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記録78:明日から明日香

 

「どうぞ、こちらに」


外が見えないように窓がなくなっている近衛隊の車両に乗せられた私達は、そのままどこかに輸送されていた。

右、左、時速は大体これくらい、と体感と地理感覚で今何処の高速道路を走っているのかを予測していた。他の人は話していたり、中峰は書類を整理していたりしたが、僕はただじっと、眠ったふりをして今何処を走っているのかを考えていた。


一時間ほど走っただろうか。


ようやく車が停止し、降りて下さいという声が聞こえた。

目を開けて開けられたドアの向こう画を見てみると、どこかの建物にいるのか、真っ暗な倉庫のような部屋の中だった。


「ここは?」


中峰が運転手に聞いたが、彼らは機密事項であるの一点張りで応えようとはしなかった。

ラシードは観光気分で来ていたので、少し悲しそうな顔をしていた。


「とりあえず、ご案内致します」


運転手だった隊員が僕達を先導して、倉庫のような部屋の扉を開け、一切窓のない廊下を進んでいった。


「今回会う人って誰なんだい?」


ラシードが中峰にこっそり聞いた。中峰はうーんと唸ってから境時を指差して言った。


「この子のお父さんね」

「えっ!?この子のお父さん?どんな人なのさ」

「えっとね...なんだか掴みどころがなくって、ふわっとした人なの。天菊戦闘群長の苦手なタイプだろうから、きっとそこなら大丈夫だろうって言う感じ」

「匿ってもらうにしても限度があるんじゃないか?」

「そう、だから、詳しいことは彼から聞くけれど、大雑把に言えば私達も本腰を入れて動かなきゃならないの」


それから、二分ほど境時の父親の事について話していた。

彼は背がスラっと高く、鼻が高い純日本人で正確は掴み所がないような人間で、名前は境時 風翔カザトという名前らしい。

境時杏子に父親のことを聞いたが、基本的に仕事に出ているので優しいお父さんという情報しか知らないらしい。


「ここです。恐らくいらっしゃると思います」


一般隊員が入れるのはここまでのようだ。

中峰が恐る恐る扉に手を伸ばして、コンコンと二回ノックをした。


「どうぞ〜」


軽快な男の声が聞こえてきた。中峰がドアノブに手をかけて開けると、中はホワイトハウスの大統領執務室のようなデザインがなされた部屋で、中心のデスクには大きな黒い椅子に腰掛ける、髪を長くふわっとセットした、優しい顔つきの男がいた。


「や、杏子。久しぶりだね。元気だったかい?」

「うん、久しぶり。元気だったよ」

「それは結構」


彼は顔を杏子から中峰に向けて笑顔で言った。


「きみが、中峰少佐だね?話は聞いている。僕が日本国国家近衛隊情報通信群の群長、境時 風翔だ。よろしく」

「はい。よろしくお願いいたします。それで、早速ですが、天菊戦闘群長と対立関係にある他の群長も教えていただけますか?」


中峰の要望に対する風翔の答えは早かった。


「無理だね。きみが天菊戦闘群長の差し金だってことが否定できない。なので、きみ達には僕から任務を与える」


どうやらここまでは、天菊に失脚させられる口実を与えないための手筈道理だったようで、彼はあらかじめ用意していた書類を提示してきた。タイトルは次のようなものだった。


【合衆国の内乱を未然に制圧せよ】


この文面に、私は少し嫌な予感を覚えた。

もしかしたら、現在中国で戦っているCode:Clawsがもしも何かを嗅ぎつけて合衆国に帰還した場合、即刻排除される可能性が拭いきれない。

なにせ、一部米軍と近衛隊が華興大聯邦と共同で戦っているのだ。なにかミスをした瞬間にすぐに刺客を差し向けられるだろう。


「了解いたしました。期限は......一年程度ですか?」


中峰が一年という言葉を発した時、別の隊員が勢いよく扉を開けて報告をした。


「緊急報告を申し上げます!中国で統一戦争が正式に開始されました!合衆国では意見が分裂しており激しい対立が生じているようです!」

「何だって!?詳しく話すんだ」


風翔が顔を強張らせて詳細を聞いた。隊員は続けて言った。


「現在、華興大聯邦と自称する軍閥派が自由派の相当が完了したとの声明を発表し、これに対して北部の満州国、中華人民共和国、チベット民族率いる帝国派が共同戦線を構築し、第三次国共合作と自称しました。便宜上、国共合作した勢力圏のことを以後、中国連邦と呼称すると、本部からの通達です!それに伴い、境時情報通信群長は本部から招集がかかっております」


風翔は椅子から立ち上がり、杏子の方を向いて悲しそうな声で言った。


「わかった、すぐ行く。杏子、すまない。一緒に遊ぶのはまた今度だ。何ヶ月かは、中峰さんと一緒にいなさい」

「はぁい......」


しょんぼりする杏子を横目に、こんどは中峰の方を向いて言った。


「最短、三ヶ月だ。そこまでに決めて来るんだ」

「了解!みんな、私達も急ぐよ」


中峰は書類を鞄の中にねじ込んで、急いで施設から出る車に乗り込もうとしたが、車に乗れば天菊に尻尾を掴まれかねないと気づいて、廊下で立ち止まってしまった。

そこで、私はとある提案をした。


「私の土地勘を信じて、空港に向かってみるのはどうでしょうか。今、ここは兵庫県の中腹部らしいですし」

「何で分かるの?」

「車の大体の速度でどこを走っているか、そこから左右の区別をつけて方角を割り出して―――」

「あぁ、分かった分かった。一旦ストップね。じゃ、急ごうか。できるだけ人目につかないように移動したいから新しい偽造身分証を使うよ」


それから、数時間かけて建物から脱出、神戸市に向かう道中で服を買い揃えて関西国際空港に再び舞い戻ってきた。金銭はラシードが家財をなんとかして調達すると言っていたので問題ないと分かった。

そしてすぐに合衆国、ワシントン・ダレス国際空港行きのチケットを購入して、僕達は飛行機の搭乗手続きをして、飛行機に乗り込んだ。

お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!

(次回から前書きか後書き部分に中国統一戦争の経過を(できれば地図付きで)載せます。お楽しみに!)


次回『中国統一戦争』

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