シュタインの王女様とお母上②
アウグスタ王女様は母上の問題のせいで、(王家の結婚なので、仕方ないけど)政略結婚の駒に出来るが微妙だった。そこに我が国から打診されたので、処遇に迷っていた王女を送り込めると大乗り気で、あっという間に話がまとまった。
シュタインの評価が低い王女様が来ることに、我が国では反発もあったが、王家の(まあ、精神的な)安定の為には、仕方ないという意見が、多かったらしい。さっさと、日程が組まれ、あっという間に輿入れの日を迎えた。庶民はやっと王妃様を迎えるという事で、お祭り騒ぎであった(寵妃も沢山いてキラキラしてお祭りの時には眼福だけど、やはり王妃様はいなければという事であった)
アウグスタ様は貴族達の想像に反して、非常に聡明でお美しく、人々から慕われる王妃になり、元寵妃様方に対しても出たい方には夜会でのホスト役をしてもらったりなど、寛大に接した。夜会での完璧な振る舞いを見たシュタインの面々は目を見張ったという。
「シュタインの人達王妃様がでてこないって思ったのでしょうか?」
「何回も言うけど、あの国が特殊なことは知っているでしょ?例えばね、肖像画だけでも、あの国の服少し変なの……私の勝手な想像だけど、あれ恥ずかしがりな人は無理よ。わたしもむり。それもあって余り出たがらなかったのでは……ほかの理由もあったとは思うけど……ひとまずあの国の雰囲気は怖いし、内気な方には居心地悪い国よ。評価も下がるわ。外国でもお出ましはしないと思ってたらしいわ。この頃、御付きになっていたかたがそうだろうと王太后ご本人からきいたそうよ。学園の関係者ね」
「学園なら、私も存じ上げている方ですか?」
「多分ね。それは置いといて、あの国は軍事大国で参謀、諜報活動に秀でていて、我が国から留学とか修行しにいく人が多いの。国同士の交流としてね。で、あの国に行くと、あまりの厳しさに顔つきと人格が変わって帰ってくると言われていているの」
「うー、それはそれは……あの国なんかお堅いヤツが多いのですよね。しかも強い。殴り合いだけじゃなく、口喧嘩も強いんですよ。一回割り込まれて大喧嘩したんですよ。まあね簡単でしたけど」
「ああ、そうなの。よかったわ。でもね、気を付けて。トラブルを呼ばないように……」
国王夫妻はかなりの年の差があったが、とても平穏な仲睦まじい関係でおられた。少しして、儀礼上の寵妃の話が出て、アウグスタ王妃も寵妃を置くことにも賛成したが、元寵妃五人に拒否されたため(今の身分のまま、王妃様の補佐をという意見であったらしい)他の女性……という話も出たが、王太子様が強硬に反対したのなどがあり、置かない事になった。今まで通り、儀式などの重要度に応じて王族、公爵夫人、寵妃の順でお出ましになった。
その数年後、当時の王太子様(現国王陛下)の婚礼が行われた。お母上のファウスティーナ妃のご出身のトーレード王国のフランチェスカ王女が輿入れされた。ファウスティーナ妃が亡くなった事にショックを受けた兄が世継ぎをもうける前に亡くなり、それを受け王位を継ぐ者は、祖父の台にまで遡ったのでフランチェスカ王女は、いとこかはとこ?うん、もっと遠い?……である。そんな中、アウグスタ王妃様がご懐妊されて、双子が誕生された。王女様はすぐ亡くなられたが、久しぶりの嫡子の誕生に国中は大いに沸いた。王子様は健やかに成長され優秀で愛嬌があり人を虜にする力を持ち、もしももう少し生まれるのが早ければ王太子の脅威になったのではという囁きはこののちずっと続くことにはなる。といっても、それは一部のまあ意地の悪い方々のみで、王太子様と王子様の仲はとても良く、当時の王妃様と王太子妃も交えて、王弟殿下が子供の頃はよくお集まりになられていた。
「その王子様が王弟殿下ですね――そういえば、そろそろ着きそうですね。都市の外れを抜けて田園地帯に入って来ました。学園ほんと環境いいですよね――」
「そうね」話は大体終わりなので、まあいいでしょう。私はふと思い出して、
「そういえば、この辺り王弟殿下がご成婚後に賜る所よ。王の嫡子は一代のみ大公になって、ご子息は公爵になるの」
「スゴいですね――庶子は?」
「最初から公爵位よ……線引きは細かいの。それでね、王弟殿下は学園の理事長になられるのよ。いいわね、今の子や未来の学生は式典の度にあの方を拝めるなんて……」
「お嬢様やはり面食いですね」
「いいでしょ……別に」
「しかし、エミリーさんやりましたね。庶民の星、夢になりそう」
と、ニヤニヤしながらいう
「確かにね……」




