事を言い、お供することになった。


 彼女が来て空気が変わった。クラレンスの貴族やその使用人、王宮の使用人などは緊張し、蒼ざめ、彼女を見ないようにしているように思えた。この美しいがキツイ赤い髪の毛の子そういえば、式典の時に拝見したような気がする。手が出せないのかしら?もしかしたら……


 散らばっていたロスニアの子達は人気者の兄がいるので、集まってきたが、この国の子達は遠巻きにしている。やっぱりそうなのか?


 何となく歩きながらメリルとエミリーの二人はさすがに?になっているようだったが、黙ってついてきている。私も同じである。兄は多分知っていてどうするべきか考えているようだ。顔色が悪い。


 赤い髪の少女はお兄さんをポイして(本当にかわいそう……)ナイジェルの腕をとって、


「ねえ、この人達ロスニアの人よね?」「はい」ナイジェルの顔は強ばっているように見える。彼女は続けて「私ねロスニアの人って人間じゃないとか想像しちゃってたのよね……ほら、そういう物語あったじゃない……」と言った。もう全員が固まった。兄が何か言おうとしたのをナイジェルが制して口を開こうとしたが、その時彼女が「冗談よ」と笑いながら言う。


 ナイジェルは何かぶつぶつ言っていたが、彼女はずっと聞こえない振りしつつ絡んでいた。彼女一人に振り回されている人の多いこと……。


「そういえば、どっかの国の令嬢が、その国の王太子殿下に近づいたという話を聞いた事があるけど、それロスニアの話よね?」


「はい……」ナイジェル凄く顔色が悪い……でも、赤毛の少女には関係ない。


「私ねまだ、七才だけど……」え、私達と同い年なんだ。


「でもわかるのその人はあり得ない危険だわ」うん?と全員が思ったであろうけど、まだ、続く……


「もし、そんな人が、この場にいたとしたら、うちの弟も狙っているのかしら?そんな事は私が許さないわよ。小説の令嬢みたいに動くのよ!だって格好いいじゃない!正義は令嬢であって魅了だの何だののいやしい子なんて気持ち悪いだけ!あんなのがヒロインなんて最低よ!」


 そこまで言うと、ナイジェルを引っ張ったままくるっと振り返り、私達三人を見つつ、


「あなたたち知っているわよね?もしかして?」とエミリーを見据え……


「この子ね!私に近づいて何をするつもりなの?」いやいやあなたから勝手に来たのでしょうとみんな思ったはずだ……奥の方で大人たちがザワザワしだし、怖そうな女の人達が慌てて小走りで近づいてくる気配もした。やっぱり絶対王家の人間だ。


「まさか王太子狙い?そうなの?ねえ?」と赤毛は凄い剣幕である。私はついにキレた。色々言ったらしいが、何も覚えていない……

 二話目を分けました。よろしくお願いします。

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